犬の嗅覚は人間の1億倍ともいわれてるんだよ
俺の目の前で牙を剝きだしている狗は狐とは違い、ひどくでかくほうき程度で倒せるとは思えない。
「せめてあのリボルバーぐらい欲しかったんだけど⋯⋯いや、リボルバーでこいつに攻撃入るのか?」
リボルバーの弾丸程度ではもしかしたら、かすり傷にもならないかもしれない。かと言ってほうきで戦えるのか⋯⋯
考えていてもあずきにやれと言われている以上やるしかない
狗は俺に真っすぐ向かってきた。俺もほうきを狗に構える。ほうきと狗の牙。
またしても紫色の火花に似た何かが散った。狗の口からでる熱い息が俺の髪を揺らす
だが狗は狐とは比べ物にならないほど重く、数秒鍔迫り合いがぎりぎりできる程度。
俺は体をずらし少し距離を開ける。
「あずき!どこを狙えばいい!!?」
俺は狗から視線を外さない。狗もまた同じだ
「牙狙うべきか?」
「いや、牙を折ったところで体当たりをくらえば君は致命傷になる。隙をついて一撃を決めて」
「そんな無茶な⋯」
せめて剣道でも習っておけば行けたかもしれないが、俺の戦闘経験は今までおとり役しかやったことのない
狗がでかく口を開け飛び掛かってきた。俺は突きを狙い体の重心を下げる。
空中、狗は体をくねらせる。刹那俺は噛みちぎられる⋯それを感じた俺の体は勝手に動き狗を突いた
瞬後、俺の体は吹き飛ばされた。少しして体に伝わる局所的な痛みで自分が狗に蹴られたことを認識する
グラウンドでは砂埃が舞い視界がぼやける。
どこかから狗が来る。俺はそう思った
正面から狗が現れた⋯。俺は穂先を握り振るかぶる。真正直に飛び掛かってくる狗にほうきの持ち手は回転の重さが加わる。一撃をくらった狗は口を閉じ、地面に倒れた
「ほうきを狗に刺し続けて」
あずきの声が聞こえた。言われるがままほうきを刺し、俺は狗の上に乗り、体重をかけて狗を押し続ける。あずきの方を見た
あずきが狐を殴りつける。狐の顔面は吹き飛んでいった
そこで狗、狐の体がぼろぼろ崩れ落ち始めた⋯
見れば猫助が戦っていた狸の体も同じようになっている
「⋯やったのか?」
「そんな定番のフリ言ったらまた復活するかもよ」
あずきは頬をあげながらそういった。
どうやら本当にこっくりさんを倒せたみたいだ⋯
「あんちゃんようやったな。ほうきだけで狗倒すとか、ほんまは自分強いやん」
「そりゃ男だからな」
「わはは。調子乗ったらやつからすぐ死んでいくからあんま調子のらんほうがええで」
「てか、猫助めっちゃ強いんだな。お前一人で三人倒せただろ」
「全然そんなことあらへんで。あずきはんが三人同時に倒さなあかん教えてくれたおかげですわ」
猫助はあずきを見た。あずきは何も言わずに後者を見ていた
「どうかしたのか?」
「ちょっとまずいかも⋯」
あずきは珍しく弱気なことを言う。あずきは指をさす
校舎の三階の教室。誰かがこっちを見ていた。それは女性のようで女子制服を着ている。その女は手を振った
「ヴァン!!」
銃声が響く。あずきがトイレで狐に撃ったのと同じ銃をあずきはその女に向けて撃っていた
「ちょ、あずき!すごい可愛かったし、人間かもしれないだろ?」
「人間なら普通こんな夜中に校庭で戦っているのを見て手を振らないでしょ」
まぁそうだが⋯。でもあんな風に学生服を着た可愛い妖怪を俺は知らない。
「いや、君は絶対知ってるよ。見れば分かる」
あずきは俺の頭を覗いた。
あずきの撃った弾丸で女のいた窓が割れていた。そこから女が落ちてくる
それは確かに俺の知っている妖怪だった
可愛い顔は憤怒に変わり、血まみれになっていた。
その女には下半身が無かった




