復讐(リベンジ)
『悪魔同調』を使用して一気に詰める。
カレンが『獣化』をして相手をしていたのだが、やはり耐久力が高く決めきれなかったようだ。
カレンの『獣化』で決めきれないというのは並の相手ではない…。
「カレン、そのまま遊撃に回ってくれ、このまま押し切る」
シトリーの魔力を間借りしてさらにサキの魔導による『雷神装』の詠唱を開始する。
身体能力も上がっているはずなのに決めきれない。
気の所為などではなく防御力が上がりさらに傷が再生していっている。
早く決めないと取り返しがつかなくなる。
『雷神装』の詠唱はすでに慣れたもので戦いながらでも詠唱は可能だ。
そして詠唱を終えて発動する。
早速「『二重奏』」と叫び2人に別れて攻める。
さすがにこの攻撃に関してはかなりダメージが入っているようで身体に深く傷が刻まれ血が吹き出る。
しかし骨までは到達せず、まだ倒れない。
このまま削れそうな勢いではあるのだが…。
また回復されても堪らないので一気に畳み掛ける。
「クロックアップ!」
自身をさらに加速させる。
恐らく傍目からみたら熊の身体から知らない内にドンドン血が吹き出していくひどい光景に見えているだろう。
この後に及んでまだ傷を回復しているようだったので…ここまできたらヤケだ…こいつも持ってけ!
「オーバードライブ!」
母との特訓で会得したクロックアップのさらに先にいく技である。
発動した瞬間に相手は死ぬ。
といえば聞こえはいいが、手加減はできない上に身体への負担もとんでもないので1発限りの文字通りの必殺技である。
赤熊の身体を2体の分身で突き抜けた事で、赤熊はようやく動かなくなった。
「血すら置き去りにするからいいけどグロいな…」
凄惨な姿となってしまった赤熊だったが、そのまますぐに消えていった。
そして俺も消えたのを確認した所でうつ伏せに倒れる。
「大丈夫ですか!?」
と駆け寄ってきたカレンに
「カレン…悪いがポーションかけてくれ」
カレンがバッグからポーションを出して俺にかける。
「あそこまでする必要ありました?」
ちなみに全身を粉砕骨折とまではいかないが手と肋、それに片足の骨が折れていた。
「あれでも傷の回復してたからな、さっさと決めないまずいと思ってな」
あのままあの攻撃も効かなくなったらほんとに手に負えなくなる所だった。
「まぁ確かに『特攻』が乗ってあれですからね…下手したらオリハルコンゴーレムとかより硬いんじゃないですか?」
物理無効と比べても硬いっていうのは余程である。
しかしそう言われてもおかしくないくらいの防御力があった。
「こっちも粗方片付いたぞ…ってかこのフロアの全モンスターを呼んでたじゃないか?とんでもない数だったぞ」
どうやらあっちも大変だったようだ。
とはいえこちらもかなり苦戦した。
「今は、アイラさんとランでドロップ集めに行ってる」
今まで相手をしてきて最強はフェンリルだと思うが、単体という訳ではなく取り巻きも含めてという話ならあの赤熊が一番強いかもしれない。
「ってかスクロール落ちてんじゃねーか」
ちなみにカレンは俺を膝に乗せている。
ちゃっかり乗せていたのでツッコむのが遅れた。
「まじか…ポーションで怪我は治したけど全身筋肉痛で動けないんだわ」
「だろうな、お前もちゃっかりしてるなぁ」
「へへへ」
とカレンはニコニコしていた。
「それでなんのスクロールだったんだ?」
「『復讐』スキルだってよ、なんか物々しい名前のスキルだな」
先ほどまで苦戦していた理由のスキルであれば嬉しいのだが…名前が凄いな。
「まぁどちらにしてももう撤退だな…さすがにもう戦えねぇ」
「その有様じゃそうなるな、まぁでも帰るのはいいけどお前は背負われていく訳だな?」
「あっ…」
ここはハワイではないので10層に飛んで待機というわけにはいかない。
そうなると…帰還石で帰って入口…。
完全に頭から抜けていた。
「さて公平にくじ引きだな」
と言ってカナタが紙をちぎってくじを作る。
赤くするのに人の出血を使うのはやめろ!
