四話 バトルジャンキー
目の前の美人エルフにダンジョン探索に誘われた。
そして僕もガザンからダンジョンの話を聞いてダンジョンへの興味はかなりあった。
いつかは行ってみたいと思っていたのでちょうどよかった。
「行きます」
「よし…えっとそういえばキミってさ何歳なの?私は12歳」
「…僕も12歳です」
年齢を答えたその瞬間エマの笑顔が弾けた。
「えっ!同い年!?同い年なんだったらその敬語外して喋ってよ!」
エマは同い年だとわかったからか先ほどのダウナー系エルフお姉さんの雰囲気は消え、表情は年相応の少女になっていた。
こっちはこっちで別のベクトルの可愛いがあった。
「わ、わかった、エマ!」
「うん!うん!キミ!」
よほど嬉しかったのかエマが僕の手を握ってぶんぶん上下に振り回しながら名前を連呼していた。
その後湖で2人一緒に水浴びをし、水の掛け合いをしたり雑談をしたりしていた。
話をしているとわかったがエマはエルフの村で育ったらしく、同年代の子が一人もいなかったらしい。
そのせいで友達ができずずっと家で本を読んでいた、その本の中にはダンジョンや魔法についての物があり、そこから冒険に憧れるようになったとか。
それにしてもとんでもない度胸だ、この歳で一人旅なんて、一応僕もそうか
「エマは12歳なのによく一人で冒険なんてできるね、怖くないの?」
「…まあ最初は怖かったよ、夜とか何があるのかわからなくて、でもすぐ慣れたよ、それに一人でいることなんて元から慣れっこだしね。ていうか一人なのはキミもでしょ?」
「いや一人じゃないよ、僕にはガザンさんっていう仲間がいるから」
その後ガザンの強さや偉大さ語った。
しかしエマは爪を弄りながら話し半分に聞いている感じだった。
全然興味がなくなにか考え事をしているようだった。
そしてなにか決まったのかこちらに顔を向けて口を開いた。
「よし決めた、ダンジョン今から行くよ、早く着替えて」
「…へ?」
気付けばダンジョンの入り口に立っていた。
塔のような形をしており入り口は謎の模様が入っている岩で閉じられている。
「ねえエマこれ入り口閉まってない?今日はもうこんな時間だし営業終了してるとかじゃないの?」
「…っぷ…キミが言ってたガザンさんに聞かなかったの?」
エマが手を入り口の模様に近づけた、そして魔力を込めたかと思えば一瞬でその場から消えていた。
「…えっ…えっ!?」
その現象に目を点にして驚いているとエマがまた目の前に現れた。
「えっ!?」
「…この模様はこのダンジョンの魔方陣でね、魔力を直接流すことによってダンジョンの中に入ることができる仕掛けが施されているんだよ、よしじゃあキミもやってみて」
言われたとおり手を模様にかざし目を閉じそのまま魔力を流し込んでいく。
魔力をダンジョンに吸われているような感じだ。
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ふと魔力を吸われる感覚がなくなり冷たい風に肌を撫でられた。
目を開いた。
すると目に写ったのは岩で囲まれた先の見えない長い廊下だった。
そしてエマが目の前に現れた。
それに僕は驚き変な声を出してしまった。
「…わっ!」
エマはこちらに目を向け安心したように
「あっよかった、ちゃんと移動できてて、じゃあ先進むよ」
「う、うん」
そうして長い道を歩く。
陣形はエマが前で僕が少し後ろだ。
それにしてもここは肌寒い、動いているのにまったく暖まる気がしない。
ふとエマが足を止め、手でこちらを制止した。
「キミ、この気配魔物だよ」
「え?」
暗く影で隠れた奥の方から足音以外にもカラッカラッと骨のような音が聞こえる。
エマは腰に着けていた短剣を抜き前に構える。
「キミ、前は私が行くから後ろから援護よろしくね」
すると人体骨格模型のようなスケルトンが三体ほど横並びで影から現れた、剣を持っている、エマに気付いた瞬間スイッチが入ったように突撃していた。
そんなエマも同じようにスケルトンに突撃して
「ふっ!…はあぁっ!」
掛け声を出し真正面のスケルトンの首目掛けて剣を振り抜いた。
するとスケルトンの首の骨が綺麗に両断され頭がポンッと上に花火のように打ち上がった。
左右のスケルトンはそんなことも気にせずエマに剣を振り下ろそうとしていた。
「ロックガン!」
そう唱えると僕の手のひらから石が生成された。
生成された石はとてつもない速度でスケルトンに向かって進んでいき剣を弾いた。
そしてその隙にエマは短剣を左のスケルトンの首に引っかけ
「っはぁっ!」
勢いをつけ横に薙ぎ二体の首をはねた。
ふぅと一息ついてからエマが笑顔で駆け寄ってきた。
「いい魔法だったよキミ、この調子で進んでこ」
なにか楽しそうで嬉しそうな声色をしていた。
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その後も十分ほど進んだが、出てくる魔物はスケルトンやゴブリンで話で聞いて想像していたダンジョンよりもショボく感じてしまった。
エマがあくびをしたり退屈そうにしていた。
そして最奥にたどり着いた。
そこには岩が転々とあり、広い空間で、真ん中に宝箱があり、その奥には入り口と同じ模様の魔方陣があった。
恐らくこのダンジョンはここで終わりなのだろう。
そうしてエマが宝箱に近づいた。
エマが宝箱を開けようとした瞬間、地面から大きな揺れが起きた。
この震源は恐らく地中から起こっているやつだ。
しかも少しずつ地表に近づいている。
その場から離れようとした瞬間、地面が盛り上がり魔物が地面から飛び出した。
飛び出した勢いのまま空中に飛び上がりそのままドンッと大きな音を立てて着地した。
グア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ
頭が割れそうなほどの咆哮を上げた。
恐らくこのダンジョンのボスだ、そう思わせられるほどには気迫があった。
見た目はゴブリンをでかくしただけだが、大きさがとんでもない、ガザンよりも約2倍は大きく見える。
しかしよく見ると装備は何も持っておらず目は2つとも潰れており何も見えていないのか、こちらには気がついてはいなかった。
「っ…」
緊張で声が出せなくなる。
もしかしたら死んでしまうかもしれない。
さっきの魔物達よりはるかに強いどうするべきかと考え、冷や汗が体全体に流れる。
ちらっと隣をみるとエマは短剣を抜いていた。
「キミ援護頼むよ!」
「え?」
突然の言葉にすっとんきょうな声を出してしまった。
「やっと骨のありそうな相手がでたね!楽しくなってきたっ!」
エマの最初の印象はクールなお姉さんだったが今ので変わった。
バトルジャンキー野郎にしか見えなくなった。
そしてエマは短剣を片手にボスに突撃した。




