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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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39/40

中年教師と女子高生⋯⋯淫らだね

出てきたのは予想通りの横山先生と⋯⋯ほのかに微笑んでいる女子生徒がゲージに入れられたハムスターを抱えていた。

「え、ハムスター?」

別にハレンチ淫らな女子生徒を期待していたわけではないが、いや、少しだけ期待はしていたが、現れたのは予想もしてすらいなかったハムスターに俺は素で声が漏れてしまう。女子生徒は浮気現場を彼氏に見られたかの如く「きゃあ!」と悲鳴を上げてその場を離れていった。その場には冷や汗をかいた横山先生と呆気にとられた俺だけが残る⋯。横山先生は俺に目を合わせず

「今年は担当じゃないけど、何とかうまいこと今年の担当の先生に言って化学の成績あげる⋯⋯もし指定校とか狙ってるなら、素行の評価とかも盛盛であげるから頼む、どうにかこのことは内緒にしてくれ」

禿げた頭がくっきり見えるまで頭を下げた

「あ、はい⋯」

「頼むぞ⋯これがばれたら俺おしまいなんだ。家族もいるし寝た切りの両親に仕送りも送っている。どうか頼むよ」

「あ、はい⋯」

俺は同じセリフを二回繰り返しただけ。それなのに横山先生は俺の手を両手で深く握って、これまた逃げるように去っていった。

「学校にハムスター持って来るのってそんなにやばいことなんだな⋯」

昼休み終わり五分前をつげる予鈴がなったので俺もそこを離れた。特に深い意味は無いんだが、次の授業は化学だった。


6限目までの授業が終わりホームルームが終わった。盗み聞きによると陽キャ女子は今から浅田さんのお見舞いに行くらしい。もちろん本物の浅田さんは死んでいるわけだし、あずきは今は異空間で休みを取っているらしいから浅田家に浅田さんはいない。どうなるのだろうか。それが気になるところだが、俺に重い課題が一つ残っている、二階女子トイレだ。

友達が少なく失うものが指で数えるほどしかないさすがの俺でも、堂々と女子トイレに入り全学校生徒から変態のレッテルを張られ、親に泣かれることは耐えられない。なので出来る限りリスクを減らそうと部活や帰宅で人が少なくなる放課後を選んだ。本当は授業中に「トイレに行きたいです」と言って女子トイレに行ってこようと思っていたが、やろうやろうと思ってもあと一歩の勇気が出ず、高校生にもなってないと思うが「「あいつトイレに行ったウンコマンだ」などと言われる可能性もあるから放課後にしよう」と自分の弱さを正当化してしまったがため、今俺はトイレの前で苦しんでいるのだ

「やっぱり間違えて入ったフリが一番安全だよな⋯でも多分場所的にトイレの花子さんだろうし、一番奥の個室の中まで見ないといけないのかな⋯⋯間違えましたなら、今中に人がいたらすぐ外に出ないといけないしな⋯」

思考はめぐりにめぐる。それでもいい案は浮かんでこない。もし俺ガリレオガリレイみたいな天才だったら名案を思い付き中に入るだけでは飽き足らず覗きの一つ二つできるのだろうけど⋯⋯。

その時校庭から陸上部がピストルの音と共に走り出す光景が見えた。

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