あんちゃん⋯
「死んでは無い。君の心の中で生き続けている」
ありきたりなセリフだった。あずきが悪いわけではない、死んだ俺が悪いのだ。俺はあずきを見ていられなく下を向いた。
照明の光が俺の影を床に落としていた⋯⋯⋯そこから
「あんちゃん。わいやで」
猫助がひょっこり顔を出した
「え?」
「今言ったのは慰めとかじゃなくて本当に君の心の中で生きてるんだよ」
「せやであんちゃん。わい、あんちゃんのために体捨てて死んだんやで。ほんま感謝してな」
猫助の体は無いが魂は俺と共有⋯いや、そもそも魂ってなんだ?魂があったところで普通は体が無いとどうにもならないんじゃ⋯。なら今見えているこの猫助は魂むき出しで肉体が無いってこと?
いや違うな。俺の体の中に猫助の魂があるはずなんだから⋯
俺は頭が混乱し、訳が分からずあずきに顔を向ける
あずきは俺の頭の中を見ていたようで
「簡潔に言うよ。猫助の肉体は死んで魂が君の中にある。これは大丈夫だよね?。で、なんで今猫助が見えているのかっていうのは君が猫助を作っているからなんだよ?」
最初の部分はよくわかった。その後の作るって部分でさらに頭が渦を巻いている⋯
「君は妖怪になったから、君が今妖術で猫助を具現化させてるんだよ」
それでもまだ首を縦に振らない俺にあずきは
「無意識か意識的にか知らないけど、君は今猫助にまた会いたいと思った。それが無意識に君に怪異と妖力を使わせてうまいこと猫助作ったんだよ。説明はどう頑張ってもこれ以上うまくできないから理解して」
「⋯⋯⋯⋯⋯」
俺は黙った。黙って自分の掌を見た。特にこれと言って変わったところはない。けど、俺が猫助を作った⋯
「そうだよ。君が猫助を作った。今君が消そうと思えば猫助を消すこともできる」
俺は猫助を消してみようとそれっぽく猫助の方に手をかざしてみる。猫助は慌てて
「あんちゃん待つんや。あんちゃんに消されたらわい、死んでまうで!!」
俺はすぐさま手をしまう。猫助の焦り具合から見るに本当に消えてしまうのだろう
そこで、俺は一つの疑問が浮かんだ⋯
「そんなに危険ならなんで猫助は俺に魂を入れてくれたんだ?⋯その、俺のせいでお前の肉体は死んでしまったんだろ?」
頭で思ったことを口にした途端、「俺のせいで」という言葉が、強く俺の心の中で響いたのが分かった。
俺は言った途端、身勝手な後悔が襲った。今から猫助が本当のことを言うせいで俺はさらに自分を責めてしまう。だが、そんな予想とは裏腹に猫助
「最近仕事がうまくいっとったせいで顔がばれて情報屋として働きにくくなっとったから、別にあんちゃんの体にならなってもええかな思ってな。それからあずきはんにも必死に⋯」
「猫助。それ以上は言わないでもいいんじゃない?」
明るく話す猫助をあずきが提案、というより脅しに近い低い声で止めた。




