中世だったら君は男なのに魔女狩りされてるだろうね
「魔女にはいくら借りて、何に使ったの?」
フライパンと包丁を持って追いかけてきた店長から逃げきれた後、息を切らし肩で息をしている俺とは対象に二人は平気な顔をしていた。
「だいたい30万円くらいかな。お馬さんで」
あずきはため息をもらす。
「そんな競馬なんかで⋯」
「そんなとはひどいね。あずきちゃんもフクロウ卿からお金借りてボートしてるでしょ?」
「⋯私は勝つからいいんだよ」
最初に出会った時、馬とボートでだいぶ負けていると言っていたが⋯
「今日もう一回リリスちゃんにお金借りてそれで勝って返すよ」
「もう貸してくれないと思うよ」
「リリスっていうのは今から合う魔女のことか?」
「そうだよ。本名はリリス・アイディンジャン。昔西洋で恐れられていた魔女だよ」
リリス・アイディンジャン⋯名前からして恐ろしい妖怪の像が頭の中で浮かぶ。
「リリスちゃんは強いからねぇ。今のあずきちゃんと僕を足しても全然かなわないんじゃないかな」
「だろうね」あずきは短く肯定する。
俺はますます今から合う魔女が恐ろしく感じてきた。あずきと猫助がまだ優しい雰囲気なので忘れるが、妖怪とは本来、人間を驚かしたりして害を与えてくるもの。その魔女に不快な思いをさせてしまえば死ぬ可能性だって否定はできない。
それから少しして俺たちは小さな一軒家の呼び鈴を押した。魔女が住んでいるとは思えないほど現代式で特徴のない平凡な家。しばらくして扉が開く。出てきたのはおぞましい老婆⋯⋯ではなく、中学生くらいのとても可愛い顔をして幼女だった
「お久しぶりです、あずきさん。それに文豪さんも」
「え、ロリ?」
「君、初対面の人にいきなりロリは酷いんじゃない?」
まるで存在しない自分の妹のように感じてしまうほど、リリスの顔は幼い。
「お兄さんは初めましてですね。自分はリリス・アイディンジャンって言います。お名前を聞いてもよろしいですか?」
「あ、はい。山田宗太って言います」
あまりに整った子であったので、多分自分より年下に見えるロリであるのに、こちらが少し戸惑ってしまう。
「立ち話も何ですから、どうぞ皆さん上がってください」
リリスは可憐な笑顔で俺達を招く。玄関に置かれたアロマキャンドルからはシトラスの香りがふんわり広がる。リビングに入ると愛くるしいぬいぐるみがいくつも置かれ、窓から刺した日が明るく部屋全体を照らしていた
「よろしければ紅茶いかがですか?」
リリスは白いポットに水を入れてコンロに火をつける。
「そういえば、前貸したお金って返せそうですか?」
「それなんだけど、ちょっと強盗に襲われちゃってお金全部取られちゃったんだよね。だから悪いんだけどまたお金貸してもらえないかな?」
リリスはコップにティーパックを入れながら
「本当ですか?それは災難でしたね。今度もまた30万円でいいんですか?」
リリスは全く文豪を疑う気を見せない。それどこらか、心配の顔を見せる。
「リリス、こいつ競馬で負けただけだよ」
「え、文豪さん、それ本当ですか?」
「いやーまぁまぁ。お馬さんが強盗だった可能性もあるからね」
文豪はまた笑って、ソファに腰掛けた




