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魔法と旅  作者: かも
一章 ランジ大陸
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七話 特訓

宿につき急いで自分の部屋に入りベッドに飛び込んだ。

足がもう限界だった。

子供たちと鬼ごっこしたりゴブリンと戦ったせいで体全体が筋肉痛で悲鳴を上げている。

突然コンコンとドアがノックされた。

どうぞーと言うとドアが開かれ顔だけぴょこっと覗かせたエマが現れた。

ベッドにうつ伏せになってる僕を見て


「どうしたの?今日なんかしたの?」

「逆に聞くけどなんだと思う?」

「…さては筋肉痛とか?」

「…すごいねそれエルフの勘?」


エマが少し距離を詰めてきた。


「…ど、どうしたの?」

「…ふふっ」


その瞬間つんっと指で足をつつかれた。

足に電流が走った。


「っ!…ぎゃああああっ!!???」


その反応を見てエマの表情は新しいおもちゃを見つけたときのようになっている。


「…ふーん、へー」


笑いをこらえながら次から次へと足をつんつんしてくる。

その度に身体中に電流が走り体の内から外に絶叫が飛び出る。

なんだなにか恨みでもあるのか、早くこの地獄の時間よ終わってくれ。

その後エマが飽きるまでつんつんされた。


---


5日目

朝ガザンに起こされた。

窓の外はどしゃ降りの雨だった。

雲は黒く雷はゴロゴロと鳴り響き明らかに外には出られない。


「ガザンさん今日は無理そうですね…」

「そうだな、もう少し弱ければ行けたんだが…しょうがない今日は宿で1日過ごすことにしよう」


今日は1日休憩を取ることにした。

まあ自分としてはちょうど良かった。

昨日の件で全身が筋肉痛だったので休めるのならありがたかった。

そうして各々が部屋で時間を潰している。


「あ゛ー暇だ゛ー」


なんだかデジャヴな気がする。

どうやら僕は暇を潰すのがとことん下手くそらしい。

…なにかないものか

頭を捻って自分ができることを探してみる。


まずは1人遊び

飽きた。初めて10分ほどで飽きた。

旅を始める前の自分ならこれで1日は潰せただろうが旅の刺激を知った後では満足できるはずがなかった。


次にイタズラ

エマにしたら100倍にして返されそうで怖いし、ガザンにするのは自分の心が耐えられる気がしないのでやめておく。


なにもない終わった。

筋肉痛で体がまともに動かせず時間を潰す手段もないかなり最悪の状況だ。

しょうがないとりあえず寝ておこう。

寝るのならいつでもできる。

ベッドに横になり目を閉じる。


…こういうときに限って眠れない。

目がギンギンに冴えてる。

なんだこれ


しょうがないので新しい魔法を覚えることにした。

カバンの中から旅に出るとき家から持ってきた魔道書を取り出した。

取り出した本の表紙は少し埃が被っていてお世辞にも綺麗とはいえなかった。

ページを捲っていき魔法を選ぶ。

この本には色々な種類の魔法が載っている。

治癒、火、水、土、風、解毒、その他日常生活に便利な魔法が階級別に載っている。

どれにしようか選ぶだけでも1日が潰せそうだ。


「よし、これにしよう」


魔法を決め特訓する前に土魔法で床を石で固め壁や天井も石もその他の小物も固めた。

水も用意しておく。

一応魔法で宿に被害が出たら弁償しないといけないので対策はしておく。

右の手のひらを壁に向け魔力を練り込む。

水の塊を生成し形は薄く先端を鋭利に伸ばし風魔法で水を凍らせる。

イメージとしては鋭く何もかもを貫く氷の槍。


「…ふぅ…」


右腕を一度真上に掲げ、前に勢いよく付きだし唱える


「…アイスランサー!」


唱えると同時に氷の槍は勢いよく射出され壁を貫き隣のエマの部屋の壁に突き刺さった。


「…え?…え?」


最初から中々に上手いこと発動させることができた。

これならあと数回練習するだけで習得できるかもしれないな。

壁の穴を見て頷く。

壁の…穴…………あ

…発動は成功した。

それまではよかった。

だがそれからがよくなかった。

エマが壁に突き刺さっている物を見てからこちらに視線を向けた。


「な、なにしてん…の?」


エマは困惑している。

意味がわからないと言った様子でエマが壁に空いた穴と僕を交互に見ている。


「え、えと魔法の特訓をしてたら…つい、ね?」

「………」


沈黙が怖い。


その後正座をさせられ。

エマからはちゃんとした説教を受け、ガザンからは、まあそんなこともある。と慰め半分あきれ半分くらいの言葉を掛けてもらった。

自分が情けなさすぎて二人の顔を見れなかった

壁に空いた穴を宿の店主に謝ると。

修理してくれるなら許す。

と言ってもらいなんとか弁償はせずにすんだ。

店主の優しさが身に染みる。


壁の修理が終わる頃には既に夜になっていた。

雨も止み明日の朝には出発できそうだった。


「…んんっ……ふぅ」


椅子に座り伸びをした。

今日で五日目か。

日記に今までのことを書いていく。

自分は日記をマメに書くことはできないので書きたくなったら一気に書くようにしている。

旅のことだったりガザンから教えてもらったこと等を書いた。

書き終わった後見返すと満足感がある。

……そういえば自分は旅に出る前はどんな人間だったのだろう。

……いや、こんなの考えるだけ無駄か。

今が楽しいのだから気にしないようにしよう。

日記を閉じ鞄にしまう。

ベッドの上の魔道書を手に取り寝転がりながらペラペラと捲る。


「あっ」


今の自分にぴったりな魔法を見つけた。

右手を足にかざし唱える。


「ヒーリング」


手からは緑の光が発光した。

その光に当てられた足は回復していく。


「…あー…効くっ効くっ」


足から筋肉痛が無くなり楽に動かせるようになった。

魔道書によると治癒魔法は魔力の消費量が人によって代わるらしく、魔力総量が多いか相当なバカ以外は使わないらしい。

僕はガザンからもらったこのネックレスのお陰で魔力消費量が少ないのでまだなんとかなっている。


「…よしっ、足も楽になったし夜の町を散歩してみようかな」


ドアを開け部屋から出るとエマが待ち構えていた。

じとっとした目でこちらを睨みながら。


「…え、えっとエマ?どうしたの?」

「監視、ガザンにキミが次何かしでかさないように監視してくれって。それよりもなにするつもりだったのこんな時間に?」


な、なんだこの危険人物みたいな扱いは、かなり心外だぞ。


「いやいや、ただ外に出て町を散歩しようとしただけだよ」

「だめ、今日は寝ないとだめ、明日からまた進むんだから体はしっかりと休めて」


体を押され部屋の中に仕舞い込まれた。


しょうがないので今日は寝ることにした。

目をつぶった。

不思議とすっと意識が落ちていき眠りにつくことができた。


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