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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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93/101

劇場の主役は、君一人とは限らないよ

「レディース&ジェントルメン!今この瞬間から劇場は開幕です!!」

遊園地の中央、誰かの声が聞こえてくる。

「誰だアイツ?」

「さあ。行ってみっか?」

「罠かもしれませんよ?」

猫助はでかねこのままゆったりと滑空を始める。

男は広場の真ん中から俺たちを見る。すると男の周りからキラキラした子供向けのロケットがいくつも現れた。

「では、開幕を祝して!」

ロケットに一斉に火が付く⋯。それらはすべて俺らの方に真っすぐ飛んできた⋯

「ひ!猫助!かわせ!」

「え、おっと」

跳んでくるロケットを猫助はぎりぎりでかわす。過ぎ去ったロケットは爆発し花火となった。

猫助は無理に体を動かしたせいでうまく制御ができずただ真っすぐ落ちていく⋯

俺たちは男の近くに落下した⋯

「いてて」

「お二人とも大丈夫ですか?」

「なんとか⋯」

猫助が下敷きになってくれたおかげで、そこまでけがはないが内側の骨がところどころ痛む

「お三方、よく避けれましたね。ですが」

男はポケットに手を入れる。中から何かを掴んで引っ張る。それは先端がとがった槍のようなもので、引っ張るほど出てきて、1メートルほどの大きさになった。

「劇はまだ始まったばかりですよ」

男は手を叩く。槍は10個に増えた。男は槍を投げる。それに合わせ一斉に10個俺たちに飛んできた。

翔太が包丁で軽やかに槍をはじく。翔太はすかさず包丁を一本男に投げた。が、男は軽く包丁をつかむ。

「危なっかしいですね。いや、それもまた劇場ではつきものですか」

男は包丁を捨て、指を鳴らす。 

「私の名前は喜劇王リッツ。覚えていただければ幸いです」

すると、白い何かが生まれてきた。真っ白い顔に目立つ赤い鼻。手にはパステルカラーの風船をいくつも持っている。

そいつは風船を離した。風船は少し飛んですべて割れた。

そいつはにやりと笑って歩き始める。パフパフと可愛い音が鳴った

それはピエロだった


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