九話 ダメ人間
今僕は謎の男の家を案内されている。
ガザンはこの家の酒を見て回り、エマは室内で剣の素振りをしている。
それを見て謎の男はかなり満足そうにしていた。
家は中々にでかく倉庫もみたいなところだった。
巻物や武器などが色々とありワクワクするような場所だ。
武器の中には禍々しくガタガタ動いている刀があった。
目を引かれ手を伸ばす。
「あ、それ触ったら体爆発するから触っちゃダメだよ」
手を引いた。
「…さ、流石に、嘘ですよね?」
「…さあどうだろうねー」
どっちなんだこの反応は。
飄々としててなにが嘘か本当かわからない。
この男で今わかっているのはガザンの古い友人だと言うことだけ。
あとなんか雰囲気が嘘つきっぽいことだけ。
「そんな目で見ないでよ、信用してもらっても大丈夫だって」
「自分の口から信用云々を口にする人は信用できません」
男ははぁと息を吐きこちらに向き直した。
「そういえばまだ挨拶がまだだったね、僕はレイン、この国の将軍だよ」
「…………へ?」
「きみの名前は?」
目の前のうさんくさい男はまさかの将軍だった。
「…え、えっと…キミと申します」
「そっかキミか…顔色悪いけど大丈夫?」
さっき信用できないとか、将軍に向かってかなり失礼なこと言ってたよな。
もしかして処刑とかされるんじゃ。
「ま、待ってください、将軍だとしたらなんであのお城みたいな家じゃないんですか?」
そうだ将軍にはあんなでかい城があるんだ。
それだったらこんなところにいるわけがない。
「あー、あそこ息苦しいから嫌なんだよね」
「かっ…将軍ってそんな自由で大丈夫なんですか?」
「まあね、将軍だから」
説明にはなっていない気がする。
「あ、そういえばレインさんはどうやってガザンさんと出会ったんですか?」
瞬間レインの目がキランとした。
「よく聞いてくれたね!僕たちが出会ったのはそう20代大人の青春真っ只中の時だ」
レインの声が明らかに高くなり早口になった。
「僕がスペル大陸にいた時、ご飯が食えず道端で倒れていて魔物に襲われそうになった時に助けてもらったんだ、そう彼に!」
テンションが高い
さっきまでの飄々としてた彼はどこに行ったんだ。
しかもご飯が食べられず助けてもらったってガザンと僕の出会いみたいだ。
立場は逆だが
「ご飯を分けてもらって狩りの仕方を教えてもらって、そしてスペル大陸の旅にも同行させてもらったんだよ!」
今の感じじゃ全然仲が悪くなる感じがしないな。
「そして僕たちはスペル大陸を制覇し次の大陸に行こうとしていたんだ…それで一旦打ち上げとして酒場に行ったときに…」
先ほどとは違い声が低く顔の色は暗くなっていった。
「あの時は楽しかったなー、ガザンも食事が終わる頃には机に突っ伏してぐっすりしててね…ちらっと伝票を見てみたら…その…その時に今の所持金じゃ払えないことがわかってね…」
口をモゴモゴさせながら視線は下を向いている。
「酔ってて正常な判断できなかっただけだよ?普段はしないからね?……眠っているガザンに支払いを全部任せて宿に逃げたんだよ…それで朝になってもガザンが宿に戻って来てないから酒場に行ったら……死んだ目で皿洗いをしてるガザンがいてね」
「………」
「それから一週間後ぐらいかな酒場の前に着の身着のままのガザンが三角座りで遠い目をしててね」
「………」
「その後僕を見つけたガザンが目の色を変えてこちらに迫ってきてねバチバチの喧嘩になったんだよね」
「………」
絶句するしかない。
言葉がでない。
「……だ、黙るのやめてよー、なんかきまずいじゃーん」
「えと…そ、そうですね…」
無理だ。
気まずすぎる。
こんなのどうやって対処したら良いかわからない。
助けて大人の人。
「…えっと…その喧嘩した後はどうしたんですか?」
「…それっきり別れて、今日初めて再開した感じだね…」
かなり悲壮感を纏っているが、これは別にガザンとレインが払いきれないほど飲み食いしたのが悪い。
ただその後に会計を押し付けたレインはもっと悪い。
すると開いた酒瓶を右手に持ったガザンが現れた。
「ふぅ……おい、レインつまみがないぞ、早くなにかくれ…」
「うん、すぐ用意するよ」
二人はそのままリビングに入っていった。
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二人はリビングで酒を飲み、エマは特訓をしていて話し相手もおらず暇でしょうがなかったので一時間ほど街の外で魔法の特訓をしていた。
魔法の特訓が終わったので家に戻ると。
二人がめちゃくちゃに酔いつぶれていた。
エマが特訓から帰ってきたときにはもう既に酔いつぶれていたらしく大人二人が酒瓶が転がった床で眠っている。
「…これはひどいね」
「そうだね…エマはこんな大人になっちゃダメだからね?」
「私よりキミの方がなってそうだけど」
「ん?…いやいやエマの方が」
「いやいやいやキミの方が」
このままじゃ埒が明かないそれなら
酒瓶を手に取り
「だったらここで勝負しよう、どっちの方が酒に強いか」
「いいよ、負けたら明日敬語ね」
両者が勢いよく一口目を飲んだ。
「…おえっ…まっず」
「……うぷっ…苦い」
結果としてはどちらも酒がまずくて飲めなかった。
その後和平条約を結びその日起こった戦いは一瞬で幕を閉じた。
口直しに水を飲んでから眠った。
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朝になり外からは鳥の声が聞こえる。
「ふあぁ……」
顔を洗い準備体操をし朝の準備を済ませた。
リビングに行くとまだ二人は眠っていた。
しかも昨日の夜見たときよりも酒瓶が増えていた。
恐らくだが起きたあとにもう一度飲んでいたのだろう。
「ガザンさん起きてください、もう朝ですよ」
部屋の片付けをしながらガザンに声をかける。
「…………」
返答がない。
よし、この人にはもう二度と酒を飲ませないようにしよう。
「起きないと魔道具とか売っぱらちゃいますよー」
「ぬわああああ……はぁ…はぁ」
ようやく起きた。
やはり魔道具は大事なのか脅しをかければ一瞬で反応する。
「今日は進みますよ」
「…ああ、わかってる」
頭が痛いのか頭を押さえている。
全くしょうがない人だ。
「ガザンさん解毒魔術かけましょうか?」
「ああ、頼む」
「デトックス」
赤く淡い光が頭を包んでいく。
「…ふぅ…ありがとうキミ」
「これに懲りたら酒は控えてくださいよ」
「ああ……いや逆にその魔法があればいくら飲んでも大丈夫なんじゃ…」
「次は解毒しませんから」
「……」
その後エマを起こしレインを起こした。
荷物を確認し外に出た。
するとガザンとレインが玄関で話をしていた。
「ガザン、次はいつこれそうだい?」
「旅が終わって、いいつまみを見つけたらな」
「そうか、ならこちらもいい酒を用意しておくよ」
「頼むぞ」
なんて会話をしていた。
昨日の夜にはもう仲直りが済んだのだろうか。
お互い柔らかい表情をしている。
そうして別れを済ませ街を出た。




