洞窟で二人っきりだな
中は一階とは比べ物にならないほど寒く、地面に足が付いた時には鳥肌がたった。
いたるところに大きな蜘蛛の巣が張り巡らされている。
「おかしいくらい寒いな」
「息が白くなるほどだからね」
あずきに言われてみてみると確かに息が白くなっていた。
「思ってたよりも広いね」
地上からの光が全く入っていないので、数歩先でさえ見えないが、石を蹴ってみても壁に当たらず、ずっと音が鳴り響く。俺はリリス人形のゼンマイを巻く。リリス人形は目から光を出して辺りを照らす。今まで見えていた蜘蛛の巣の他に、小さな椅子と机があり、机の上には一冊のノートが置いてあった。
「なんか不気味だな⋯独房みたいだし」
「独房に入ったことないでしょ」
「だいたいこういうのかなーっていうことだ」
「近いうちに未成年に痴漢でもしてお世話になると思うからここで慣れておいた方がいいんじゃない?」
「酷いなぁ。なんで未成年前提何だよ」
「痴漢は否定しないんだね」
「まぁ俺がするってなったらそうだろうしな」
「キモ」
いつもの流れでキモと言われ、俺の心につかの間の安らぎが訪れる。
「今ここから出ても、あの白い手がいるだろうし、少し時間を潰さなきゃだね」
あずきはリリス人形を俺の手から取り、光をノートに当てる。
家族日記♡
そう書いてあった。
「これでも読んでよっか。多分あの女に関係あるだろうし」
ハートマークがピンク色で描かれている。それが濃い色で、ほとんど赤にも見える。いや、血にも見ることができた⋯⋯。
「だいぶ不気味だけど⋯」
「妖怪なんてもともと全員不気味だよ」
あずきのビビっている俺の気など全く気にせず、ノートに手を伸ばした




