お化け屋敷は本物がたまに現れるから気を付けた方が良いよ
「ここって⋯」
目の前にあるのは、さっき行こうとして結局否定したお化け屋敷だった。ミイラや死神の絵が描かれているものの、さっきまでチェンソーを振りかざす仮面男とペスト医師と戦っていたのでそのポップな絵柄も相まって子供だましにしか見えてこない⋯
「外にいれば敵から視認されるので、ここで姿を隠しましょう」
「けど暗いから、急に襲われたりしたらやばいんじゃねえか?」
さっきお化け屋敷の案が消えたのはそのせいだった
「いえ、短いスパンで妖力を飛ばせば、妖怪がいた場合抵抗が発生するんで位置が分かります」
「おお、兄ちゃんもそれ出来るんやな。けどそれ結構妖力の消費激しいで?」
「大丈夫です。妖力量には自信がありますので、この試合が終わるまでずっとやり続けても半分も減らないと思います」
学校の怪談の時、あずきはそれをしていたせいで妖力がかなり減っていると言われていた。けど翔太はそれをし続けても大丈夫とは、こいつは一体どれだけ強いんだろうか⋯
「てか、同じ会場ってことは兄ちゃんも登録してへんかったんやな」
「今まで協会の存在を知りませんでしたので」
「妖怪になってどんくらいなんや?」
「5年くらいですね」
「5年やったら途中で協会から何度も狙われることもあったやろ?」
翔太は平気な顔で「そうですね。でも何とか勝てました」
「⋯⋯何とか勝てたって。兄ちゃんさすがやな。昔から運動とかやっとったんんか?」
「中学は文芸部で今は水泳部やってました」
「柔道とかじゃないとこういう戦闘って無理なんじゃねえか?」
お化け屋敷の中に入りながら俺が言うと「せやな」と猫助が言う。
お化け屋敷の中は予想通りの暗闇で少し先が見えないほどだ。明かりのスイッチが無いかと入り口付近の壁をさすってみても、それらしい突起物は見当たらない。その代わり手にべっとりとペンキか何かが付いた。
「明かりが無いとやっぱり不安だな⋯」
「大丈夫ですよ。近くに敵はそこまでいませんから」
翔太の顔は見えない。それでも幼い声が聞こえてくると少し安心する。
「てかなんで俺のこと守ってくれるんだ?一応敵同士だろ?」
夜の学校で出会ってから翔太はずっと俺のことを守ってくれていた。昨日の夜、自分がなんで妖怪になったのかを詳しく教えてくれたが、それは俺を守る理由にはならない。
「確かに何でですかね」
翔太の答えに俺は思わず「え、理由なし?」と言ってしまう。
「そうですね。考えたことが無かったですね。まだ宗太さんとは出会って短いですけど、なぜか守らないとっていう気持ちになるんですよね」
その後数秒沈黙が続く。少しして「すこし恥ずかしいことを言ってしまいましたね。忘れてください」
翔太はボソッとそういった。




