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10、提案

あれ、なんで手つないでるんだ?



『よし、だれもいないな』


『じゃあ食べよっか♪』



そう言って持ってきた鞄から二人分の弁当を取り出す。



『急いで作ったからあんまり味に自信ないけど・・・』


『実央が作ったもんならなんでもおいしいよ』


『フフ・・・ありがと』



恥ずかしい・・・のに、なんで俺はこんな台詞を恥ずかしげもなく言っているんだ?



おかしい、なにかがおかしい。頭ではわかっているのに言動が変わろうとしない。



でも、まぁいいか。今の間はこうしておこう。


―――――――――――――――


昼飯が終わり教室に帰ると、何やらクラスメートたちが話し合いをしている最中だった。



『あっ、実央ちゃん!圭佑くん!二人もこっち来なよ!』


『なにやってんだ?』



どうやら一ヶ月後の文化祭にクラスでなにをするかを決めていたようだ。いいネタがでずに困っていたらしい。



『べつに適当でいいんじゃないのか?焼きそばとかさ』


『いやよ、そんなの!ありきたりじゃない』



バンッと机を叩き、学級委員の早百合が強い口調で言う。どうやら、どこともカブらない独創的で突飛なことがしたいらしい。早百合は極度の目立ちたがりで、見る人を感嘆させないと気がすまないのだ。



『ったく・・・。んで、今何が挙がってるんだよ?』


『"普通"の出店に"普通"のアトラクション、それに"ごく普通"の・・・』


『はいはいわかった。要は今でてないやつをだしていけばいいんだろ?』



と言っても、俺と実央がいない間に大半の奴がネタを出し、その全てを早百合に却下されているようだ。これ以上はでないような気がする。



『実央ちゃんは何かやりたいことあるの?』


『あたし?そうだなぁ・・・演劇とかやりたいな』


『『演劇??』』



そういえばうちの学校は教室、校庭、運動場はよく使うが、進んで体育館で何か発表しようというアクティブなやつは見たことがない。早百合はやりそうだが、多分反対されてきた口だろうな。しかし、転校したてで人気の高い実央が言うのならば話は別らしい。



『いいな、演劇!』


『やろうやろう!』



クラスが盛り上がる中で一番テンションが高かったのは、やはり早百合だった。



『ありがとう実央ちゃん!!さすが私が見込んだだけはあるわね!なら、私は大衆受けしそうな作品を探してくるわ!』



そこで素朴な疑問が一つ。



『でも、前例がないんだろ?体育館って使っていいのか?』


『フッ、私をナメないでちょうだい。私は全ての校則を把握しているわ。その中に体育館の使用規制などないのよ!』



早百合が自慢げにオーバーアクションで言う。



『ということで皆、演劇でいいわね?何か意見や提案があれば私にメールするのよ』



皆の意見が一致したところで、ちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


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