処遇
日和の処遇についてはかなりデリケートな問題だ。
俺としては隷属していた責任がある手前、戻して責任を取らせたいというのが俺の願望だが…。
「目的を考えると戻ってもまたなんかやらかしますよ?」
というのがしばらく一緒に働いていたミレイとしての日和の印象。
「だけど日本に送り返すのも問題だろ?」
というカナタの問いも間違ってはいない。
あっちではがっつり犯罪者だ。
隷属させることで猶予されている状態だったのを蹴ったのだから最悪死刑だろう。
「持ってる情報の事を考えると有効活用したいのは間違いないんですけどね…」
恐らく、日和は悪魔として活動しながら何かしらの情報は得ている可能性は非常に高い。
その情報を得られるというのは大きな利点ではある。
「しかし結局あのアイテムがあるって事はそういう事なんですよね」
あの時アラクネから手に入れたアイテムの名前は…【アラクネの神糸】というアイテム。
まぁアラクネから落ちたアイテムだし当然かと思うのだが、アイテムの効果の所にとんでもない事が書いてあった訳だ。
おちた者を救う力がある、長ければ長いほど効果が高まる(上限10)
という説明文だった。
日和は管理者としての権限と共に能力を付与されて悪魔になったので本体は無事といより生きている。
ならばこの糸で救えるのではないかという話になった訳だ。
ご丁寧に上限が書いてあったのは非常に助かる訳だが…。
「進捗はまだ5本だからまだかかるぞ」
とカナタから報告を受けた。
やはりドロップ率が渋い。
それでもカナタは、インセクト系に対してドロップランク変化があるので俺が狩るよりも集めやすくはなっている。
「これで悪魔の力と引き剥がせた場合にどうするかという話だろ」
カナタの言う通りこれで引き剥がしに成功した場合の日和の処遇である。
「前回の事もあるから基本バックアップ要員としてクレアと一緒に色々事務仕事を頼めばいいんじゃないかと思ってるが…」
俺としてはこれが一番丸いと思っているが全員が日和を知っているメンバーは難色を示した。
「はい、元通りとはいかんだろ…あいつは自己の目的の為だったら平気で裏切るぞ」
と言うカナタの懸念は尤もである。
「それについては、私もそう思いますよ。バックアップだろうがなんだろうが一緒に行動するのすら警戒しなきゃいけないのは面倒です」
とミレイもそれに同意する。
「私はあんまり関わりなかったからとやかく言うのはアレだけど…かなり問題ありそうだよね…」
とあまり日和を知らないカレンも難しい顔をしている。
「だけど全員殺したい訳ではないんだろ…」
「それはそうなんだが…」
という訳で全員納得の結論が出ない状態だった。
「彼女の目的は親友の蘇生…まぁせいかくにはストラスの解放ですよね…」
と沙月が呟く。
「まぁそうだな。姿は親友そのものだった訳だし」
「はぁ…仕方ないのでプランBで行きますか…アメリカにも影響があるのであまりやりたくはなかったのですが…」
沙月から語られたプランBはとんでもない内容だった。
「それほんとにやれるのかよ…」
「最悪の場合はもっとヤバイ事になるかもしれませんけどね…シトリーやアガレスの話を聞いた限りは十中八九そうなると思います」
とんでも内容ではあるが、【アラクネの神糸】があればやれるかもしれないという希望が出来た事になる。
「そのプランだと能力の対抗策も含めて色々とやり直しだな」
「でもやる価値はあると思いますよ」
もしこのプランが上手くいけば日和が裏切る心配は0になる。
それに加えて大きな利点も得られるかもしれなかった。
沙月の提案した内容について全員反対意見はなかった。
日和の処遇について不安視していたメンバーも納得の内容であった。
そして結局【アラクネの神糸】は必要になるのでカナタ達は狩りに向かった。
「さて、お二人の力はどちらにしても非常に重要になってくるのでここからはどーピングしながらレベルを上げてもらいますよ」
沙月からにこやかに圧をかけられているのはスミレとツバキである。
「頑張ります…」
と自信なさげに答えるスミレ。
「年下から圧かけられて怯むなよ」
「うっるさいわね…こっちのやること考えたら責任重大なのよ…」
「大丈夫だろ、なんとかなるって」
「そんな無責任なことばっかり言って」
「ああ、なんかこの幼馴染感だされるとなんかモヤモヤしますね…」
「妹としても姉が取られた気分です」
「そこうるさいわよ!」
茶化された事を2人に反論するスミレだった。
「2人には『精霊化』に加えて『テイム』も上げてもらいますからね…という訳でここからはマジックポーションを使って耐久訓練です」
という訳で『精霊化』を使う→マジックポーションで回復という流れでひたすらレベル上げをすることになった。
そして対面として選ばれたのは動かないトレント達であった。
ご愁傷さまである。
という訳で作戦決行に向けて色々と動き出すことになった。




