君は男のくせに考えすぎだと思うよ
その電話もつながることは無く、あずきが無言で俺の電話を切る。あずきは怒っているのか?
こっそりあずきの顔を覗いてみる。
「かけすぎたら怪しまれる。家は知ってるの?」
「だいぶ昔に行ったことあるから、引っ越しとかしてなければ大体は」
「ならいったん戻って今日の深夜にその人の家に奇襲をかけるよ」
あずきは怒っているより、割り切った顔をしていた。
電車で家へ戻る途中あずきがずっとスマホをいじっていたのもあり会話は無かった。顔だけ見ていれば特に怒っているわけはなさそうだが、雰囲気というかオーラというか何かがいつもより激しく感じた。
時間的に乗客が少なかったのも相まって、電車のガタゴト揺れる音だけが一つ静かに鳴っていた
駅に降りると俺たちの他に者はいなく、あずきはスマホを閉じていないものの、口は開かずだった。
この空気にたまらず俺は
「あずきさん。怒ってますでしょうか?」
「特に」
「そうですか」
そう返されらたら何といえば良いのかわからず、自分の家へ向かうというのにあずきが先頭で俺はその後ろに続いていた。
「その人の家は金沢にあるの?」
「金沢の近くなんで金沢駅から歩いて40分くらいです」
「夜だから電車は使えないよ。家から歩いていくか、君の親の車を使うことになる。あと君が敬語使うと調子狂うっていうか、キモイからため口でいいよ、本当に怒ってないし」
「ならため口で」
怒って静かに鳴っていたんじゃなくて、きっと夜の奇襲のことを考えてあずきは静かになっていたんだ。
「え、親の車?」
「午前3時頃相手の家に着いときたいから、歩いていく場合になると10時ごろから出ないといけない。5時間歩いて精神的にも肉体的にも疲れた後に、妖怪度4の妖怪にかかわっているやつを殺すとなると、こっちもかなり被害を受ける可能性があるから、君の親の車で行くのがベストなんだよ。もし無理なら、どこか適当に止まってるやつ借りて行こう」
「そんな自転車の仮パクじゃあるまいし。俺の家に車一台しかないから無くなったり壊れたりしたらマジでやばいんだぞ?」
「その言い方だと借りることは良いってことになるけど?」
「あ、そうだ。借りるのも無しだ。頑張ってあるいて行こう」
あずきはわかりやすくため息をついた。逆にこいつは借りれると思っていたのか⋯と言ってやりたいところだけど、そんなこと言ったら「妖怪だから人間の事情はしらないよ」とか言い出してきそうだし。いや、こうやって考えていることもこいつに伝わっているのか
いきなり、あずきは俺の手を掴んだ
「ひ、ごめんなさい、思ってないです。いや、思ってはいたんだけど、本音じゃないっていうか」
「いつでも君の頭を覗いていると思わないでね。それも妖力を使うんだから、ずっと君を見ているほど君に価値は無いよ。それより」
そう言い放ちあずきは、目の前の家を指さす。変凡な、どこにでもありそうな一軒家。俺の家だった。小豆の機嫌を考えていたら、いつの間にかついていたようだ
「俺の家がどうかしたのか?」
「人間の君にはわからないと思うけど、私が寝床として使ってるいじょう、護身用のために私にとって害である者を通さない結界を張っておいたんだけど、それが破られてる⋯」
俺の家に俺の許可なしでいつの間にそんなことを⋯。
「それってつまり?」
「家の中で誰かが待ち伏せしている可能性がある。そしてそいつは私たちにとって害である」




