もう夜なのに⋯
部屋に入ったところで、あずきはようやく銃口をおろす。失礼どうこう言ったものより、あの強さかつ正体不明の翔太を強く警戒しているように見える。
何かあった時のために俺は猫助を出す。
「あんちゃん!わいやで。⋯⋯ってなんかえらい空気重いって⋯あ、あんた学校でおうた」
元気よく猫助は跳び出す。それも翔太を見た瞬間、顔が固まった
「お邪魔しています。麻生翔太って言います。山田宗太さんのクラスメイトでいつも仲良くさせてもらってます」
「そ、そかそか。あんちゃんの友達なら、まぁええ人なんやろな⋯。その、なんやお茶でも持ってきたろか?」
「いえ大丈夫ですよ。少し話に来ただけですので」
「まぁまぁ遠慮したらあかんよ。持って来るわ」
「ならお言葉に甘えて」
猫助が部屋と出たところで、来客を立たせておくわけにもいかないので、いつもあずきに不法占拠されているゲーミングチェアを翔太に勧める。俺とあずきはベットに座った。
「それで今日来たのは、自分のことについて話しておこうと思ってのことです」
翔太がなまはげの姿で出会った時、翔太はすぐにお面を外し、「僕はもともと普通の一般的な人間だったんです⋯」と自分のことを話そうとしていた。だが血女が出てきてしまったせいで、話していられる状況じゃなくなってしまい、その後俺とあずきは倒れたのでそのまま終わってしまっていた
「前「もともと一般人」と言いましたが別に今自分が妖怪ってわけでもないんです。よくある妖怪が人間に化けているってわけでもなくて、妖怪が僕にとりついたんですけど僕の意識の方が強かったみたいで、逆に妖怪の意識も肉体も乗っ取ってしまったんです」
「そんなことあるのか?」
「だいぶ稀に」あずきが答える
「それで僕は人間でありながら妖怪の力を使える状況なんです」
「で、じゃあなんで夜の学校にいたの?連合には加盟しているの?あと、文様について何か知っていることは?」
話し終わった翔太にあずきが質問を投げる
「肝試しで夜の学校に行った生徒が妖怪に襲われて怪我をしたと聞いたのでこれ以上けが人が出ないように退治しようと思いまして。連合というのがいわゆる妖怪協会を指しているなら登録済みです。文様というのはちょっと僕にはわからないです」
あずきはじっと翔太を見つめながら近づいていき、目と鼻の先の距離まで行ったところで顔を離した
翔太は戸惑いを見せながら
「今のは一体何ですか?」
「君が嘘をついたのかどうか知りたかっただけだよ」
「独特なやりかたですね⋯。それで僕は嘘をついていました?」
「いや、君は本当のことしか言っていないよ」
「なら翔太は味方ってことでいいんだよな?」
「さぁね。基本的に妖怪には敵も味方もないからね。ただ利害関係ですべてが決まる」
あずきの口調は冷たかった。そこで俺は文豪のことを思いだした⋯
文豪はあずきの文様関係の敵を倒すのに協力することを「自分にも危険が出る可能性がある」と断りながら、俺への指導は簡単に引き受ける。妖怪というものは人間よりも人間的なのかもしれない




