三話 筋肉フェチ
ガザンに眠る直前に聞いたのだが満月の夜はなぜか魔物が活発に動くらしく満月の夜は気を付けろと言うのを教えてもらった。
そうしてそのガザンは今隣で眠っている。
「ぐがー…ぐがー…」
ガザンのイビキがうるさい。
先ほどの魔物たちよりよっぽど恐ろしく聞こえるイビキだ。
「…じー」
ガザンの体に視線を向ける。
ガタイが良すぎる。
ほんとうに同じ種族なのだろうか、少しガザンの力こぶを触ってみた。
「…へ!?」
余りも硬すぎた。
肉体というにはカチカチで、鉄と比較してもこの筋肉の方が硬い。
なんだこれ、職人さんこれで釘とか打った方がいいぞ。
そんなことを考えていたらその後いつのまにか眠っていた。
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目を覚ましテントを出るともう昼過ぎぐらいだった。
既にガザンは起きていたらしく準備体操をしていた。
ガザン曰く1日を始めるためのいつものルーティーンらしい。
こちらに気付きガザンが口を開いた。
「おお、ようやく起きたか、それにしても顔が…スッキリしたな、何か言い夢でも見たか?」
「へ?」
鏡を取り出し顔を見る。
自分では気付かなかったがなぜだか顔がにやけていた。
「……まあそんなところです」
「そうかそれはよかったな、あと今日はこんな時間だ、今日は先に進まずこのままここで休むぞ」
「わかりました」
今日は進めないのか、じっとしているのは好きじゃないんだけどな。
「うえっ…」
ふともう一度鏡に映る自分を見てみた。
すると服に昨日の戦闘によって血がべったりと着いていた。
服を脱ぎ付着した血に手をかざし呪文を唱える。
「…ウォーターシャワー」
手のひらから水を雨のように放った。
濡らしてから石鹸を使いただただ無心で擦り洗いだ。
一時間の格闘の末、服はある程度綺麗になった、だがやはり血が乾ききっており落ちていないところもあった。
だが汚れを少し遠目から見たらそういう模様みたいでかっこよく見えてきた。
歴戦の旅人感がでて興奮する。
「…ふへへ…くっしゅん!」
さすがに外で下着一枚は寒かったので、すぐに服を着た。
テントに戻るとガザンがなにかしていた。
「…ふぅ…ん?ガザンさんなにしてるんですか?」
「ん?、ああ、ハンマーを磨いているんだ、昨日の戦いで少し汚れてしまったからな」
チラッとガザンの手元を見ると、昨日見たときよりも一回りどころか二回りほど小さく縮んでいるハンマーがあった。
「昨日このハンマーもっとでかくなかったですか?」
「ああ、そうだな、聞いて驚くな実はこれは魔道具でな、使用者の意思によって大きさを変えられるんだ」
「大きさが変わるってことは重さとかも変わるんですか?」
「そうだな、小さければ軽く大きければそれに見合った重さに変わるぞ」
てことは昨日のあの大きさのハンマーを動かしたのは素の力ってことか、改めて聞くと魔物よりも魔物な気がする。
「どうだ魔道具への興味が湧いてきただろ?魔道具はいいぞ、能力は戦闘にも普段の生活にも使えてな。俺のこれはダンジョンの奥の宝箱で見つけてな………」
その後一時間ほど魔道具についての良さを語っていた。
まさか魔道具オタクな部分があるとは…
「そうだ、お前に一つ魔道具をやろう、確かここら辺にあったはず」
ガザンは鞄の中に手をいれごそごそと探している。
そしてネックレスを取り出した。
「これだ、このネックレスを着けておくといい」
「えっ、えっとこれはネックレス?」
「首にかけておくと魔力の消費効率が良くなる能力を持っていてな、魔法を使うお前にちょうどいいと思ったんだが」
「ほんとにこんな良いもの僕なんかが貰っちゃっていいんですか?」
「ああもちろんだ、このネックレスは俺の体のでかさじゃ着けられないし、第一俺は魔法を使わないからな、宝の持ち腐れになってしまう、それなら魔法を使うやつが持っていた方がこの魔道具的にも嬉しいだろう」
「…ありがとうございます、ガザンさん僕一生大事にしますね!」
満面の笑みを浮かべながら彼に感謝の言葉を伝えた。
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夜テントの中僕は仰向けに寝転がっている。
ガザンはもうすでに眠りについている。
「…全然眠くない」
朝寝ていたこともあってか全然眠くなかった。それなので少し夜の森を探索してみることにした。
手のひらから丸まった火の玉をポウッと出し明かりにする。
木に引火しないように気を付けながら森を探索していると、小さな湖を見つけた。
月の光に照らされ幻想的に見える。
「…水浴びでもしようかな」
ズボンの裾を腰まで捲り、湖の中に入ろうとした瞬間
「わっ!」
湖の中から人が出てきた、全裸だ!
体の上から下をまじまじと見る、青い髪、尖った耳、赤い目、
間違いなくエルフだ。
「…!もしかしてエルフですか?」
「そうだけど!てかそんなじろじろ見ないで!」
「…!すいません!」
後ろに振り返った。
少しして着替え終わったのか。
彼女が声をかけた。
「もうこっち見ていいよ」
「はい」
「私はエマ、えっと貴方の名前は?」
「…僕はキミと申します…先ほどはごめんなさいエマさん、なんでもするので許してください」
「いやいや、あれは不慮の事故ってやつだし、それに人に見られたくないくせにあんなところで水浴びしてた私も悪いし…ね?だからお互い様ってことで」
「えっとエマさんはなぜこの辺りに?」
「ここら辺にダンジョンがあるって聞いたから探しに来たの、キミは何してるの?」
「…僕は旅をしています」
「旅の目的はあったりするの?」
「えっと、僕はとりあえず旅をしてみたいと思ったからで、今は気楽に適当に」
「…なるほど」
エマは少し考えるような仕草をし、なにか思い付いたのか口角を少しあげ、顔をぐいっとこちらに近づけた。
「なら別に急いでたりはしてないよね?」
「!?え、まあはい」
「しかもさっきなんでもするって言ってたよね?ね?」
すごく圧が強い。
そんな美人な顔で至近距離で圧をかけられると、まずい、そんなのなんでも言うことを聞いてしまうじゃないか。
「い、言いました」
「だったらキミ、私のダンジョン攻略を手伝ってもらってもいいかな?」
そうしてエマにダンジョン攻略の誘いを受けた。




