16、打ち上げ、そして――
打ち上げ会場は近所のファミレスだった。
幹事などは特にいなく、ただ食べて喋るだけ。まぁ高校生ならこんなものだろうな。
クラス全員で来ているため、店内はほとんど制服の男女で埋まっている。皆、各々の話題で盛り上がっているようだ。
最後に来た俺達は3人で空いている席についている。
『実央ちゃん、今日の演技はリハなんかよりずっとよかったよ!あたし最後のシーンで感動して泣いちゃってさぁ、ほとんど前が見えなくなったんだ(笑)』
早百合監督は実央をベタ褒めだ。実央もまんざらでもないらしく、嬉しそうにピョンピョンと上体を揺らしている。
『エヘヘ。/// でもあたし、圭佑が一緒じゃなかったらこんなにできなかったから、半分は圭佑のおかげだよ♪』
『お、やっと褒められたぜ。忘れられてると思った』
早百合がすかさずボケる。
『んーでもあたしがギャラを振り分けるとしたら"実央ちゃん:圭佑"で"9:1"ってとこかな』
『少ねぇっ!!完全にロミオがジュリエットの尻にしかれてるよ!』
こんなふがいない俺が演じてしまってすまないな、ロミオ・・・。
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そんなこんなで打ち上げは終わり、皆で大きめの公園に来た。適当に写真でも撮ろうということらしい。
そこで、早百合が声を張り上げる。
『さぁ皆!お待ちかねの主演の2人よ!存分に撮ってあげなさいな!』
一瞬のうちにデジカメやケータイカメラの音が鳴り出す。
『おーい、なんかやってくれよー!』
『立ったままじゃつまんないよー!』
後ずさる俺達はだんだんと壁に追い詰められる。そこで俺は覚悟を決めた。いや、この異様な空気に負けたのかもしれない。
『え、え?圭佑っ?!』
俺は一瞬屈み込み、実央の脚をすくいあげて背中を支えた。いわゆる「お姫様だっこ」だ。
『きゃーー!』
『いいぞー!それでこそ男だぁ!』
『うらやましいぞ圭佑ェーー!』
あちこちで黄色い歓声が沸き上がる。
早百合も、
『いい、すごくいいわ!』
などと喚いて数十枚もの写真を撮りまくっている。
だいぶシャッター音が弱まったところで実央を下ろす。
実央は顔を真っ赤にして俯いていた。
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クラスメートたちは解散し、それぞれ二次会にいく人たちもいたが、俺と実央は家に帰ることにした。
『今日は楽しかったね♪』
『そうだな』
『今日はもう疲れたけど、明日は休みだし圭佑ともお疲れパーティーしたいな』
『よし、じゃあ明日は家でまったり菓子パでもするか!俺スーパー寄って色々買ってくるわ』
『じゃあ先帰って寝るね』
そう言って別れた。
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スーパーからの帰り道。夜道にケータイの着信音が鳴り響く。
『おう、早百合か。どうした?』
『圭佑、落ち着いて聞きなさい。・・・実央ちゃんが・・・人を刺したらしいわ』
あまりに予想外の出来事に、俺は何も言葉が出なかった――。




