人間は素手で戦った場合、猫にぎりぎり勝てる程度の能力しかないんだよ
いきなりの吐血に俺は口元を手で押さえることしかできなかった。体の中からずしずし痛みを感じ、それでいて内部のほぼすべてから原因不明の違和感を感じる⋯
俺は狐とは違い何一つ喋っていない⋯。体が完全に臆してしまう⋯。
「どっちも言わない。どっちも欲しい。どっちも言わない。どっちも欲しい」
青いちゃんちゃんこの子供はにたにた笑いながら、また手を叩いた
「どっちの色も答えなかったらどっちもって、ふざけてるだろ⋯」
かと言って、俺は赤か青、どちらかを自分から答えるにはならない
「赤いちゃんちゃんこ?青いちゃんちゃんこ?どっちを望む?」
一度きりではなかった⋯。赤青ちゃんちゃんこは声を揃えて再び聞いてきた⋯
俺は悟った。今すべきことは、次の強制両方をくらう前に狐を倒しこの場を離れなければならない
。ほうきを固く握り、狐を向く。だが狐も考えは同じようで、俺のほうを睨みつける
狐はさっきの可愛らしい「コン」と違い、獣の咆哮をあげる。
俺も負けじと人間全力の咆哮を返した
俺のほうきと狐のしっぽが交わる。妖力のせいか紫色の火花に似た何かがあがった
狐は体がデカいこともあって、一撃一撃は俺のよりもやや重い。俺はそれに我武者羅の回数で応戦する。
互いに体力の消耗が見え始めてきた。俺は必死で攻めに転じ、狐の頭を狙った。だが狐は当たる寸前のところでかわし耳を大きくえぐっただけだった。攻撃に神経をそそいだせいで俺は守りの体勢をとっていない。狐は顔面で俺の腹をどついた。みぞおちに攻撃をくらった俺は、腹を抑えるだけしかできず、狐はとどめをさしに歩みだす。俺はなんとかちりとりで頭を隠す。それでも防ぎきれないのは分かっていた
その時、俺と狐どちらもが吐血した⋯⋯。時間が来たのだ。
みぞおちをやられてたい俺はさらなる攻撃にどうしようもできず、ただ崩れる。
狐はまだ大丈夫なようで、足を引きずりながら俺に近づいてきていた
「足を引きづってるってことは足に何か傷をくらったのか。ってことはちゃんちゃんこの攻撃はランダム攻撃と上半身の内部の攻撃⋯」
まぁいまそれを気づいたところで俺の怪我では何も出来ない。最後の悪あがきで俺はほうきを力いっぱい狐に投げる。それは狐の腹に刺さった。それは少し狐の足を遅めただけで、致命傷には至らない
俺は目をつぶった。
「ヴァン!」
唐突な爆音に鼓膜が悲鳴をあげた。続けざまにもう2回銃声が響く
「ちょっと遅かったじゃねえか」
「そんな態度なら次からは助けないけど?」
「本当にありがとうございました。あずきさまには頭が上がりません」
俺の頬が自然と緩んだ。見ればあずきが学校に似合わない大きさのスナイパーライフルで狐を撃ったようだ
「茶番は置いておいて。早く逃げるよ」
「逃げるってどこに?」
「逃げるというより合流するっていう方が正しいのかな」
あずきは俺に手をかざす。すると俺の体が徐々に暖かく感じ始め、傷口が閉じていく
「誰と?」
あずきは俺を片手で抱えながら「それはもちろん猫助だよ」と当たり前に言った
その時二匹の猛獣の鳴き声が重なった




