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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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ペスト医師

俺はその姿を何度も見たことがあった。病で乱れる中世を救うべく、香料を詰めた仮面をかぶり一軒一軒足を運んで回った医者、ペスト医師であった。

「お初にお目にかかります。私の名前はペスト医師と申します。いきなりで申し訳ないのですが、実は私以前から宗太氏に興味がありまして、よろしければ少し体の中を見させていただきたいのです」

⋯体の中?。俺は耳を疑ったが聞き間違いでは無かったようでペスト医師は出刃包丁を取り出した

「見るってのは中をえぐってですか?」

「おっしゃる通りです。安心してください。こういった手術は慣れておりますので」

ペスト医師は出刃包丁を持ったまま俺に近づく。

「ちなみに俺にメリットとかってあるのか?俺生存ポイントが欲しいんだけど」

「なるほど。とても綺麗な指ですね。血管や血の色にこれと言って変なところは無く、人間そっくりですね。いや、人間と全く一緒と言っても良いです」

ペスト医師は俺の言葉を聞かずにそんな風に独り言を始める。⋯⋯激痛が走った

見れば俺の小指は切り取られていた。

「猫助!」

「はい!あんちゃん!」

猫助は咄嗟にでかねこになって俺を口で咥え、地面を強く蹴り上げる。空に高く跳んだ

俺は痛みで指を押さえながら、ペスト医師を睨む。ペスト仮面もじっと俺を見ていた

「あんちゃんの思っとる通り、あいつはあんちゃんじゃ勝てん奴や」

「あいつ頭いかれてるぞ」

「妖怪なんていかれてない方が少ないわ。あんなんぎょうさんいる」

「あずきもいかれてんのか?」

俺の言葉に猫助は目を反らして

「この試験は音声も映像も全部、選手一人一人生放送されてるしなんなら録画されていつでも見れる状態になるんや。今ここでそんなこと言ったらあずきはんにどつかれてまうがな」

「それは肯定ってことでいいんだな?」

「ソンナワケナイデ、アズキハンハジンカクシャヤデ」

「血もなめてみたんですけど、これもいたって普通といった感じですね」

なんで片言なんだとツッコミを入れようとした口が固まる。猫助の背中に⋯ペスト医師が乗っていた⋯

「今回の試験は使い魔などは立ち入り禁止なので猫又と主従契約と言った感じではなさそうですね。ではどんな関係なのか。実に知りたくなってきました」

猫助は空中であり、俺はそれに咥えられてる。何もできずにいる

ペスト医師は俺を興味深そうにうっとりと見ながら猫助の背を殴りつける。

俺達三人は地面に急落下した⋯

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