墓参り
無事に夜が明け…ちなみに俺は今日はアイラさん達と同室であった。
カレンとカナタが今日はゆっくり寝るというので部屋割りを決めたのだが…。
俺がいると寝れないのだろうか…。
ちなみに俺とランはすっきりとした目覚めであったが、アイラさんは朝5時過ぎに起きた時にまだ起きていた。
「別に大丈夫だから気にしないで」
『超回復』+『豪傑』によって体力は俺よりあるので本人が大丈夫というのであれば大丈夫かと思うが…。
そして朝からカナタと一緒にカナタの両親の墓参りに向かう。
他の3人は気を利かせて福岡の街を散策するそうだ。
車で行こうと思うと不便らしく、電車で向かう。
途中で山を越えるなら走った方が早かったかもと2人で話しているうちにカナタの地元へと到着した。
「ここは変わらないなぁ」
と駅から出て呟くカナタ。
夏も過ぎたというのに非常に暑い。
ダンジョンばかり潜っている気候に関して無頓着になるのはよくないなと感じる今日このごろ…。
前から地元の若者らしき人達が歩いてくる。
遠目で見つけてからすぐに俺の後ろに隠れるカナタ。
「どうした?」
「地元のツレなんだよ…」
「ああ…」
残念ながら人1人を隠せるほどのタッパは俺にはないので近づいてきた若者が不審に思ったのかこちらを見る。
「あれ?カナタ先輩じゃないっすか」
どうやら見つかったようだ。
「なんで隠れてるんすか」
と覗き込まれる。
「うるせーよ、ほらしっ!しっ!」
と邪険にするカナタ。
「なんでこんなとこにいるんすか?しかも男…えっ女?」
どうやら俺の顔をしっかり確認して女かと疑われてしまった。
「れっきとした男だよ、ほらさっさといけって電車逃すと次が長いだろ」
「いやいや、電車1本よりもそっちのが気になりますって!えっもしかしてこれっすか?」
と親指を立てる。
「いつの時代だよ」
とツッコミを入れる
「お兄さんはカナタ先輩の彼氏っすか?」
ともう1人の若者が質問してくる。
「うるさい、お前らはさっさといけ、いくぞアキラ」
と言って手を摑まれ走り出す。
「へいへい」
そしてそのまま若者達を置き去りにした訳だが…。
「ちょっと自慢したかったとかそんな感じ?」
「うーーーーーーーん…少しは…」
そうなぜこんな事を聞いたのかというと電車を降りてから認識阻害のアイテムを外そうと提案されたからである。
まぁ地元に帰って来るのに隠すのも変かとも思ったがそれなりに有名人のカナタが顔出ししようと思ったのがどうしてか気になった。
「男っ気0ってずっと言われてたから、ちょっと見返したくて…さすがに見つかるの早すぎて焦ったけど」
本当は歩いてる時に見つかればいいなぁ程度に思っていたらしい。
「だったらもう少し近くにいってからで良かったんじゃないか?」
「ここから先、隠れるような場所がないから外すタイミングがないんだよ」
ああ、田舎あるあるだった。
この認識阻害アイテム急に外すと顔が急に変わる事になってしまうので人前で外すのは問題があった。
「それにしてもこんなすぐに見つかるなんて有名人なんだな」
「昔、荒れてたせいだからあんまり誇れるもんでもないけどね」
「まぁそれはそれだろ、それに人との関わりもそれはそれで財産さ」
「そう思えるようになったのは最近だけどな」
と言いながら歩いているとカナタ親戚の家へと到着した。
両親のお墓はここから歩いてすぐの所らしい。
「両親のお墓の管理とかしてもらってるから挨拶しときたくて」
ということで親戚の家の門をくぐる。
正直この親戚の家に寄るというのも初耳である。
事前に連絡はしていたようですんなりと出迎えられて居間へと通された。
「ってかこんな事になるならなんか持ってくるんだった…」
「気にしなくていいって」
とカナタは言うが、そういう訳にもいかんだろとツッコミを入れようとしていたら…。
「そういうことは聞こえないように言うんだよ、馬鹿娘」
と言いながらお茶を持って叔母さんが戻ってきた。
「すみません、手土産もなく…」
「いいんだよ、どうせこの子が急に寄ろうって言ったんでしょ。昔から自分で決めるだけ決めて周りに相談とかしないんだから」
「それは悪かったよ…」
と苦い顔をしている。
そういえば家出の前科持ちだった。
「それで今日は男連れでどうしたんだい?」
「ええっと…婚約したから親にも報告したくて」
「はぁああああ?!婚約!?こんなイケメンと!?あんたみたいなのが!?」
と大音量で驚かれてしまった。
「あんたいいのかいこんなので」
と質問をされるが…。
「はい、それに一緒に過ごしててとても楽しいので」
「まぁ確かに女っていうより男友達に近いかもね」
とカナタの一部をじーっと見つめる。
「そこを見るのはどうかとおもうなー」
「だって隠しようがないでしょ?それは」
「うっさいなぁ…仕方ないだろ、こればっかりは」
「あんたの母さんは大きかったのに何がいけなかったんだろうね」
という話が始まり俺は触らぬ神に祟りなしと思い黙ってる事にした。
そこから色々と昔話を聞かせてもらえた。
「ほんとはこういうのは親がするもんなんだけどね~まぁ私が親代わりみたいなもんだから」
とカナタがトイレに立っている間にそんな事を言われた。
「わがままでしかも自分勝手な上に女としての魅力は不足してるかもしれない…」
言い過ぎですよ…と心の中で思ったが…。
「でも、心根はいい子なんだ幸せにしてやっておくれ…」
と頭を下げて頼まれてしまった。
「こちらこそ一緒に歩んでいければと思ってます」
と頭を下げた。
それからカナタが戻り、墓参りに向かう事になった。
「今度は、なにか持ってきますので」
「いいの、いいの気にしなくて…あっ出来れば今度は子どもを頼むわ」
「それだと1年以上後になるだろ、また来るよ」
と挨拶をしてからお墓に向かった。
歩いて数分の所に墓所があり、そこで2人で報告をした。
「1人だけ愛すると誓えないのは申し訳ないのですが、娘さんは俺が守ります」
と頭を下げた。
「いいんだよ、守ってくれなくても一緒にいてくれれば」
「そういう訳にはいかんだろ」
という話をしつつも報告を終えて帰路についた。
帰り際に…。
「なんかちょっと親孝行できた気がする…提案してくれてありがとな」
とお礼を言われた。
「こっちもちゃんと報告できてよかったよ」
そして福岡へと戻ったのだが…どこで情報が漏れたのか駅近くにカナタの知り合いが集まっており囲まれたせいで少し帰りが遅くなってしまった。
まぁカナタ自体はとてもうれしそうだったのでヨシとしよう。




