第19話
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ベルクは街に戻ってから迅速に動いた。直ちに司令官を汚職容疑で軟禁し、別動隊をヘルペス逮捕に向かわせ、捕まえたライアンたちの尋問を開始した。
そして、ヘルペスが連行されてくると、ベルクは早速ヘルペスの尋問を始めた。
「賭場の開催、不正輸出、人さらい、すべてについて、お前の手下は罪を認め、お前の関与も白状している。内通していたトーマス司令官も軟禁している。もう言い逃れはできないからな」
ベルクはヘルペスに向かって厳然と言い放った。ヘルペスは司令官の名前が出たとたんに狼狽しはじめた。切り札を失ったことに愕然としているのだろう。
「俺は悪くない。全部部下が勝手にやったことだ。何も知らない。俺も被害者なんだ」
ヘルペスは喚き始めた。
「そんな言い訳が通じると思っているのか。このままだと確実に死刑だ。他にいる仲間の名前を言えば少しは刑が軽くなるかもしれんぞ。城門警備と内通していることもわかっている。司令官以外にも公安に内通者がいるんだろう?」
ベルクは畳みかけた。ヘルペスは観念し、ぽつりぽつりと話し始めた。
ベルクはヘルペスの尋問が一段落すると、司令官を軟禁している部屋に向かった。部下2名を同席させた。
「トーマス司令官、ヘルペスたちに内通して、賭場の開催、不正な輸出、人さらいに加担していたことはわかっています。あなたのような方がなぜ?」
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トーマスは自分の運命を呪った。なぜこんなことになってしまったのだろう。どこから間違ってしまったのだろう。公安の仕事を誇りに思い真面目にやってきたはずだった。
トポスに赴任してトポス市主催のパーティでヘルペスに会ったのが始まりだった。ヘルペスは赴任したばかりで街のことをよく知らない自分にいろいろ良くしてくれた。
断じて接待を受けたり、金銭を受け取ったことはなかったが、ヘルペスの同業者の不正取引の情報を教えてもらっていくつかの手柄をたてることができた。
ある日、ヘルペスと食事しているときに急に眠気が襲ってきた。そして、翌朝目を覚ますと、娼館のベッドで見知らぬ女と寝ていた。そこにヘルペスが入ってきて、この女は隣国から連れてきた奴隷だと聞かされた。公安本部に知られれば確実に罷免になるのは間違いなかった。
そこからはヘルペスの言いなりになるほかなかった。金ももらうようになった。どんどんエスカレートして抜けられなくなった。もはや、踏み外した人生を元に戻す方法はなかった。
「すべて事実だ。自分はヘルペスと内通していた。言い訳はしない。ヘルペスがやっていたこともすべて証言し、罰を受ける」
トーマスはまるで塗炭の苦しみから解放されたかのようなやすらぎを感じなら、正直な思いを吐き出した。
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リアムたちはベルクさんからあてがわれた部屋で待機していた。
「名前はなんて言うのかな?」
「ユーリと言います。9歳です。助けてくれてありがとうございました」
「ユーリちゃんはどこで奴らに捕まったの?」
「お母さんが仕事が終わる時間に迎えに行こうと思って歩いていたら、馬車に乗せられてしまって」
ユーリちゃんはそのときのことを思い出してしまったのか、急に表情を曇らせた。
「ごめんね。すぐにお母さんと会えるからね」
「はい。もう大丈夫です」
奴らを許せない気持ちがリアムの中でどんどん強くなってきた。9歳の女の子を親から奪い、奴隷として売り払う。人間のやることではない。
リアムたちは、ベルクさんから直接取り調べの状況を聞いた後に一旦拠点に戻ることにした。ユーリちゃんも母親が迎えに来てうれしそうに帰っていった。
翌朝、事件概要が公表された。トポスの街全体を揺るがすには十分なものだった。
フレアがさらわれたときの城門警備担当の2人も逮捕されたと、後日ベルクさんから連絡があった。
ヘルペスは他に内通者はいないと言い張っているとのことだった。これを鵜呑みにするわけにはいかない。ヘルペスはまだ何かをたくらんでいるかもしれない。リアムは引き続き警戒が必要だと感じていた。




