夜ご飯
「学校なんだけど、一回全部検査してみたらガスの爆発で壊れたところの修理のほかに、老朽化がひどくてすぐに立て直しが必要なとこが多いらしくて、一学期はまるまる全部お休みだって」
「ガス爆は—」
お母さんにそれが何か聞こうとしたら、あずきに口をふさがれた。
「私たちが学校の七不思議との戦いで学校に穴が開いたり窓ガラスが割れたのはガス爆発が起きたとして片づけられたんだよ」
あずきが俺の口から手を離す。堂々と俺のさらから唐揚げを一つ奪って食べた。
俺は親に聞こえないよう声を小さくして
「妖怪もそういうもみ消しとかあるんだな。あと唐揚げ取んな」
あずきは「はいはい」と言いながらさらに唐揚げを奪った。なぐってやりたいところだが、あずきは俺の親には見えないように姿を消しているので、今なぐれば、俺は何もないところを殴りつける異端児だと思われかねない。俺はぐっとこらえて味噌汁をすする。いや、もう多分異端児だと思われてるので殴っても大丈夫か。
「それで連合の中で言ってた話だけど、明日の夕方にやらなきゃいけないことあるから。それでそれまでの間はリリスに特訓引き受けてもらうことになったから」
「え、文豪との特訓終わったからてっきり俺はもう仕上がったのかと」
「君に必要なことと文豪が教えれることは違ってたみたいだったからね」
もう修業は無いと思ってたのに⋯⋯。いや、けどあんな美少女ロリにしごいてもらえるとなると、それはご褒美かもしれない。「ロリ、しごく」⋯⋯ど今日のおかずは決まったな。俺は唐揚げに箸をのばした。だが唐揚げはもうなくなっていた⋯⋯。
俺はかまわずあずきを殴りつけた。両親は目をぱちくりさせた
その夜、俺とあずきが熟睡している時。
隣町のカフェに2人の男が店に入った。
営業時間が近く、マスターは客用の席に座りタバコを吸っていた。テーブルの上のコーヒーは湯気がたっている。マスターは静かに舌打ちをし「いらっしゃいませ」と嫌そうに2人に向かって口を開いた。
「いきなり呼び出して悪いね」
「い…いえ、大丈夫です…」
「今日は大変だったろうから本当なら日を置いて誘うべきなんだろうけど、急用が入ってしまって今日しか無理だったんだ」
マスターがほぼ睨みともいえる目つきでお冷を差し出す。
「コーヒーを二つお願いします」
文豪が指を二つあげた。
「本題の前に確認なんだけど、なんで「リッツ」って名前使ってるの?」
「私は、まだ本名を名乗るには力不足だと思って⋯」
「その名を恥じているわけではないのかい?」
リッツはすぐに首を横に振った。




