ソフィアside
クレアの件を本国へと報告した結果色々と面倒な事が起きた。
開口一番の要求は、引き渡しだったのだが、そこは断固として拒否しなければならない。
日本側はあっさりとした承諾されたそうだが…。
アメリカ側はどうしてもDDD内の情報が欲しいようだ。
「前回襲撃があった件は聞いていたが、その際は撤退したと聞いていたが?」
「その際に逃げて亡命してきた者がいたのでそのままこの地で管理したいと申し出ております」
「DDDの内部情報を知る人材がどれほど貴重かわかっているのかね」
DDDの内部情報は完全なブラックボックスといっても言い。
各国のスパイ達は色々と画策しているようだが、管理者権限のせいですぐに見つかる上に徹底的に排除されているので内部の情報はほとんど外部に流れてこない。
「本人はあくまでも情報は可能な限りワタシ達に提供しております。それ以上をということであれば信頼関係が損なわれ協力を仰げなくなるでしょう」
「本国につれてくれば情報を引き出す事は可能だ」
そんな事はこっちも百も承知である。
読心系の能力者は国家存亡の危険もあるのですべて国で管理されている。
これについては各国も同じだ。
日本はそれなりに自由にさせているのが不思議でならない。
まぁ監視はついているそうだが…。
そもそも読心系のスキルは使用条件が非常に難しく個人での運用はとても難しいというのが基本だ。
嘘発見器的な使い方は出来ても記憶を丸ごと取り出したりすることは出来ない。
それこそ相手の考えを読み取る事が出来るスキル持ちであっても表層部分しか読む事は出来ず、その人が心底隠したいと思っている事は読み取れない。
まぁこれについては政府関係者しか知り得ない事なのだが、父の仕事の関係でワタシはこの仕様を知っている。
なので、もし情報を引き出そうとすると廃人にするまで薬付けにして引き出す事になる。
それは阻止しなければいけない。
「必要な情報は提供しますが、そもそも本人も一度出たら入るのは不可能と言っている位の難攻不落っぷりですよ。ノータッチがベターだと思います」
そもそもあちらとはすでに協力体制を結んでいるので本国が何かしでかせばこちらの責任になってしまう。
向こうはずっと難色を示しているがこれで押し切るしかないのが辛いところである。
「向こうがせっかく協力的なのに無理強いをして拒否されるような事はやめた方が良いんじゃないですかね」
と発言してくれたのはモーガンである。
「しかしだね…」
「そもそも、ロシアの現状がある以上表立った軍事行動は国家の破滅です。幸いにもあそこは我が国とも離れていますし現状対処すべき問題はありません」
少人数の部隊で攻略をしようと思っても彼女がいる限り殲滅されるのは目に見えている。
というより犠牲者が増えるだけなのでほんとに辞めて欲しい。
「ダンジョンの攻略に関する情報を貰えるというだけでありがたいではないですか、フェンリルで詰まっている我々には喉から手が出るほどの情報ですよ」
外交官でありながら、探索者として最前線で戦っているモーガンの言葉は重い。
それぞれ思う所はあるのだろうが、渋い顔をしながらも納得したようだった。
上司と部下ということでワタシとモーガンが通話に残された。
「まぁ収まる所に収められたな…」
「正直、どうなるかと想いましたけどね…」
「ロシアの件が響いているのだろう。軍事費の縮小の話も出ている以上攻め込む理由が欲しかった連中もいたようだが…」
せっかく戦争行為を禁止する理由が出来たというのに…未だに戦争をしようという輩は我が国にもいる。
今まで大きな顔をしていた組織である以上影響力は根強い。
「現状はダンジョン探索に力を入れているが、ダンジョン内では重火器はほとんど役に立たない。兵士達の転職先はあっても軍事産業は大きな打撃を受けているからな」
兵器を保有する必要がない以上、その手の兵器を開発していた工場などは大きな打撃を受けている。
「以前は、武器を製造していたメーカーの半分以上はダンジョン装備の製造に転換したと聞いていますが…」
「ああ、そのとおりだが…なら残り半分はどうしていると思う?」
「嫌ですね…そちらには極力関わり合いたくありませんので後はよろしく頼みますよ」
「まぁやれる限りはな…とりあえず近々そっちにいって合わせてもらうことにはなるだろうからよろしく頼む」
クレアとの面会というか面談になるのだろうが…アメリカと日本側から人が来ることになっている。
「わかりました…フェンリルの件はレポートにまとめて提供しますので役立ててください」
「これで突破出来ればいいんだがな…さすがに上も躍起になっててな」
現状フェンリルはどこの国も突破出来ていない。
まぁ正確な話をするのであればうちもそれにDDDは、遥か前に突破している。
しかし、それは非公式な情報であり世界的にはまだ突破が出来ていない状況だ。
ミスリル装備のおかげで40層までは到達する国が増えているがフェンリルで足踏みしている状況だ。
薬の件もあるので各国で突破されればダンジョン症候群に苦しむ人の治療にも影響があるはずだった。
利点を独占する為に秘匿していた情報だったが、この病気の治療薬の情報が出た以上秘匿よりも公開をしなければというのがワタシ達の共通認識となった。
「それでは…援護ありがとうございました」
「全く、治療薬なんかの情報がなければ納得させるのは難しかったからな、こちらも助かった」
モーガンにはあらかじめダンジョン40層以降にドロップするアイテムの情報を提供していた。
もちろんクレアからの情報ということで根回しをお願いしたのだが…。
特に興味を唆られたのは若返りの霊草である。
「若返りとはな…連中の目の色が変わりまくってたぜ」
「現状を維持する薬ではなく若返りですからね…」
いつの世も権力者は若さを求める。
それは万国共通である。
「それでは、ワタシも準備がありますのでこれで」
「ああ、情報の件は早めにな」
「わかりました」
これにてようやくクレアの件が片付いた…はやくダンジョンに潜りたい。
仕方ない事ではあるのだが、ダンジョンに潜ってモンスターと戦ってたほうが楽しいし楽である。
「まぁこれもパーティでのワタシの役割…しっかり全うさせていただきます」
とレポートの作成も含め準備を進めていく。




