ここは三丁目四番地だよ
「んで、ここか?」
行先も教えてくれないまま、あずきに連れられて、たどり着いたのは郊外のさらに郊外。辺りにある家には当たり前のように畑が備わっており、夕焼け無表情の案山子を照らしていた。
「そうだよ」
「ちょっと、雰囲気あるな⋯⋯」
こんな田舎の町でも、ひと際異彩を放つ家。二階建ての一軒家のすべてのまどは内側からチラシや新聞紙で隠されており、中に入るにはモザイクガラスの引き戸しかない。畑にはスイカがなっていた。
「まぁそうだね。この中にいる妖怪のせいで周辺の家まで怪奇現象が起きてるくらいだし」
「⋯⋯そんななになのか」
「学校の血女ぐらいなのを想像した方が良いと思うよ」
「血女⋯」
他の学校の怪談とはくらべものにならないほどの化け物だった。こっくりさんや二宮金次郎とは完全にレベルが数段違っていて、朝あずきが言ったように猫助と翔太がいなかったらあずきですら死ぬレベル。それと同じようなものがこの家の中に。足が重くなった。
「ねぇ⋯」
どこからか声が聞こえた。聞きなじみの無い声だった。俺は周りを見渡す。だが誰もいない
「こっち⋯」
次の声は目の前から声がしたのがはっきり分かった
「こっち⋯」
声は上からだった。
二階の窓。少しだけ隙間が空いていた。白い清らかな腕が見えた。
指が俺を誘う。それはすぐに見えなくなった。
「あずき、今の見たか?」
「今の?何かあった?」
あずきは見ていなかったようだ。あずきが見逃すなんて珍しい。
「じゃ、入ろっか」
扉はがたついたが、開けることが出来た。
俺達は三丁目四番地の家に入った。
招かれたのは俺だけだった。




