仲が良くなかったのかな?
それは5人家族の写真だった。娘三人が前に立ち、その三人を母が抱きしめるように後ろから手を伸ばして包み込んでいる。だが父はその四人からほんの少しだけ距離を置き、真顔で写真に写っていた。
「お父さんは少し距離があるみたいだけど、再婚して気まずいみたいな感じなのかな」
俺の独り言にあずきが首を振る。
「再婚とかじゃなくて、普通に結婚して娘を三人産んだって感じだよ」
「なら、子供は全員女だし、思春期でお父さんが嫌いって感じか」
「逆にこのお母さんの愛が強すぎてお父さんが引いてるっていう可能性もあるから、わからないよ。さっきも言ったけど、このお父さんが浮気して、それでお母さんがおかしくなったんだから、この写真がいつの時期はわからないけど、仲の良い感じじゃなかったのかもね」
あずきは写真から目を離し、まわりに何か怪しいものが無いかじっと見つめた。そこであずきはあることに気づく。あずきはその瞬間ぞっとした。だが、その時にはもう遅く、入ってきた扉がいきなりしまった。
「うっお。いきなり閉まったな⋯」
「この家に入る前君は「今の見たか?」って二階見てたよね」
「ああ。うん。白い手が誘うみたいに俺に向かって手を出してたんだ」
「その時、私たちは窓を見たよね」
「あ」
俺はいきなりしまった扉から目を離し部屋を見渡す。この部屋に窓なんてなかった。
「あずき、これはどういうことなんだ?」
俺の声は震えるように小さく低かった。
「考えられるのは、外に居るときは、中がこう見えるよう幻覚がかかっていた。もしくは、この家の妖怪の力で、家の形を変えたか」
「後者です」
女の声だった。
だがあずきではない。
俺とあずきは顔を見合わせる。猫助はさっきよりずっとずっと長く爪を出した。
声は扉からした。扉はゆっくり開く
顔の白い女が姿を現した。
その顔は家族写真に写っていたお母さんの物だった。




