秘密基地は秘密だからかっこいいと思うんだよ
「この空間は私の妖力で囲んで作ってあるから、中にいる者の体力状態精神状態がすべて把握できるしさらに、意のままに回復させることもダメージを与えることもできる。ここは私の逃げ家にして入られても入られたでとても有利に戦うことができるんだよ」
風は感じないがなぜか揺れている麦に囲まれてあずきはゆっくり目を閉じる。あずきの美しい容姿も相まって、毒りんごを食べ眠り王子様の聖なる接吻を待っている白雪姫のようだ。
だがあずきを起こすたび負傷している俺にとっては毒リンゴを食べさせた魔女よりずっと恐ろしい⋯
「絶対にないとは思うけど、もし襲撃されたら君もここに入っていいよ。私よりも一つ二つ格上でもこの空間に入ってくる妖怪はほとんどいないし」
「出待ちされて詰みの未来が見えるぜ」
「君には少し難しいかもしれないけど、ここはこの世でもあの世でもない異空間なんだ。そこにつながる入り口をベットのしたにしただけで出口はどこからでも出れる。ベットの下から入って一瞬異空間を挟んで学校の校門前から出るなんてこともできるんだよ」
「そんなのできるほど、あずきって強い妖怪だったんだな」
サンタクロースの時の迫撃砲の初印象が大きすぎたせいでアメフラシの時に弾が当たらなかったり、黒い犬にかみつかれたり、正直あずきが強いというイメージは薄まりつつあっていたところだった。
「前言った通り私は妖怪度5だよ。これくらいのことは簡単にできるんだよ」
あずきが指をぱちんと鳴らす。中世以前を思わせるような麦で出来た布団があずきにふらりと乗った。
あずきは「麻生翔太を見る必要がないから明日は学校一人で言ってきてね」というと、俺の真下がいきなり抜け落ちた。刹那の暗闇を抜けると自分の部屋の屋根から俺は落ちてきた。俺の体は布団にふわり⋯ではなくどしんと落ち着けられた。腰回りには痛みが走った
「扱いひでぇ⋯⋯」
異空間にこの声は届くのか⋯⋯届いてないことを深く深く願うばかりだ
朝起きるとお母さんが真っ赤な顔をして俺を怒鳴っていた。状況が分からず俺は茫然と瞳をこする。
耳を澄まして聞いてみると
「あんたいつまで寝てんの!!今何時だと思って!!!」
鼓膜が震え痛みをあげる⋯澄ましたのを後悔した⋯⋯。
「はいはいわかったわかったから」
「あんた何その態度!私さっきから何回起こしたと思って⋯」
「はいわかったから⋯」
俺は適当に返事をして母を無理やり部屋から追い出す。時計を見たい。いつもなら教室にいる時間だった⋯
俺はこういう時、かえって冷静になるんだ。世間一般ではこういう時は慌ててしまうらしいが、俺は逆に頭がすっきりとして気持ちが良くなる。今からダッシュで行けば予鈴が鳴り終わるギリギリに席に座ることはできる。だがクラス変わりすぐの今汗まみれで俺みたいなのがきたら気持ち悪く目立って周りから避けられるのは目に見えて分かる。俺は窓を開けた、涼しい風が俺の髪をかき分けた