すでに血は止まっているが、戦闘中といっても自爆で受けたダメージのせいだが血を紙の先につけていた。
そんなこんなでアイラさん達も戻ってきた。
「さてこれでアキラの血のついた紙を引いた奴が背負う」
「今ならアキラさんは抵抗できない」
「ごくり…」
ごくりって声に出すもんじゃないんすよ、アイラさん…。
「これこのまま私が掠め取ったら面白いやつですかね?」
とランが呟く。
「その場合は、3人でお前を狩る事になるぞ」
「それはちょっと楽しそうですけど怖いのでやめときます」
という当事者の意見は聞かれる事もなくくじ引きが開始された。
「それじゃまずは私から」
といってカレンが手を伸ばす。
「お前は最後だ」
「ええ!なんでですか!」
「お前、匂いでどれかわかってるだろ」
カナタの指摘にカレンが目を逸らす。
「何をいってるんですか、今はスキル使ってないんですよ」
「使って無くても五感が鋭敏になるんだろ?ミレイから聞いてるぞ」
「ちっ余計なことを」
とカレンが呟く。
「じゃあ私から引くわね」
という事で一番最初にアイラさんが引いた。
普通ならこれで2分の1で縺れるところなのだろうが、所詮は3分の1。
一発目でアイラさんが引いて終わりとなった。
そして俺は背負われたままダンジョンを出るという辱めを受けながらダンジョンを後にした。
ちなみになぜかこのくじ引きには宿での介助の権利もいつの間にか付属していたようで風呂は良いと言ったのに…。
「大丈夫です!これさえ着れば!」
といって水着を着用していた。
一体どこで買ってきたのか…。
そしてそのままなすがままとなる所だった訳だが…。
「ここから先はワタクシがやるから大丈夫よ」
というシトリーに阻まれなんとか死守することができた。
それはそれで話が違うのだが…ここは仕方ない。
シトリーに身体を預ける事でことなきを得た。
ちなみに断固として一緒に入ると言われたので仕方なく一緒のお風呂に入る事に…。
「なんかヤケクソになってません?」
「そ、そ、そんなことないですわ」
明らかに動揺していた。
「別に無理しなくてもいいんすよ」
「まぁこういう機会を逃すのもどうかと思いますし…緊張はしてますけど」
経験ありとはいえ、普通の女性が積むような経験の積み方ではないのでそれとこれとは違うのだろう…。
「まぁ一緒に風呂位ならまぁいいんですけどね」
まぁ水着は着用してもらうが…。
互いに水着着用の身ではあるが…。
一緒に入浴を楽しんだ。
カレンとカナタが悔しそうな顔をしていたが…お前達は出来れば止める方に回れよ。
とツッコミたくもなったが…。
まぁこんな状況なった俺のせいでもあるので仕方ないか…。
食事に関しては皆簡単なもので済ませて米などは明日味わう事になった。
◯あとがき
スキルの解説するまで時間がかかりますので先にネタバレをします。
気にならない方は飛ばしても大丈夫です。
後ほど沙月と合流時に説明します。
使用者は今のところ内緒です。
『復讐』…戦闘でダメージを受ければ受けるほど防御力があがり、傷も徐々に回復する。
ある一定以上のダメージの蓄積が完了した場合、そのダメージを相手に返す事が可能。
持久戦してそのまま耐えきったら相手にカウンターするスキルです。
ちなみに他にも『瞬歩』、『号令』、『豪傑』、などを所持していました。
『同種同調』のスキルを備えていたので仲間が近くで合流してた場合は、自身のスキルを仲間に共有することが可能だったのでとんでもない事になっていました。




