ネイキッドジェイル(裸の檻)
母は、母(京香)が亡くなった事を知らない。
有名な漫画家であっても諜報員であった母にその情報が届いてはいなかったのだろう。
「大丈夫?」
アイラさんが声をかけてきた。
「大丈夫ですよ、ってか本人も聞いてましたよね」
「ええ、すっごい気まずい顔してるわ」
「まぁなんとかなりますよ⋯とりあえず母と一緒で殴られそうなんで防御固めとこうかな⋯」
アイラさんの身体を借りた母の一撃も相当だったが、母(聖歌)の一撃はどうなってしまうのか⋯今から考えただけでも恐ろしい。
まぁそう考えられるようになっただけ先日の件で吹っ切れたんだなというのを改めて自覚した。
恐らく以前のままの気持ちだったら罪悪感で胸が一杯になっていたように思う。
ちなみに俺は今回お留守番である。
なぜって?普通に母には俺が万全じゃないのを気づかれていたようで言伝と共にお留守番を命じられた。
向かったメンバーは、沙月と母に加えてミレイ、カナタ、サキ、カレン、ソフィアとなっている。
まぁこのメンバーであれば正直不安はない。
「とりあえず大人しく寝てましょうね」
と言ってアイラさんに抱えられてベッドに連れて行かれる。
「歩けますって」
「痛そうにしてるんだから大人しく運ばれなさい」
こういう所で年上感を出してくるのはずるいな⋯。
まぁ大人しく甘えておくか⋯。
ホテルの部屋に連れて行かれてそのまま寝かされる。
「怖い目で見つめるのはやめましょうね、そういうのは沙月が成人してからです」
寝かした俺の事を見つめる目に何やら恐怖を感じたので牽制を入れる。
「そ、そんなこと考えてないです!」
「舌出してますけど?」
そう指摘すると顔が赤くなった。
肌が白いせいもあってかとても目立つ。
「頭冷やしてきます」
といってでていってしまった。
「最近視線が鋭いんだよな⋯まぁ一番大人だしそういう欲が強いのかもな」
と呟きながら部屋の天井を眺める。
「シトリーは大丈夫か?」
「もし始まったら参加しようかと思うくらいには回復してるわよ」
「余計に怖いこと言うなし⋯」
「もっと使いこなしてもらわないといけないわね」
現状、『悪魔同調』はまだまだ使いこなせていない。
一方的にシトリーの力を使っているに過ぎないというのがお互いの認識である。
そのせいでレールガンを含め俺のスキルはほとんど使用出来ていなかったりする。
シトリーの魔力があるのであれば、もっと『電磁支配』を多彩に使用出来る。
しかし、現状は稼働時間の短さもあり威力の高いスキルを使用する事になるので実は攻撃の幅は狭くなっていたりする。
「とりあえず稼働時間だなぁ⋯」
スキルレベルが低い⋯それも影響している気がしている。
もっとレベルを上げてそれこそランクアップすればもっと使いやすくなる。
「それもだけどネイキッドジェイルはこっちのスキルも無効になる最終手段⋯あれを使うのは実質自爆技よ」
「わかってる、さすがにあのままやってても勝てる気がしなかったからな一か八かだった⋯」
ネイキッドジェイルは、シトリーの特性というだけあってシトリーの能力を参照している。
お互いのスキルを徐々に剥がしていく技なので最終的には『悪魔同調』も解除されてしまう。
ただし檻自体はしばらく効果が残るのであれを使った理由はスキル無しでやり合う為でもあった。
「打った隙を突かれて速攻で気絶させられたせいでほとんど効果出なかったからな⋯すぐに効果出ればよかったんだが⋯」
「仕方ないでしょ、服は徐々に脱がしていくのが楽しいのよ」
というシトリーの思考も反映している。
「すごい技だけ、性癖全開のスキルだな⋯」
「服が裸にならないだけマシでしょう?」
最終的にはお互いに裸にしたいらしい。
「絵面がヤバイ⋯装備には干渉できなくて良かったよ」
「安心するのはまだ早いわよ⋯ワタクシも成長してるんだから出来るようになるかもしれないわよ?」
「そっち方面の成長は遠慮したい」
まぁ実際、厄介な装備をしてる相手にとっては有用かもしれない⋯。
しかし、お互いに裸で打ち合いするのは絵面が悪すぎるだろ⋯。
有用かと思ったが却下だ。
「それにアガレスの能力はもっと使い慣れなさい」
シトリーからお叱りを受ける。
「わかってるさ⋯」
アガレスの『時』関係の能力は現状ほぼ使用出来ていない。
消耗が激しいという理由が一番なのだが、そもそも単純な技しか使用出来ない。
『時』関連で使えるのは、『加速』と『減速』のみである。
「時戻しが使えるようになれば、同調時間を延長をすることが出来るのよ」
「他にも色々あるもんなぁ⋯」
基本的に『時』関連の技はすべて個人にしか使用出来ない。
しかし今は加速と減速の2つしか使用出来ないのが現状だ。
「まぁこれで落ち着くだろうし⋯訓練期間がとれるだろ」
「頑張りなさい」
そういってシトリーが消える。
回復したといってもやはり消耗しているようだ。
いつもならずっとくっついているのだが⋯。
まぁ俺もゆっくり休ませてもらおう。
そう思い目を閉じる。
◯あとがき
ここからしばらく、DDDsideの話になります。




