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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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77/85

協会だよ

石川は田舎だからか、路地というものが結構少なかった。その路地は今まで何回も通ったはず通路の隅に人一人分だけの空間がそっと空いていた。そこを通っている途中、人間はおろか虫の一匹でさえ見つからず、常に体を寒がらせていた。そこを少し歩いたところで、急に景色が変わった。

そこを境に桜が舞い、小鳥が鳴きところかしこで話す声が聞こえてきた。

「お兄さんは前会った時と雰囲気が違うみたいですね。妖怪に近くなったというか」

俺の後ろを歩く魔女が言うと

「いろいろあって宗太は妖怪になったんだよ」

俺の前を歩くあずきが返した

「宗太さんって言うんですね。お兄さんだと少し近い感じがするので宗太さんって呼んでも大丈夫ですか?」

俺は紳士顔で振り向き

「いえ、大丈夫です。もしよかったらお兄ちゃんって言ってもらえませんか?」

「あ、そうなんですね。ならこれからはお兄ちゃんでお願いします」

今年始まってまだ4月。俺は今年一番の幸せを手にしたことを確信した。

なぜかあずきの舌打ちが聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。

「っさ、着いたよ。ロリコンお兄ちゃん」

あずきの声は請求書の時よりだいぶ低い気がした。

「ここが妖怪協会?」

前方に広がるのは、白と黒とが絶妙な配分で組み合わされた一つの巨大な城であった

目の前の城門は巨人でも入れそうなほど大きく、30人を軽く超えそうなほどの門番が槍を持っていた

「ここで自分の登録番号を言うんだけど、君はまだ持ってないから門番の人に行って、登録作業した後妖怪度測定だね。じゃ、測定の前になったらゼリヤ像のところで集合で。近くの妖怪に聞けば教えてくれるから」

あずきとリリスは番号を言って、開いた門の中を通って行った。

俺は近くできるだけ優しそうな顔の門番に未登録のことを言うとすぐに隣の部屋に連れていかれた。

部屋の中は白一色で統一されていて、ミニマリストのように必要最低限の物しか置いていない。

「受付」と書かれた札の置いてある受付に近づけば、えらく妖艶な女性がゆっくり俺に視線を向けた

「今回はどういったご用件で来られましたか?」

「協会に登録したくて」

「左様でしたか。それではこちらにすべての箇所で記入をお願いします」

渡された紙は人間界の役所と同じように堅苦しい言葉で色々と書かれており、署名だけで5回も必要だった。15分くらいかけてすべてを書き終え、受付の妖怪に渡すと、妖怪は隅々指さしで確認して「おまたせいたしました。それではこちらの扉が、内部につながっていますので」

と何もない壁を指さす。そこに扉が現れた

「新規の方ですので、不要もしれませんが、最近妖怪協会は妖怪連合に名称を変更し、今現在移行期間中ですので、名称は連合でも協会でもかまいません。それではまた何か困ったことがありましたら、近くのお客様受付までお願いいたします。今回の受付はサキュバスのミーラが担当いたしました」

最期の一言は電話とかでだけでしか聞いたことがなかったので、少し違和感を感じ扉を抜けた

それにしてもサキュバスだったんなら、連絡先でも聞いとけばよかった⋯⋯

まぁそんな勇気ないんだが

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