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けもみみ王女は世界を救う~大好きな家族と大切な仲間、そしておいしいご飯のために、あたしも戦います!~  作者: あまね月


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第五話 一日の報告

 食堂にて晩ご飯が終わり、食休みのお茶を頂いていた。


 

「さて、今日は一日なにをしていたのか聞こうかな。先にアイリーンから聞こうか」


 

 お父様とお母様があたしをしっかりと見て、話を聞いてくれる。

 お仕事が忙しくてなかなかお話することができないから、この時間は貴重だ。だから身振り手振りを使って目一杯伝える。


 

 料理長から聞いたハーモニー王国にいつか行きたいこと、海にいる魔物のこと、魔物と戦う漁師のこと、館長から聞いた昔のこと。


 

「お父様、お母様。あたし魔物を倒せるようになります! 明日、騎士団に行って訓練を頼みに行く予定です!」


 

「立派な志だけど、ちょっと早いんじゃないかな。まだ五歳なんだから。エリーもそう思うだろう?」


 

 お父様は眉を下げながら、お母様の方を見る。お母様はしばらく考え込んで、まっすぐあたしを見つめる。


 

「案外いい機会かもしれないわ」


 

「えぇ⁉︎ 危ないよ。怪我したらどうするんだ」


 

「怪我をしないための訓練よ。昨今の状況を考えると今から訓練した方がいいかもしれないわ。少し早いけれど、アイリーンとの相性を鑑みて専属護衛を決めてしまいましょう」


 

 

「まぁ、それなら仕方ないな。アイリーン、あくまでも怪我をしないためだ。護衛にしたい人がいたら教えるように。魔物を倒せるようになるのはまだまだ先の話だよ」


 

 えぇ〜とは思うけど、あたしが実力をつけたらきっと認めてくれるわ。頑張るぞっ!


 

「僕が騎士団長に話を通しておくから、ちゃんと指示に従うこと。騎士団は危ないことも多いから、指示に従えなければ訓練できないからね。わかったかい、アイリーン」


 

「はい! きちんと指示に従い、魔物を倒せるようになります!」


 

 貴族のマナー通り、腕をクロスして掌を胸に当てるポーズでしっかり宣言したのに、お父様はまだ不安そうにしている。

 

 なぜだ。


 

 まぁとりあえず、訓練できるみたい。

 やったー! 嬉しいな。これからも美味しい料理を食べるためには魔物が邪魔なのだから、倒すしかないよね。


 

 にゃっふっふ、あたしは強くなる!


 

「次はセオドアね、お待たせ。今日はどんな日だったのかしら?」


 

「はい、今日は視察に行って参りました。近年少しずつ収穫量が減っているので今年は少し実験をしています。その経過観察と、実験をしていない普通の作物の状況を見てきました」


 

「そういえば、畑に肥料を与えてどう変わるか実験してみると言っていたな、どうだった?」


 

 お父様は興味深げにお兄様を見ている。お兄様の表情は晴れない、悩んでいるのかしら。


 

「それが、実験した畑は少しマシという程度で、なにもしていない普通の畑ははっきりと痩せていました」


 

「はっきりと痩せていた? 今までは少しずつ収穫量が落ちていて、少しずつ痩せていたはず。今までより明らかに痩せているということかしら?」


 

 お母様が身を乗り出してお兄様に質問している。あたしも興味津々だ。何しろ食べ物の話なのだから、気になって仕方がない。


 

「はい、状況は明らかに悪いです。今年の収穫量は今までより一段とひどくなると思われます。農民たちも戸惑っています」


「なんてことだ」


 

 お父様もお母様も難しい顔をしている。どのくらいひどい状況なのか、実感としてわからない。


 

 なぜならあたしの食事には何ら影響が出ていないから。魚の干物は少なくなったから海の魔物を倒せば魚も獲れるようになると思ったけど。


 

 でも農業はどうすればいいか分からない。魔物のせいではないのよね?

 うむむむ。昔はなにもしなくても作物がよく育つ土地だったって習ったけどなぁ。

 分からないことは聞いてみるに限る。


 

「魔物のせいではないのですよね?」


 

「そうだよ。魔物が出るのは精霊様の結界の外側である、海と空だからね。陸に魔物が出たことはないんだ。だから魔物のせいではないと思う」


 

「エド、全く関係ないとはいえないのじゃないかしら。魔物が増えて強くなっていることと収穫量が落ちていること、一見離れている問題だけれど案外どこかで繋がっているかもしれないわ」



 むずかしくてわかんないよー! お母様もお父様もお兄様も、うつむきがちに考え込んでしまった。


 

 仕方ないので、果物を頬張る。うーん美味しい! ひらめいたっ!


 

「精霊様が守ってくださるから大丈夫! 精霊様はとても強いお力を持っているのでしょう? 建国以来ずっとエヴァーヘイヴン王国を守ってくださっているのだから、きっと大丈夫よ!」


 

「そうね、きっと精霊様が守ってくださるわ」


 

 お母様はそう言って微笑む。お父様も笑顔でうなずいた。お兄様だけ暗い顔をしている。

 どうしてだろう、ずっと悩んでいるみたい。


 

「僕はまた明日、視察に行ってきます。他の畑も見ておきたいので」


 

「わかった。無理しないように気をつけるんだぞ」


 

「はい、大丈夫です」


 

 お父様は心配そうにお兄様をみる。あたしも心配だ。だってなんだか元気がないんだもの、最近のお兄様。


 

 一日の報告が終わったらお別れの時間だ。


 

「お父様、お母様、おやすみなさい」


「お休みなさい、アイリーン。よい夢を」


 

 お父様、お母様と順番にハグをする。とても安心するこの時間が好きだ。


 

「お兄様、おやすみなさい」


「うん、おやすみアイリーン」


 

 お兄様ともおやすみのハグをする。なんだか元気がないから、しっかりハグをしてお兄様の背中をポンポンする。

 お兄様が元気を取り戻しますように。



 

 お風呂に入って、いつものようにベッドに入ったあたしは、お母様の子守唄を思い出していた。


 

『お眠りなさい かわいい我が子 精霊さまが 見守っている 怖いものなど なにもないから』


 

『おかあさま、せいれいさまってなーに?』


『精霊さまはこの国を守ってくださっているのよ。いつかアイリーンも会える日が来るわ』


 

 精霊さまが守ってくださっている。きっと大丈夫。


 

 収穫量だって上がるし、漁獲量も上がる。魔物だっていつかいなくなるわ。

 お兄様もきっと元気になる。


 

 精霊さまに会えたらお礼をしなきゃね、ずっと守ってくださっているのだから。


 

 精霊さまが守ってくださると思うと、心がじんわりとあったかくなって、ぽかぽかしてきた。

 にゃむにゃむ、おやすみなさい。


 

 夢の中で誰かがあたしを呼んでいるような、そんな気がした。


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