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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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56/85

てけてけは北海道出身と言われているよ

加速してくるてけてけにあずきも自ら距離を詰める。初撃を取ったのはあずきだった

あずきの拳がてけてけの顔面にあたり、てけてけは吹き飛ぶ。だが、瞬時にてけてけは再開しこっちに向かってくる⋯

あずきはリボルバーの引き金を引いた。弾は避けられる。てけてけが跳んであずきに接近する空中。

てけてけは拳を構える。それにあずきも拳を出す。二人の拳が力強く打ち付けられた

妖力と妖力がぶつかり合い、行き場を失った互いの妖力は無作法に散らばる。

人間である俺もそれを感じ取った

「今までとなんか違うな⋯」

あずきとてけてけは殴り合いを続ける。

「そうやで⋯どっちも妖力がちゃんと練られて密度が高なってるんや⋯」

俺と猫助は見守ることしかできなかった⋯

俊敏な両社による殴り合いの均衡。時間にしてわずか24秒のそれを俺は1時間にも感じた。

これがいつまで続くのか⋯俺たちは目が離せない。その時、均衡が崩れる⋯

てけてけの手刀があずきの右手を切り落とした⋯⋯

あずきは即座にリボルバーをてけてけに発砲し二人に距離ができる。あずきの息は上がっていた

「はぁ⋯⋯はぁ⋯大丈夫、これくらい妖力ですぐ治せる」

俺と猫助は心配のまなざしで見ていたものの、言葉にして聞いてはいない。あずきのこれは俺たちの不安を無くすための言葉なのか⋯⋯それとも自分に言い聞かせているだけなのか

「俺もほうきで戦おうか?」

あずきの顔色をみて、俺の口から性に合わないことを言ってしまう⋯

「大丈夫。君に死なれたらポテチ配給係がいなくなるからね」

「けど、あずきこのままじゃ⋯」

「安心して。てけてけには勝てる⋯⋯ただ⋯」

あずきは何かを言いかけていたが口を閉じた。

「あんちゃん、あずきはんが大丈夫言うたら大丈夫や、わいらはそれを信じよか⋯」

てけてけは澄ました顔で近づいてくる。

てけてけは跳ぶ。あずきも合わせて跳んだがあずきはてけてけとは違いあずきは拳を構えていない

てけてけはあずき目掛け拳を突き出す。あずきは体をくねらせそれを交わす。そのままてけてけの顎を下から蹴り上げた。急所に攻撃をくらいてけてけはよろける。

そこにリボルバーの弾丸を6発すべて当てた。

「あんちゃん。言うたやろ?わいらのあずきはんはそう簡単に負けへんで」

さっきまでの心配の表情を完璧に覆して、猫助が何か自慢でもしているかのようにそう語る

「意外とあっけなかったな」

戦闘時間にしたら今までの誰よりも短い。俺の不安はただの杞憂であった

あずき腕を妖力を使い治す。

その時、銃声がなった。銃声は6回。

月明りを入れていた窓が割れた⋯

あずきはてけてけから離れ、俺達の方へ下がる。

もう一発、銃声が響いた。それはてけてけの頭を撃ち抜いた⋯

「面倒くさいのが来たよ⋯⋯⋯」

あずきは静かにつぶやいき、誰もいない割れた窓に銃口を向けた

その誰もいないところから声が聞こえてくる⋯

「その言葉から見るに、君はすでに手負いのようだネ」

あずきと同じ口調で同じ声⋯⋯

今の今まで人がいなかった窓に少女が腰掛けていた⋯

制服姿で整った美形の顔立ち⋯それはある部分を覗いてあずきと瓜二つだった

そう、その少女は色を持っていなかった⋯



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