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けもみみ王女は世界を救う~大好きな家族と大切な仲間、そしておいしいご飯のために、あたしも戦います!~  作者: あまね月


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第三話 魔物って?

 お兄様の執務室の窓まで来たけれど、どうやらいないみたいだわ。

 ふにゃん。いったいどこにいるのかしら。



「姫さま! また窓からいらして、いけませんよ」



 お兄様付きの侍女がいたので、どこにいるのか聞いてみたら、視察に出かけたらしい。無念。



 仕方ない、どうしようか……。ん? 今何か視線を感じたような……ふむ、まいっか!



 それよりも、あの人ならきっといろんなことを知っているはず。

 我が国の生ける歴史、エルフ族の王宮図書館長なら。



 王宮図書館は王宮の中ではなく、別に建てられている。円形になっていて、3階ほどの高さがあり壁一面に本が並んでいる。



 採光にもこだわっているこの図書館は館長のために館長が設計した建物だ。



 館長は長命なエルフ族の男性で、年齢は三百歳を超えているらしい。二十代のイケメンにしか見えないけどね。



 初代国王と共にこの国を建国した一人で、賢者とも呼ばれている。



 そんな館長は甘党であたしのスイーツ仲間だ。美味しいスイーツを一緒に食べる大事な友達である。



「こんにちは、館長はいらっしゃいますか?」



 受付の人に館長室まで案内してもらう。館長はだいたい自分の部屋で本を読み耽っていて、それが生きがいらしい。



 館長室はまぁまぁな広さで、本や資料がたくさん積まれている。



「いらっしゃい、姫さま。今日はどうされました? お茶会の予定はなかったはずですが」



 にゃは〜、相変わらず綺麗な金髪に美しい翠眼だなぁ。それにピアスがお似合いです。



「こんにちは、ユビキタス館長。今日は魔物について教えてもらいたくて来たの。最近魔物が強くなってるって聞いて、なぜなのかを知りたくて。館長なら知ってる?」




「魔物についてですか、そうですね……原因については分かっていません。最近海や空に出る魔物退治でけが人が多くなっている報告はありますね。魔物も大きい個体が増えてきたとありました。研究はしていますが、そもそもなぜ魔物が現れるようになったのかも解明されていないのです」




 館長にすすめられてソファに座る。

 机を挟んで向かいに館長も座り、側仕えがお茶を淹れてくれたのでありがたく頂く。




「そうなの……。館長は魔物を見たことがある?」




「えぇ、ありますよ。遠くからですけどね、私戦闘能力ありませんし。……この国を作ったのは、元いた大陸で魔物が出始めて、治安が悪くなったことが原因のひとつですから」




「魔物が原因でこの国をつくったの?」




「いえ、原因は魔物というより人間ですね。ある日突然魔物が出てきて、その恐怖か不安か、人々が攻撃的になり始めました。人間たちが獣人やエルフを差別したり、排除するようになりました。私たちはそこから逃げて来たんです」




 大陸から来た先祖が建国したことは知っていたけれど、逃げてきたことは知らなかった。あれ? でも……。



「でもあたしのお父様もお兄様も人間よ。とっても優しいわ」




「えぇ、もちろん。すべての人間が攻撃的なわけではありません。現に初代国王は人間です。人間の中にも獣人やエルフを大切に想う人はいました。そういう人たちも住みにくくなった国を捨て、このエヴァーヘイヴン王国をつくったのです。初代国王は獣人である初代女王とご結婚なさいました。もともと恋人だったんですが、元いた国では歓迎されず、それで出てきたんです」




 にゃー! 知らなかった! もともと恋人だったなんて! 初代国王は初代女王と結ばれるためにこの国をつくったのね! すてき!



 王国は異種族結婚が普通にある。あたしの両親もそうだ。お父様は人間で、お母様は白虎族。生まれてくる子供は片方の種族を受け継ぐから、お兄様は人間で、あたしは白虎族を受け継いだ。




 それが当たり前のように考えていたけど、大陸では違うのかも。

 人間でも獣人でも家族になれるのになぁ。



「どうして、獣人やエルフが大陸では歓迎されないのかしら……」



「昔は違ったんですけどね。と言ってもだいたい250年以上前ですけど」



「昔は仲がよかったの?」



「えぇ、人間、獣人、エルフにドワーフ、妖精までみんな仲良く暮らしていましたよ。衝突がないとは言いませんが、対等に喧嘩してましたし、必ず仲裁が入っていました。異種族結婚も当たり前でした」




 王国と同じだわ。王国は昔からの価値観を受け継いでいるのね。

 あたしは今の王国が好きだわ。だから大陸のようになってはイヤよ。




「魔物がいなくなれば、みんな仲良く暮らせるのに……」




「そうかもしれませんね。……大丈夫ですよ、この王国は守護精霊さまが守ってくださっているので魔物は結界に阻まれて入ってきません。結界に攻撃してくる魔物も騎士が倒します。だから王国ではみんな仲良く暮らせますよ。大丈夫です」




 館長は優しい笑顔でそう言った。魔物のことを考えて不安になっていた心に晴れ間が広がる。

 ソファを飛び降り、拳をかかげる。




「あたし決めたわ! みんな仲良く暮らすために、しっかり訓練して魔物を倒せるようになる! その方がきっとご飯もスイーツも美味しいはずよっ!」




 魔物を倒して美味しいお魚を食べるために、頑張るのよあたし!



「姫さま、無茶しないでくださいね。大怪我をしたらスイーツを楽しめませんよ」



 それもそうね、大きな怪我をしないように気をつけよう。美味しく食べるために!



「ユビキタス館長、いろいろ教えてくれてありがとうございました。またスイーツの食べ比べをしましょうね!」



「えぇ、楽しみにしていますね」



 図書館をあとにして王宮へと向かう。

 行き先は食堂だ。



 あたしのお腹が空いてきたので、そろそろ晩ご飯だと思われる。

 あたしの腹時計はとても正確なのよ! きょうのっ晩ご飯はなっにーかな〜!


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