精霊砲
とんでも火力の精霊砲だが、準備も含めてそれなりに時間がかかるのも弱点の一つだ。
それまでは無防備に近くなるので俺達で防ぐ必要がある。
「『悪魔同調』は使わないんです?」
「うーん使ってもいいんだけど、あれやると動けなくなるからな…まぁ時間稼ぎっていうなら使わなくても問題ない」
防御は硬いが攻めは単調でしかも攻撃力はない。
掴まれないように一定の距離を保っていれば問題はない。
「そっちもさっきから何度か捕まってるだろ、大丈夫か?」
「ハハッ、バレちゃいましたか。まぁこんな拘束私にとっては拘束に入りませんから」
何度かツタに捕まっていたがすべて『跳躍』で抜け出していた。
ほんとに便利だ。
「そっちもさっきから『縮地』使ってるじゃないですか」
「あれは座標指定がシビアだからなぁ…無数の攻撃を躱すにはあんまり向いてないんだぞ」
基本的には一度固定した座標は移動完了まで変更出来ないので縦横無尽に飛んでくる枝とツタの安全地帯を見極めるのは結構シビアだったりする。
「準備出来ました!いけます!」
と後ろから合図が来る。
基本的にスミレは攻撃が出来ないのでツバキが主になっているようだ。
「さて、下がるぞ。巻き込まれたら最悪死ねる」
「わかってますよ」
そして俺は『縮地』、カレンは『跳躍』で精霊化して合体したスミレとツバキの元に移動する。
「精霊砲!!!」
という言葉と共に極大のビームがトレントに向かって放たれる。
ダンジョンの壁に穴を開けるのであれば俺のレールガンでもサキのアポカリプスでも可能だ。
しかし開けられるのは小さな穴、しかもすぐに塞がってしまう。
だが…この精霊砲は違う。
あのダンジョンの壁を安々と破るだけの攻撃力を持ちながらその攻撃範囲は3mを超えるのだ。
「四合体ほどじゃねーけどさすがの極太ビーム」
放たれたビームはそのまま枝やツタを消し飛ばしながら本体へと直撃。
そして身体をくり抜き貫通していった。
その瞬間に、モンスターの消滅エフェクトと共にまた元の広場へと戻っていった。
「よっと」
精霊化が溶けて2人と1匹へと戻り倒れそうな2人を支える。
「大丈夫か?」
「ああ、頭痛い…限界…」
「うぅぅ…」
と唸っていた。
2人にマジックポーションを飲ませる。
「完全に空にならなくなったなら進歩じゃないか?」
「三合体だからね…四合体の方はまだ魔力足りないよ…」
あっちは完全に枯渇して即気絶するのだから正直ギリギリを攻めるよりもあっちのほうが楽なのでは?と少し思ってしまう。
「多分魔力枯渇してる位だからまだ威力あがると思うんよ」
「アレ以上の威力でるのかよ…こわ…」
さすがうちのパーティのナンバーワン火力であった。
ちなみにドロップ品はカレンが回収に向かった。
『獣化』しているカレンの方が距離が長ければ長いほど俺よりも早い。
短距離なら『雷化』した俺のが早かったりするが…まぁ張り合うもんでもない。
2人を座らせて休ませて一応周囲の警戒に当たる。
「お前は元気だな」
「ウォン」
と元気に声を上げるのはシルバー。
こっちは魔力量もさることながら回復力も高いのですぐに元気になっていた。
そしてそんなことをしているとカレンが戻ってきた。
「長かったな」
「そりゃぁダンジョンの端まで行ってましたから…やっぱりすごいですね、アレ」
障害物が木しかなかったのもあるがさすがの威力だ。
「ドロップ品も回収してきましたがもしかしてこれですかね?」
とカレンが差し出してきたのは赤色の葉っぱだった。
「おおう、なんかそれっぽいな」
「ですよね、転移石と一緒に落ちてたのでボスドロップかもしれないですけど」
「それはありえそうだな」
これで目的達成ならいいが、まぁ最悪達成できなくてもここに飛んでくる事は今度からすぐに出来る。
「DDDのダンジョンで探すほうが効率いいんじゃないですか?」
あそこは管理者権限でドロップなどを弄れるので最悪それでアイテムを入手することは出来そうだが…。
「それは最終手段かなぁ…ドロップ変更も頻繁に出来るわけじゃないらしいし自国の民の為に使うのが優先だろうからな…私用で融通してくれっていうのもなんだかな」
俺の母である前に大勢の国民を預かる王なのだ。
あまり型破りをするのは良くない。
「それにスミレも自前で取れば納得するだろ」
迷惑をかけれないといって抜けようとしていたのだから出来れば自分で取らせてやりたいという想いもあった。
守られるばかりというのはそれはそれでストレスであることは理解している…いや皆にさせられたというのが実情かな。
「ええ、自分で取れてよかった。まぁここまでは迷惑かけたようなもんだけど」
「そんなことないですよ!正直シルバーちゃん大活躍でしたし」
と言ってシルバーをモフるカレン。
「まぁ喜ぶのは早いですけどね。それが目的のものかわかりませんし」
とツバキが口を挟む。
「ああ、ちょっとうちの妹が厳しい…」
「私のこと置いてそんなこと考えてた罰です」
という事で姉妹間で色々あるようだ。
という訳でとりあえず戻る事に…。
「一晩明かしちゃいましたけど大丈夫ですかね?」
「まぁ探索に時間かかるのはわかってるだろうし大丈夫だろ。そっちよりも5人が無事かどうかの方が心配かな」
「どういう事です?」
「休むのも仕事って言葉あるじゃん?」
「ありますね、しっかり休めって言葉ですよね?」
「うーん…ちょっと違うんだよ…母さんの場合は文字通りに休むのが仕事なんだよ」
その言葉に3人が頭をひねっていた。
「まぁ行けばわかるよ」
そしてカレンの『跳躍』を使い帰宅した。




