沙月side
アキラさんも無事に意識を取り戻したようで安心だ。
さてこっちはこっちで色々と準備がある。
「堅牢さん、あなたはまだ眷属のままですか?」
ミレイさんに洗脳状態にされて無傷のまま捕えていた堅牢に問いかける。
「はい、まだ眷属の状態のままです」
ちなみにまだ洗脳状態のままである。
以前の魅了よりも命令に柔軟性があり、且つ従順に従うので非常に使い勝手が良い。
まぁ弱点としては、魅了と違い複数人にかけられない事と連続使用が出来ない点など色々と使い勝手が悪い面もある。
まぁそれでも強力な固有スキルであることは間違いない。
「洗脳ってアニメや漫画なチートスキルな感じしますけど制限も多いですよね」「自分に危害を加える系の命令は出来ないし、それこそ仲間への攻撃すら拒絶される場合があるからね」
レベルが上がれば改善するのかもしれないが命令には色々と制限が掛かっている。
「なんだかんだ『隷属』スキルにも穴ありましたしそういう仕様なのかもしれませんね」
強力な能力には色々と制約が多いのがスキルの特徴でもある。
バグみたいなスキルであってもそれを使うには色々と制約が存在する。
私の『叡智』は見る事にかけては天下一品だが戦闘にはほとんど関与しない。
パーティメンバーのスキルを使用出来るという強力な能力はあるがそれにも制約が存在する。
これが顕著なのが大罪系と美徳系スキル。
基本的には大きなメリットを得る為に、強烈な制約が付与されている。
まぁ確かに利には叶っているとは思うのだが⋯、
まぁ知性体の持つエネルギーを吸収するのが目的なのだから簡単で強力なスキルを配るほど頭は悪くないという事だろう。
「眷属のままという事は恐らく『王権』はそのまま引き継ぎされているとみてよさそうですね」
当人には確認作業はするが、眷属化が消えていないという事はそれ自体も引き継いただと見て間違いなさそうである。
「それなら、当初の予定通り⋯とはいかないわね」
「ええ、それはさすがに出来ません」
ルーシェルのままであればそのまま『隷属』コースだったのだが、アンノウンが聖歌さん⋯アキラさんのお母様だと分かった以上その択はない。
「不安材料はあるのですが⋯DDDを聖歌さんに運営してもらう手もありますね」
「そんな事出来るの?」
「聞いてる限りでは聖歌さんなら⋯まぁ問題は無いんじゃないですかね」
以前の王が持っていなかった強さに加えて強烈なカリスマ性を持っている。
知識面に関してもアキラさんが卓越してると言っていたので恐らく問題なさそうではある。
そもそも敵対しない前提であれば、あの国とは仲良くやっていくのが一番都合が良い。
あくどい手段を使って人を集めているのは確かだが、やっている事はうちの国家版だ。
批判するつもりはない。
「それに何かあった時の避難先として同盟を結んでおくのもありだと思います」
今後、こちらから敵対するつもりは無いが、アメリカや日本と敵対することになった場合の避難先としてDDDは非常に有難い。
「そうなるとアキラはあっちに行っちゃいません?」
「そこなんですよね⋯」
この策の一番の問題点はそこである。
アキラさんの事なのでこちらに気を使って行かないと言ってくれそうではあるのだが、それに甘えてしまっていいのかという後ろめたさがある。
「それか眷属連中だけ返して国だけ維持して貰ってればいいんじゃない?」
「あの国の防衛力の要ではありますからね⋯正直そこは不安です」
『王権』を使っての実質ダンジョン支配地域の完全支配。
これがあの国の防衛力の要でもある。
小さな小競り合いを繰り返しているあの国にとってはその能力は捨てがたいだろう。
「まぁ何にせよ本人が目を覚さないことには決められませんから」
「そうなるわね」
ちなみに他のメンバーは傷の手当やスキルを酷使したことで失った魔力の回復などを行っている。
「魔力枷をつけてあるので1日は起きないですけど⋯どうしましょうかね」
あの魔力枷は1日しか持たない。
基本的に魔力値Aの人の場合は作るのに大魔石を使用するほどに効果であり、しかも放出機構を備えていないので1度きりである。
基本的に意識が戻るまでの猶予は魔力を失ってから回復するまでの1日という事になる。
「この魔力枷で、あなたを拘束する場合はどうなるの?」
「ああ、私は無理ですね」
ええ⋯というドン引きされた顔をされた仕方ないのだ。
私の魔力を吸い付くせる魔力枷は大魔石を使っても作る事は出来ないのだ。
そもそも魔力値がSという括りになっているので仕方ない事なのかもしれない⋯。
「これだけ高レベルの探索者が揃うと生半可な拘束具じゃ無理ですしね」
そもそも拘束するという考えが間違っている気がする。
一応回復する前に新しい魔力枷を装着するという手はとれるが⋯。
まぁそれは何も解決策が無かった場合に限る。
(ああ、ええっと⋯母が目を覚ましたみたいだ)
とアキラさんから念話が入った。
「一応サキとカナタを連れて行った方が良いわ」
「そうですね、こっちは任せますので何かあったら呼んでください」
ミレイさんにこの場を任せてカナタさんとサキさんを連れてお母様と話す事に⋯。
「⋯カレンとアイラさんは一緒じゃなくて良かったのか⋯?」
「結婚の挨拶じゃなくて今後の確認ですから⋯一応まだ敵か味方か不明な状態なので警戒してくださいよ」
結婚の挨拶のつもりなのか少し緊張しておどおどしている様子のカナタさん。
「わっわわわたしがあの聖歌様に⋯ななななななまで⋯えええええ⋯」
と慌てふためくサキさん。
戦力的には間違いないのだが人選を間違ってしまったかもしれないと少し後悔していた。




