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魔法と旅  作者: かも
二章 学園編
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第十三話 息子

なんと今砂に生き埋めにされている。

息ができない。

苦しい。

なんとか魔力を絞り出す。


「…ウィンド…ロケット」


足元からぶわっと風が吹き、勢いよく砂から飛び出した。

なんとか砂漠から抜け出し緑地に入ることができた。


「…げほっ…げほっごほっ…」

「……」


誰かいる、様子を見られている。

気配だけで分かる僕よりも明らかに格上だ。

少しでも動いたら…殺される。

汗が頬を伝う。


「えっと…ごめんなさい!大丈夫?」

「……え……げほっ…は、はい」


見上げるとそこには僕と同じぐらいの年代の女子がいた。

もしかしてこの子が。


「…ごめんなさい、魔道具の実験をしてて…」

「そ、そうだったんですね…安心してください…ぼ、僕全然ピンピンしてますよ」


立ち上がり胸を叩く。


「げほっ!…」

「ぜ、全然大丈夫じゃないじゃん!もう強がらないでください」

「ご、ごめんなさい」


治癒魔法をかけてもらった。


「えっと…キミくんはどこから来たの?」

「うん?…僕はランザ大陸から来ました」

「え!…ランザ大陸ってほんと?」

「はい」

「すごいね、ランザ大陸からこんなところまで来るなんて冒険者とか?」

「えっと僕はまあそんなところです、それよりもここはどこなんですか?」

「ここはねライト大陸だよ!」


ライト大陸。

…地図を思い出せ。

えーと確かランザ大陸は地図では真ん中の下辺りにあって海に囲まれていて。

その左上海をまたいでスペル大陸。

そしてその右にサンドルド大陸。

さらにその上の方に確かグランチック大陸。

更に更に右の方にライト大陸があった。

と言うことはこっからだとランザ大陸までは果てしないということがわかった。

…一応聞いてみるか。


「…えっと質問良いかな?」

「うん、どうしたの?」

「こっからランザ大陸までは何日かかる?」

「え、あ、えーと…三年ぐらいかな!」

「…………それは徒歩で?」

「そうだね、馬だとしたら一年ぐらいかな?」


無理だ、明らかに遠すぎる。

あのやろうなんて魔法を使ってくれたんだ。

帰れたとしても下手したら一年以上かかってしまう、その頃にはもうエマだって犯人を見つけてるはずだ。

どうしたらいいんだと頭を抱えていると。


「…えっともしかして急がないといけない用事でもあるの?」

「う、うんそんな感じのやつが」

「…そっか……ならここだけの秘密…教えて上げる、耳貸して」

「秘密?」


彼女が耳元でボソボソと喋り始めた。


「…私の通ってる学園にね好きな大陸に転移できる魔方陣があるの……」

「そ、それはどうやったら使わせてもらえるんですか?……」


生唾を飲み込む。


「…学園で特待生になったら使わせてもらえるの」

「特待生……」


学園…特待生…

自分にできるだろうか。

いやこの話しはできるできないじゃない、しないとだめだ。

もうこれ以外には今方法がないだったらやるしかない。


「…それはどうやったらなれるんですか?」

「特待生になるには条件が二つあるの、まず一つ目なんでもいいから上級魔法を一つ習得」


上級魔法、今僕が使えるのは中級までだ。

半年も死ぬ気で頑張ればなんとかなるかもしれない。


「二つ目は……私と親友になること…」

「……は?」


なんだ今、何て言われた?

