赤熊
その後、乱獲したのだが…。
「渋い…」
「最初にでたのは運が良かっただけっぽいな」
その後数十匹狩っても一向にドロップせず…階段を見つけた後に狩った1匹がようやくドロップした。
「まぁふたつドロップしたし一つは食べて残りは持ち帰るか」
42層への階段を見つけその上でそれなりの時間になったので帰る事になった。
問題は…この米俵のまま運ぶのは目立つ点だ。
ちなみに道中でスクロールも落ちたのだが…。
「『光合成』ってなにするんだろうな」
「酸素作るんじゃないんですか?」
「人間が?」
という訳でよくわからないスクロールだったので持ち帰りである。
ちなみに今回の遠征でドロップしたスクロールは3つ。
残りの2つはステアップ系だった。
米を求めすぎてスクロールがドロップした時に、少しがっかりした気持ちになったのは内緒である。
「帰る前に42層のモンスターだけ確認してくか」
42層に降りてモンスターを確認する。
「さっきは森だったけど今度も森かぁ」
同じフィールドが続くということは同じモンスター種かと思ったのだが…。
「モンスターは違うみたいですよ」
とカレンがモンスターを発見した。
「熊です」
赤い真紅の毛を纏った熊は森の中だというのに圧倒的な存在感を放っていた。
「でかすぎないか?」
通常のモンスターとしての個体の中では圧倒的なまでの大きさであった。
「キング個体並だぞ…」
ちなみにここのダンジョンの40層のモンスターは鳥だったのハワイと同じキング個体だった。
どうやらあちらも察知系スキルを持っているようでこちらに気付いたようだ。
こちらを見た瞬間に圧倒的な威圧感によって身体が重くなったように感じた。
そして俺は自然に前にでていた。
久々に『危険察知』が仕事をしたのだった。
「下がれ!こいつ特殊個体だ!」
俺の『縮地』と同系統のスキルを持っていたのか一瞬にして間合いをつめてきた赤熊。
小手に爪が振り下ろされその反動で地面が沈む。
「こいつ…」
ちょっとモンスターを確認して帰るつもりがとんでもない大物にぶち当たったようだ。
「全員厳戒態勢!油断したら大怪我するぞ!」
と全員に警戒を呼びかける。
俺を押しつぶそうとさらに力を込める赤熊。
圧倒的な膂力によって足が沈み蹴りは放てない。
爪と一緒に体重をかけて潰そうとしているようで顔も近づいてきている。
その顔にカレンの魔法銃の弾丸が当たる。
一瞬怯んだように見えたが大きなダメージではなかったようだ。
しかし一瞬でも緩めば脱出出来る。
相手の攻撃をそのまま地面にいなして距離を取る。
「こっちは効くぞ」
そして俺はそのままレールガンを放った。
チャージが充分ではない簡易型だが『特攻』が乗った一撃だ、普通のモンスターなら倒せるレベルなのだが…。
腹部に直撃した熊は苦痛に顔を歪めている。
「こいつ強いな」
全長10m以上の超大型熊。
普通だったらさっきの一撃もぺちゃんこレベルだ。
「この小手なかったら埋まってたかもな…」
オリハルコンの小手によって衝撃は吸収されているのでそれがなければ恐らく地面にそのままめり込んでいた。
グォオオオオオオ
と大きな叫びをあげる赤熊。
「ヤバイです!周囲に敵が集まってきます!」
「おいおい、まさかこの成りで仲間を呼ぶスキルまで持ってんのかよ」
しかも俺が厄介と感じてすぐに仲間を呼ぶ辺り判断能力も高いようだ。
「カナタ、周囲の熊達を頼む」
「いいのか、2人でやんなくて」
明らかにこちらを警戒している赤熊がこちらを睨んでいる。
「俺じゃ周囲の熊を倒すのは向かないからな…こいつ1匹だけのが殺りやすい。周囲の警戒する余裕はないから露払いはまかせるぞ」
「りょーかい」
カナタも『特攻』があれば周囲の熊を倒すのはそこまで苦労はしないはず。
だからこそ範囲攻撃のあるカナタに任せて俺は赤熊に集中する。
「アイラさんはバフをお願いします」
「わかったわ」
すでにアイラさんは『妖精化』して飛ぶ準備を始めていた。
「ランはカナタと一緒に周囲の敵を蹴散らせ」
「まかせて」
「カレンは俺の援護だ。危なくなったらちゃんと避けろよ」
「OKです!」
カレンに関しては余程の攻撃じゃなければ被弾の可能性はない。
前に被弾させてしまったのは俺を庇ったからだった。
「回避優先、援護の場合も距離を取れ、いいな」
とカレンと目配せをして赤熊に突っ込む。
あまり距離をとって構えているとあいつの『縮地』のようなスキルを使われる恐れがあるからだ。
あの巨体が壁となって眼の前にくるのだからたまらない…。
あの時も『危険察知』に従っていなければ出遅れる所だった。
俺を警戒して距離をとっていた赤熊に対して俺は『縮地』を発動して一気に接近する。
カレンは『跳躍』を使用して赤熊の後方へと飛んだ。
あまり近づくとでかすぎて対峙しにくい。
『空間機動』を使用して腹部まで飛び上がり攻撃を加える。
相手は突然現れた俺に驚き身体が固まっていた所に先制する。
胸部に打撃を加えるが…。
「硬すぎんだろ…」
鉄でも殴ったかのような感触であった。
そこに硬直がとけた赤熊の腕が振り下ろされる。
攻撃力と防御力に関しては目を見張るものがあるが攻撃そのものはあの不意打ちがなければそこまで早くない。
「そんなの当たるかよ!」
腕をいなしてそのまま顔にレールガンを放つ。
距離が足りないせいで加速が足りず威力不足かもしれないが…それでもダメージが少なすぎるように感じる。
「こいつ防御系のスキルも所持しているな…」
ビーストを『特攻』先にしていればスキルの確認ができたのだが…。
まぁそれでもダメージは入っている。
「まぁダメージが入るし、攻撃を躱すのは難しくない…それならヒットアンドアウェイで削るだけだ」
まだ奥の手も残っているが…あれを使うまではなさそうだ。
少しの間カレンと2人で削っていったのだが…。
「なんかだんだん硬くなってませんか?」
「ああ、しかも傷も治ってやがる」
どうやら『再生』というほどのスキルではないが、徐々に回復するスキルを所持している…いや明らかに防御力が上がっているので別の能力かもしれない。
先ほど与えたダメージが回復しており、しかも同じ攻撃を加えても効かなくなっていた。
「カレン、少しだけ1人で相手出来るか?」
「相手するだけなら『獣化』して良いってことですよね」
「ああ、やったれ」
先ほどまでは距離を取る為にカレンには『獣化』は控えさせていた。
遠距離からチマチマと削れば勝てる算段だったからだ。
徐々に強くなっていくというなら出し惜しみしてるわけにはいかない。
「いくぞ、シトリー」
「ふんっ…いいわよ。きなさい」
「『悪魔同調』」
スキルを発動してシトリーと同調する。
こっからは短期決戦である。
このスキルをまともに試せるのは母とフェンリル位なものなので本気でやらせてもらう!
同調が完了して赤熊と戦闘を開始した。
◯あとがき
この赤熊からやばいスキルをドロップします。




