21、ほのぼの
――冬休みの朝。
『・・・起きられない・・・』
俺の身体には嫁がしがみついていた。
―――――――――――――――
リビングにいる俺と実央は互いに目を合わさないようにしていた。
正直、めちゃくちゃ照れる。
今になって考えると、俺達は恋人らしいことをしていなかったな。
それが昨日、急にあんなことになったんだ。少しくらい恥ずかしがってもいいだろう?
『実央、あのさ・・・!』
『あの、圭佑・・・!』
二人の声が重なる。そして再び沈黙。これは居づらい・・・。
しばらくあと、実央が先に口を開いた。
『圭佑・・・、朝ごはん、食べよっか?』
『お、おぅ、食べるか』
今まで見たことのなかった、実央のあからさまに恥じらう顔。
(か・・・かわいすぎる・・・)
これが自分の嫁なんだと思うと嬉しさで叫びたくなる。いまからここは世界の中心だ。まあ、叫ぶだけの度胸ないけどな。
俺はキッチンに立つ実央の後ろ姿を眺める。ポニーテールが機嫌よく揺れる。
俺の鎮静剤になりそうなくらいほのぼのな空気だ。
『圭佑、できたよ♪』
実央が手際よくテーブルに皿を並べる。ホントにこいつは家事をやらせたら一人前だな。なんでもできるし。
『じゃあ、いただきます!』
『いただきまーす』
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『あっ圭佑・・・!だめだよぉ・・・』
俺達はリビングにて実央が俺に寄り添う形で並んで座ってほのぼのとテレビを見ていた。
実央が少し動くたびに俺の中の何かが刺激される。ムズムズする。ヤバい。そして、我慢できなかった。
実央が立ち上がろうとした拍子に俺の中のムズムズが爆発した。俺は実央に腕を伸ばし――
むきゅ。
『ひゃぁん!あっ、圭佑、だめだよぉ、髪が乱れるぅ〜』
ポニーテールをわしづかみにした。
『やぁん圭佑〜!離してよ〜!』
『やだね♪』
そのまま実央を引き寄せて脚の間に座らせる。ハグするような形だが、依然として俺の手はポニーテールを握っていた。
実央が後ろを振り向く。
『んもぉ。いきなりどうしたの?』
『チクチクするからいじりたくなっただけだよ』
『もっと優しくしてよ〜』
そして、
『・・・てっきり抱きしめてくれるのかと思ったのになぁ』
実央がぽつりとつぶやく。
『・・・?なんか言ったか?』
『べ、べつに!』
実央は赤面して前を向いてしまった。俺はまたポニーテールの手触りを堪能することにした。