自分の耳が都合よくそう捉えたとしか思えない。

一応もう一度聞いてみよう。


「えっと…ごめん、一つ目は聞こえたんだけど二つ目が…もう一回良いかな?」

「う、うん、大丈夫何回でも言うから…二つ目は私と親友になること…だよ」


だめだ。

二回目も間違えて聞き取っている。

耳に砂が入ったせいでおかしくなったのだろうか。

耳の砂を取り出そうとしていると。

彼女が手を掴みぐいぐい引っ張ってくる。


「ほら早く入学手続きしにいかないと」

「う、うん」


彼女に急かされるまま歩いた。

そうしてなんやかんや入学することはできた。

入学のためのお金が無かったのだがなんと彼女が立て替えてくれた。

しかも制服から筆記具まで必要なものを全て買い与えてくれた。

彼女はもしかして大富豪の子供だったりするのだろうか。

なんて感謝を伝えれば良いのかわからない。

そうして今は寮を案内してもらっている。


「ここの寮はね一部屋二人なんだー」

「へー…それで僕の部屋はどこに?」

「キミくんの部屋はね……なんと私とおんなじ部屋でーす」

「あ、そうなんだ」

「…思ってたよりリアクション薄いね」

「いやまあ、おんなじ部屋で寝るなんて良くあったし」

「そ、そっか仲間と旅してたんだもんね…も、もしよかったらその話も聞かせてね?」

「うん、いいよ」


なんやかんやで入学してしまったが大丈夫だろうか。

最近は魔法も行き詰まっているのに上級なんて使えるようになるのだろうか。

……だめだ、また弱気になってる。

こういう時こそ体を無理矢理にでも動かさないと。


「あれ…えっとそういえば君って名前なんだっけ?」

「あ、そういえばまだだったね自己紹介、私はライスって言うの、よろしくねキミくん」

「うん、よろしくライス」


なんだか口に出すととてもお腹の空く名前だ。

…そういえばご飯もまだ食べていなかったな。

お腹からぐーと音がなる。


「…ははっ、お腹空いてるんだね」

「う、うん」

「だったら部屋に荷物置いたら食堂行こっか」

「うん」


部屋まで案内してもらったが、部屋には魔道具が改造された物や魔方陣などの研究の跡が残っていた。

恐らくだが彼女がしていたものである。

彼女の手をよく見てみると火傷の跡があり、制服の袖から見えた腕には包帯が巻かれていた。


「ご、ごめんね…部屋掃除してなくて…」

「いや全然良い部屋だと思うよ」

「……そっか」


荷物を部屋に置き食堂に案内してもらった。

食堂は広く百人いてもまだまだ余裕で席が空いているぐらいには大きい。


「…すごいね、こんなおっきいとこ初めて見た」

「でしょ私も最初は驚きっぱなしだったの!」


食堂はメニューも豊富でセットメニューが百種類ほどありどうやっても飽きない仕様になっている。

しかもサイドメニューも豊富でこの世のカロリーを詰め込んだようなメニューをしている。

でもそんなにメニューが多いと使われてない食材とか腐りそうと思う人もいるだろう。

しかしここでは料理長が直々に魔法を使って野菜を文字通り冷凍させておりどうやっても腐らないようにされているのだ。

なんて素晴らしい環境なのだろうか。

ここだけで一生ここの学生でいたいと思うほどの設備だ。

早速メニューを選んだ。

すると五分ほどでメニューが完成した。

あまりにも速すぎる。

ここは天国のような設備だ。

そうして席に着いた。


「すごいねここ、もう感動だよ」

「食堂でそんなに感動してたら校舎見たときなんか絶対感涙しちゃうよ」

「うん、絶対すると思う」


料理は期待を裏切ること無くうまかった。

食べ終わったあとは寮の自室に戻り今はお互い自由な時間を過ごしている。

ふと思い出した。

そういえばライスに一つ聞きたいことがあるんだった。

ノートになにかを書き込んでいるライスに声をかけた。


「あの、ライスずっと気になってたことがあるんだけど聞いても良いかな?」

「…え、あ、うん、どうしたのキミくん?」

「なんで僕の事くん付けで呼ぶの?」

「え、だってキミくん男の子だし呼ぶならこうかなって…」

「…うん?」

「うん」


?が頭いっぱいに浮かんできた。

なぜなら僕は女の子のはずだ。

男?は?

胸を触る。

感触が違う、いつもより硬い。

下も触って確認する。

…ある、あるのだそこに伝説のエクスカリバーが、無かったはずの聖剣がある。


僕はいつの間にか男になっていた。

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