二宮金次郎は最近撤去されているんだよ
12時ちょうど校門前。あずきは俺を片手で抱きしめ反対の手で猫助を抱える。俺の方くらいの高さがある校門を1跳びでかるがる飛び越える。着地後、俺は適当に離された。
「まずは二宮金次郎から行くよ」
あずきは学校の中に入る。少しして止まるも、そこに二宮金次郎らしきものは全く見当たらなかった
「二宮金次郎は基本的に校内にいるっていうのは本当なんだよね?」
「ええ、任してください。5,6人から聞いた情報ですんで間違いないと思います」
「じゃあ、あれだね」
あずきは反対側の二階の窓越しに見える一人の青年を指さす。上半身しか見えないが髷を携えた青年が今にも崩れ落ちそうなほどの量の薪を抱え本を読みながら歩いていた。
「君、猫助を抱えて受け身の用意」
あずきはまた俺を抱える。言われるがままの背の肉を掴みそれっぽい受け身の構えを作る。次の瞬間俺の体は投げられた。目の間にあったガラス、二宮金次郎の前のガラス計二枚を破り俺の体は速達で届けられた。
適当な受け身はもちろん俺の体を全く守らず体全身に鈍痛が響く
「痛たた」
うめき声をあげる俺を二宮金次郎は見降ろしていた。
「夜の学校好きかい?」
二宮金次郎は腰を屈ませ、背中から薪を一つ取り俺をめがけ振りかぶる。
「あんちゃん、死ぬで!」
当たる寸前、猫助は俺を片手で抱え距離をとる。
「猫ちゃんまで迷い込んじゃったんだ」
手に持ったままの薪を俺の方に投げた。投げられた薪は青年がやったとは思えないほどの速さで、軽々窓を貫通した。割れたガラスは俺の足元に飛び散る
「夜は寒いよね。これで温まってね」
二宮金次郎は1つ2つ、次々薪を投げつける。寸前のところで俺は交わす。だが1つ目を避け2つ目を避けようと体を動かした時、顔に灼熱を感じた
「熱っ」
頬を触る。やけどの痛みがあった
「あんちゃん。あの薪だけ気をつけてたらアカンで」
猫助は俺の背をさすって、薪を指さす。猫助に触られた瞬間、視界がサーモグラフィのように色が暗転し、薪は真っ赤に染まっていた
「人間の目じゃ見えへんかもしれんけど、ありゃな、妖力でばっち熱なってんで」
「もう少し温かくしようか?」
二宮金次郎は薪と薪を打ち付ける。視界に映る薪の炎は人間の子供ほどの大きさになっている。
「あんちゃん。当たったらやけどじゃすまんで」
「だろうな⋯」
二宮金次郎は振りかぶる。その軌跡ですら真紅である。
薪に全神経を集中させ息を呑む




