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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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55/85

てけ⋯⋯てけ⋯⋯

豆知識

あずきはリボルバーの弾を直接銃の中に作ることはできますが、そうした場合かかる妖力量がわずかに多くなったり、一発の威力も少し落ちてしまうので、早急に撃たないといけないとき以外、弾をつくって自分の手で込めてます

女が歩くたび⋯いや、足が無いので歩くというより両手で進んでくるたび、気味の悪い「てけ⋯てけ⋯」という音がなる。

「あずきこいつって⋯」

「君の思っている通り⋯⋯てけてけだよ」

この声を皮切りにてけてけが速度を速め俺たちに近づいてくる。あずきが「猫助、一旦校舎に全員持ってって」と言った途端、猫助は俺とあずきを背中に抱え地面をける。グラウンドに巨大な踏み込み後を残し、猫助は跳んだ。強大な姿の猫助は校舎の壁にぶつかり、めり込む。あずきが窓をリボルバーで割って校内に入るのを確認し猫助は元の普通の猫の大きさに戻った。

「あずきはん、ほんま申し訳ないんですが。こっくりさんの戦いであのでか猫にずっとなってたんで、今日はもうあんまでか猫になれそうにありまへん」

猫助は申し訳なさそうに頭を下げる。

「謝ることは無いよ。猫助は頑張ってたし。ここからはその大きさのままで大丈夫」

あずきはリボルバーの弾を込めながらグラウンドを見た。そこにはもうてけてけはいなかった。

「てけてけがもうグラウンドにいない。少ししたらあいつはこの場所に来ると思う」

「あいつって捕まったら下半身持ってかれるんだろ?」

昔見たてけてけのホラー映画を思い出す。それではてけてけにつかまった女子高生が、下半身と上半身を真っ二つに切られていた

「下半身だけとは限らないよ。普通に他の部位も攻撃されると思っておいた方がいい」

「けど、あずきはん。妖力量からして結構強い敵屋と思いますけど、わいがあんまり戦えん今ほんまにかてるんですか?」

あずきは沈黙した。壁が壊れ夜風が流れる教室に不穏な空気が流れる。少ししてあずきが

「勝てなくはない」

それだけぼそっとつぶやいた。いつもと調子が違う空気に不安を感じた俺は少し空気を柔らかくしようという考えもあって

「そんなにてけてけって強いのか?足がある分俺らの方が有利だと思うけど」

そんな軽口をたたいた

「あんちゃん。傑作やで」

猫助は笑ってはいない。それで表情を微かに緩めていた

「てけてけの一番厄介なところは速さと殺傷能力の高さだよ。人間の体なら切れないところは無い。私が自分の体を妖力で固めていたとしても、攻撃を受ければかなりのダメージは免れないだろうね」

「ならどうやったら勝てるんだ?」

「わからない。前の時はてけてけと戦っていないから具体的な作戦が立てにくい。⋯私たちは無策で挑むしかない」

「三人行動か?それともバラバラでか?」

俺は覚悟を決めていた。

「三人でいた方がまだ何とかなる」

あずきが「廊下で待ち伏せるよ」というのに俺と猫助は頷いた

てけてけと三階の廊下⋯⋯真横には教室がある。

あずき曰く、あまりの速さ故急転換は難しいので危なくなったら教室に入れとのことだ⋯


てけ⋯てけ⋯

そこからか音が聞こえてくる。正面からな気もするし後ろからな気もする

てけてけ⋯⋯てけてけ⋯⋯

音が教室に響く⋯⋯

次の瞬間前方からてけてけが姿を現した


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