沙月side
そんなこんなで3人は気を失った状態から水をかけられて目を覚ましてボロボロの状態で座っている。
基本的には眷属状態だと王に危害が加えられない状態なのだが⋯。
「危害を加えてもいい、本気できなさい」
と命令を出して結果的に3人まとめて相手をしたのだが、現状3人がボロボロの状態で転がっている。
「それで他の人はどうする?」
静かに全員が頭を伏せ恭順の意を示した。
今までの王は正直『王権』というスキルに頼った状態だったが⋯。
それに強さが加えられ手がつけれない状態になっている。
「悪いが死体は引き取らせてくれ、弔ってやりたい」
とラッキーが申し出た。
本来は、アメリカに移送するのが一番有効活用出来るのだが⋯。
まぁDDDのトップが変わった事を知られるのは面倒な上に日本とアメリカにはだんまりを決め込むつもりなので渡しても問題はない。
「わかりました」
と言った所でラッキーも大人しくなった。
これで無事?に引き継ぎは完了した。
ボロボロの3人を除き王を敬うように座り直す。
「我が王に忠誠を捧げます」
とレインが言葉を発した瞬間に深く頭を下げた。
「ファンの喝采とはまた違ったが気持ちよさがあるわね」
と不遜な態度を取る聖歌さん⋯。
溢れ出るオーラが見えるようであった。
偶像であろうと実像であろうと人の前に立ち続けた女性の姿。
本当に規格外としか言いようがない。
強力なスキルに加えて、完璧な身体⋯恐らくこの世界で最強と呼ぶに相応しい姿がそこにはあった。
「それじゃまずは建設的な話から始めましょうか」
そういって聖歌さんは手を叩いた。
その後、幹部を含めて話し合いが行われた。
まず最初に行われたのが同盟関係の確約である。
トップが聖歌さんである以上トップの同意についてはすでに頂いていたわけだが⋯。
これに関しては今後の関係を良好にする為に全員の同意が必要だった。
「表向きには特に発表などはしませんが互いに協力できるところはしていこうと考えています」
「それはそちらの驚異的なまでの成長スピードも教えてもらえるということかしら?」
とレインが口にする。
「成長速度だけならそちらも使ってる手がありますよね?」
「『超早熟』の話であればあれは短期人材育成というなの使い捨てですので」
使い捨てという言葉にサキが怪訝な顔を浮かべる。
「弟さんの件については謝りませんよ、あそこまで増長したプライドは組織にとっては癌に成りえるので」
とレインは言い放つ。
「気にしていないと言えば嘘になりますが⋯自己責任でしょう、正直組織の中で扱うには扱いにくすぎるもの⋯それに提案したのはあなたでは無いのでしょう?」
レインは顔を少し伏せる。
「提案したのはアレスでしたが、反対もしませんでしたので⋯」
「いいのよ、それに愚弟の事はもう良いわ。他に大事な家族もできたもの」
とサキは言葉を続けた。
「その辺りは王様を通してできるだけ共有しますよ⋯真似できないと思いますけど」
「相互協力関係においては問題はありません」
ということで合意へと至った。
国家とパーティで結ぶ同盟というのも奇妙なもんだと思いつつこれで私の目的は達したと言っても良い。
「残念ながら1週間は国に戻れないそうだからしばらく厄介になることになりそうよ」
『王権』のクールタイムも引き継いでいるらしくすぐに国に帰国は出来ないようだ。
「そういう事なら1週間はこっちにいてもらいますか」
正直聞きたい事もあるので都合が良かったりもする。
という訳で10階層へと案内する。
カレンの跳躍を使う事も考えたのだが⋯あまりバラしたくない能力なのでここは伏せておくことにした。
とりあえず全員で10階層へと向かう。
「実力みるのに丁度良いわね」
と言いながらバックアップ要員であるレイン、サポ、ファクトリーを除いた全員を聖歌さんが後ろから攻撃しかけながら10階層へと向かった。
「ちょっと!私への攻撃だけ密度がおかしくない!?」
と叫ぶミラー。
「私怨も入ってるもの、着いたら覚悟しときなさい」
と冷たい声で反論していた。
「ひぃい」
ちなみに確かにミラーに対しての攻撃の密度が濃いのは見て分かるのだが⋯他の6人に対してもかなり容赦なく攻撃を向けていた。
「近距離じゃなくてもあれだけ攻撃出来るんですね⋯」
とミレイさんが感心していた。
「アキラさんも近距離戦得意とかいいながら普通に遠距離でもやれますからね⋯」
詐欺がすぎる。
この親にしてあのアキラさんという感じがする。
「スキルの使い方が多彩だよなぁ、魔法に他スキル乗せてるのとか」
「魔法であれば大概のこと出来るから普通はそんなこと考えませんからね⋯」
とカナタさんとサキさんが感心していた。
『空刃』スキルに『水魔法』の水刃を重ねて威力を増していた。
「水刃はスピードに難があるんだけどあれなら問題なさそうですね⋯」
との事だった。
ちなみに威力については、言うまでもなく普通にレベル40超えの人達がダメージを受けて傷ついているレベルなので相当なもんである。
「「これからやっていける⋯?」」
と7人の阿鼻叫喚を見ながら呟くレインとサポ。
「昔の美しいまんまだすげぇ!」
と喜んでいるファクトリーという状況となっている。
そんなこんなで追われながらということもあってかなり早く10階層へと到着した。




