XIV.節制
【Mission】
ホシを特定せよ!
No.001 ヒッグス場
自由度4の場とされる。
一定のノルムが4次元に描く超球面上にSU(2)対称性を具えた真空を持つポテンシャル構造が想定されている。
この構造から角方向の摂動からは質量0のゴールドストンボゾン、法線方向の摂動からは有限質量のボゾンが生じ、実験結果を巧みに説明する見事な仮説であるが、そういうポテンシャル構造の場があればという動機から仮設されており、場の値が測定できるわけではない。
No.002 弱い相互作用
自由度3の場でSU(2)対称性を持つとされる。
運動量の交換を果たすという意味で重力や電磁力の近縁(ゲージ場の一種)とされるが、重力や電磁気力のように静止力源間での作用は確認されておらず、もっぱら反応過程からその存在が観測される。
SU(2)×SU(2)はSpin(4)(SO(4)超球面に生えたベクトルを回転させる群)であることが数学的に示されている。
理論上、SU(2)は右手系のSU(2)R、左手系のSU(2)Lの別があるが、実験室で観測されるのはもっぱらSU(2)Lである。
「どうして左手系だけ?」という謎は標準理論における未解決事件の1つに数えられる。
そもそもそういう対称性の場があれば実験結果を巧く説明できるという動機から仮設されており、場の値が測定できるわけではない。
なお、ヒッグス場とは深く関連しているとされているが、場としては別物だそうだ。
No.003 ヘリシティ
左手系を左手系たらしめる物理量…と言うと語弊があるな。
一般には「進行方向に対して時計回りのスピンか反時計回りのスピンか」みたいに説明されることもあるが、スピンに時計回りも反時計回りも何もあったもんじゃない。
質量を持つ粒子は弱い相互作用をしない右カイラル成分と弱い相互作用をする左カイラル成分の両方を持ち、各々がどれくらい表に出ているかがヘリシティである。
ヘリシティは『通常』保存されるが、反転させるには粒子の減速か実験室系を粒子より高速になるまで加速しなければならないことから、簡単に言えて実質不可能である。
標準理論では左手系の粒子のみ相互作用し、右手系は幽霊のように相互作用しないとされるのだが、減速させるだけで移ろうってまじかよ。
マニー:
…ねぇ。私、犯人にうっすら心当たりあるんだけど。
マイク:
奇遇ですね。私もです。
勿論検証は必要ですが。
弱い相互作用の方は場の正体を何だと思いますか?
マニー:
変分場じゃね?
真空方向に張り付くのは道理だし、4次元にノルム一定で描かれる超球面は自由度3になるよ。当然方向を持つベクトル場になるし。
マイク:
確かに…。
マニー:
もしも仮に事件の真相が私達が想像した通りだったとするよ?『内部空間』って概念、必要なくないか?
マイク:
…あ。
迷探偵の公理(私理?)初登場回
次回予告:なぜ片割れだけが生き残ったのか?




