回眠
それからしばらく眠りについた。
筋肉痛は諦めるが⋯体力は回復完了。
最悪相手をするのは問題ない位には回復した。
「大丈夫ですか?」
「ああこれ以上寝てても対して変わらん、ただこの時間で意識戻るのか?」
「戻っちゃうんですよね⋯寝てれば⋯」
という沙月からスキルの説明を受ける。
『回眠』
響きは快眠と同じだが効果が違う。
・睡眠時に身体の傷、体力、魔力の回復を促進し10時間で完全に回復する。
・睡眠時に老化が止まる、10時間以上の睡眠時は魔力を消費しながら身体が若返る。
「なんだよ、その効果⋯実質不老ってことか?」
「不老になるにはずっと寝てないといけないですからね、結局活動時間が減るのでなんとも言えないとこですね⋯」
言われてみれば確かに⋯睡眠時に老化をしないというのは素晴らしい効果だが若返り
までしようと思うと本末転倒感もある。
「ということはあと2時間で全回復するってことか⋯」
「そういうことです。よくあるRPGとかで一晩寝れば完全回復を再現してるようなスキルですね⋯」
「でもこれ固有スキルじゃないんだろ?」
「これ3ランクアップしてるスキルなんですよ⋯」
「2回じゃなくて3回!?」
うちのパーティメンバーで1回ランクアップしてるスキルを所持しているのは何人かいるが3回はどういう事だろうか⋯。
「恐らく元々のスキルとの相性が良いのとダンジョン初期から前線で戦ってきた証でしょうね⋯」
ちなみに初期スキルは『睡眠』→『瞬眠』→『快眠』→『回眠』となっているそうだ。
「まったく恐れ入る⋯」
という訳でしばらく待機な訳だが⋯。
「他の連中は大丈夫なのか?」
「サキさんがもう一度魔力を枯らしたのでまだ寝てます」
このまま永久に魔力を枯渇しておけばいいのかと言うとそうでもない。
「あんまりやると衰弱しちゃいますからね⋯」
意識を失った状態で長らく放置するのであれば医学的措置をしないと普通に衰弱死させてしまう。
俺達の肉体の強度は強くなっても結局人の身である以上、飲食は必要なのだ。
「ソフィアさんが一応医務室があるのでそっちで点滴等は打てるそうですが⋯」
「まぁそれはもう一度枯らすならそうするしかないな⋯」
という事でこれ以上延長をするとめんどくさいことになる。
それから食事などを済まし⋯。
「さてそろそろ場所を移しましょうか」
時間が経ち目覚めるまで残り30分となったので沙月が呟く。
そして母の寝ているベッドを沙月が浮かべる。
「絶対触らないでくださいね、『睡拳』とかいうのを持ってるので寝てる時に何かあると反撃されますから」
「うへぇ⋯」
危険物を扱うかのように母を外に運ぶ。
実際危険物である。
ちなみに何かあった時に相手をするのは俺、沙月、カレン、ソフィア、ランとなっている。
何かあった時に1人で対処できるメンバーを選んでいる。
「まぁ何事なければいいんですけどね」
との事だった。
正直本気で相手をする位なら逃げた方が良い。
ちなみに幹部連中も含めて別階層に移動済みである。
それを込みでカレンを選出している。
そして時間になった。
まるで何事もなかったかのように目覚める母。
「スキルはさすがに把握されてたか残念⋯驚かせようかと思ってたのに」
「一応準備はしていますけど正直敵対する気はありませんので⋯」
「こっちも息子とやりあうつもりはないから⋯いや息子とだけならやり合うのはありかも⋯」
「辞めてくれ⋯」
そんな冗談を言える位には問題なさそうだ。
「さてじゃあその『超回復』を使わせてもらっても?」
「はい」
そういって沙月がスクロールを手渡す。
「さすがの警戒心ね⋯関心関心」
と言いながらスクロールを受け取る。
「もしかして相手の好感度がわかるのか?」
「ええ、まぁオンオフは出来るんだけど一応好感度メーターみたいなのが見えるのよ」
「そのスキルさすがに強すぎないか?」
「まぁ強いのは認めるけど色々と制約も多いから」
とぼやいていた。
「それじゃ使わせてもらうわね」
そういって母は、スクロールを使用した。
そして使用と同時に『超回復』が発動したようで顔のやけどが治っていく。
「あれって髪も伸びるのか⋯」
「どの状態を正常とするのか⋯ってか若がってませんか⋯?」
やけど痕が無くなるのは良いのだが治った後が昔とほとんど変化がない。
「歳相応になるんじゃないのか?」
「どういうことなんでしょう⋯」
「恐らくなんですけど、傷ついた時の肉体を正常とするならそこまで回復するんじゃないですかね?」
とカレンが呟く。
「じゃあ今、傷をつけておいて治さずにいれば数年後に『超回復』を使用したらその時まで若返るって事か?マジかよ⋯」
「古傷を持ってる兵士の人に使えば若返るって事です?」
とソフィアも興味津々だ。
「顔だけかもしれないですしこればっかりは調べてみないと⋯」
これは後で精密検査が必要になりそうだ。
やけど痕が消え、髪もすっかりと伸びて昔の母の姿に戻っていた。
しかし光が頭の部分に集中し⋯少し時間を置いてから光が消えた。
「あっ嘘⋯」
沙月が呟く。
「えっ?どうした?」
「魔力枯れました⋯」
「はぁ!?」
魔力値Aの魔力が枯れた?
そんな訳があるかと思ったが⋯。
起き上がっていた母は、そのままベッドの方に向かって倒れてしまいそうになっていた。
俺はすぐに移動して受け止めようとしたのだが沙月が静止した。
そして『空間操作』で受け止めてそのままベッドに寝かせたようだ。
「触れちゃダメです⋯っていっても『空間操作』が触れた事にならなくてよかっただけなんですけど⋯」
とホッとしていた。
「回復箇所に魔力が追いつかなかったみたいですね⋯脳の修復ってそんなに魔力を消費するんですね⋯」
と何やら後半は聞き取れなかったがやはり魔力切れしたのは間違いないようだ。
「よく魔力切れってわかったな」
「ああ、ええっとさきほど渡した時にちょっと⋯」
なにやら先程スクロールを渡した時に何かしたようだ。
それで母が褒めてた訳か⋯。
という訳でせっかく起きたというのにもう一度ベッドに逆戻りである。
「これもう一度10時間か?」
「そうですね⋯どうでしょう『超回復』を持ってるので早いかもしれません、魔力が回復してきたらまた声をかけます」
ということでせっかく目覚めたというのにもう一度眠ってしまった我が母を待つ事になってしまった。
「あいつらどうする?」
「起きる時間を考えるとギリギリですね⋯まぁどちらが早いかでどうするか決めましょうか、最悪起きてもなんとかなりますしね」
とのことでとりあえずは、全員で食事を取ることにした。




