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妖し少女あずき  作者: 椎名 園学


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36/40

こういうの男の子は秘密基地みたいで憧れるんじゃないの?

部屋に入ると俺は鞄をそこらに放る。翔太のことももちろんあると思うが、新学期が始まってまだそこまで日が経っていないことで、変わった周りの景色に慣れていなくて精神が疲れているみたいで、椅子に腰かけるとどっと疲れがわいてきた。それはあずきも同じようで体をぐっと伸ばし、ベットの下に入り込んだ

あずきがそんなふざけたことをしていると俺の頭が否定するので目を何度もこすり、周りを見るもあずきはおらずどうやら見間違いでは無いようだ⋯⋯。

「下で寝てるのか⋯?」

俺は体をおろしベットの下を覗く⋯⋯いつも通り散らかっているだけで特段おかしなところはなかった

「へ?あずきどこだ?」

先日出かけているとき部屋を襲撃のされた記憶が蘇り、焦燥にかられながらベットの下にたまったいつのかわからないゴミを下からかきだす

「あずき?あずき?」

「何?」

あずきの声が聞こえてきた。だがあずきの姿は見えない⋯⋯

ベットの奥の方にまだごみがあるのを見つけ、その裏ではと手を伸ばす。手がゴミに届く前に、ベットの影で薄暗い床から睨みながらあずきが出てきた

「私眠いんだけど」

「え、今お前どういう体勢?」

「ベットの下に異空間作ったから今度からそこで寝ようと思って。さすがに君と一緒にベットに寝続けるわけにはいかないし」

異空間といういかにも中二病心をくすぶる発言に一瞬ときめいてしまいそうだったが、考えればこいつは今俺のベットの下にその異空間を勝手に作ったと言った⋯⋯。今現在目視で確認できないにしても、それは大丈夫なんだろうか⋯⋯

「大丈夫だよ。人間には直接的な害は一切ない。ただ異空間がこんな辺鄙なところにあったら妖怪が違和感を感じて何かしてくる可能性は否定できないけど」

「勝手に俺の頭を読むな。それと間接的でもそれ絶対影響あるやつじゃねえか。数日前に襲撃受けたばっかなんだし、絶対にだめだろ」

「普通ならそうだろうね。でもフクロウ卿が安全だというなら絶対安全だよ」

曖昧な表現を多用しないあずきが「絶対」という言葉を使った⋯

「そのフクロウ卿ってやつが言っただけで、世の中に絶対なんてのは無い!」

「確かにそうだけどフクロウ卿が「狙われることは無い」と言ったってことは9割9分安全だよ」

「前も聞いたけどそのフクロウ卿って何なんだよ?この部屋の持ち主が俺な以上、異空間を作りたいならそれくらい知っておいてもいいだろ?」

あずきは眉をひそめながらも「まあそうかもね」といやいや口を開いて

「時代的に知っているかわからないけど伝書鳩って知ってる?」

「鳩に手紙を持たせて運んでもらうやつだろ?」

「そう。あれも妖怪の仕業なんだよ。ただの鳥が狙った相手に届けてなおかつ帰ってくるのは普通おかしいでしょ?飛ばされた鳩に道を教えたり、操って家に帰らせたりする伝書鳩の親玉みたいな妖怪がフクロウ卿」

映画でワンシーンだけ見たあれを妖怪のせいだとあずきは言う。確かにすごいなと思っていたがまさかそれも妖怪がやっていたのか⋯⋯

「で、そいつが安全って言ったらなんでいいんだ?鳩を使って敵が来ないか監視されてるのか?」

「半分あってるよ。詳しく言うと、伝書鳩が廃れていくにあたって、私の知っているフクロウ卿は金融業を始めたんだ。私はそこから莫大な額の負債を抱えているの。フクロウ卿からしてみたら私が死ねば金が帰ってこないから死んで欲しくないでしょ?ここからは憶測だけど、私が死なないようにフクロウ卿は今私の家を守っている思うんだ」

「守られていると思うからあずきは堂々と妖怪に不思議に思われる可能性がある異空間を作ったのか?」

「そうだよ。実際黒い犬も家の中には入ってこれてなかったでしょ?多分私の仮説は正しいと思うよ」

それはそうだが、黒い犬は入っては来なかったものの家の前で出待ちしていたから、もし守られているとしても家に入るぎりぎりまでは来ることができるということだ⋯⋯

「じゃ、異空間の中も君に見せてあげるよ」

俺はまだ納得したと声に出していないし、思ってもいない。だがあずきはお構いなしに俺の手を引っ張った、俺の体をベットの下に引きずり込まれる⋯⋯

視界が変わったのを認識した時、俺は黄金に輝く小麦畑の中にいた

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