ジャガー
検証組に合流した時には、カレンの『獣化』については検証が終わっていた。
「なんか…すっごいな」
豹柄だろうか、全身が毛に包まれていた。
「あっアキラさん来ましたね。ちょっとやりませんか?」
凄いやる気に満ちたカレンが待ち構えていた。
「ああ、いいけど能力はどんなんだったんだ?」
「やればわかりますよ」
かなり自信満々な様子だった。
カレンと対峙することで、その圧倒的なオーラを感じる。
なんだろうか…シトリーと対した時のような捕食者に見られている感覚。
ミレイが合図をして模擬戦が開始された。
しかし、突然カレンの姿が眼の前から消えた。
砂浜のせいで足跡は残っているのだが、その足跡は余りにも小さかった。
高速移動しているのか砂浜に小さな足跡は残るが、姿は見えない。
そして何より速い。
周囲を警戒しているが背後から突然衝撃が走る。
受け身も全くとれずそのまま吹き飛ぶ。
なんとか態勢を立て直しながら、背後に目をやるとそこには何もない。
ゾワッとした感覚が身体を襲い、横に転がると背後から叩きつけられるような一撃が砂浜をえぐった。
「シャレにならん」
「まだまだ行きますよ」
恐らく透明化もしくはそれに準ずる何か…そして圧倒的なまでの瞬発力と、あの音もさせずに忍び寄る機敏性…あのモデルはジャガーか…。
そこから攻防一体とは言い難い完全に防戦一方だった。
「小手を使ってもいいですよ、こっちも銃を使うので」
「手は人間のままかよ」
「ええ、もちろん」
互いに防具と武器を付けての再開。
再開の合図と共に、一瞬で俺の間合いに入り銃弾が放たれる。
小手でかろうじて逸らすが、すかさず別角度から銃を向けられる。
かろうじて躱すが、今度は横に回転するかのように動きそこからまた発射される。
このままだとまずいと思い、小手を使って無理矢理カレンの身体を飛ばし距離を取る。
「おいおい、ガン=カタなんてどこで覚えた」
「拳銃使うなら憧れるじゃないですか、映画で覚えました」
「さっきまでの能力は使わないのか?」
「ああ、あれはまだ身につけた物まで迷彩化出来ないので武器もっちゃうとあんまり意味無いんですよね」
なるほど迷彩化…。
「って、お前今、裸ってことか!?」
「ちょっ、それは言いっこなしですよ」
どうやら現状毛で覆われているのであまり気にならないが素っ裸だったようだ。
「痴女に負けてられないなぁ」
「痴女じゃないです!」
その言葉と同時にカレンは踏み込みと同時に、また俺の間合いへと踏み込んでくる。
「それにあれより、こっちのが試せますよね」
と完全に余裕を見せていた。
ここまでやられるのは母親と対峙した時以来だ…だけど、まだあっちの方がまだ強い。
こちらの間合いに入った瞬間に足を払う。
難なく飛んで躱すカレンだったが…。
「残念、その機動性…空中では意味無いだろ」
「あっ!?」
そのままカレンを殴る。
しかし、俺の腕に足を乗せて勢いを殺される。
「えっぐいな」
「そっちもです」
その後、10分位模擬戦闘していたのだが互いに決定打を与える事が出来ず近づいては距離を取ると繰り返していた。
「ふん!」
距離が離れた時に、足を四股を踏むように強く砂浜に叩きつけ砂が舞い上がる。
砂を避けるようにこちらに接近してきたが…。
「残念、やっぱりこの辺の読み合いはまだまだだな」
カレンの足跡から方向を予測し、突っ込んでくるカレンへとカウンターを決めた。
砂浜に飛んでいったカレンの所に向かう。
「大丈夫か?」
「勝てると思ったのに…もうちょっとかぁ…」
「正直スペックだけなら圧倒されたからな、次は勝てるかわからん」
気絶してたら能力が溶けて素っ裸だったので、危なかった。
細かい傷を治すためにサキの元に向かった
「どうでした?」
「エグイ…」
沙月から感想を求められた。
素直に答えた。
『獣化』
・ジャガーに変化する。
身体能力は大幅に上がり、機動性が特に向上する。
・自身を迷彩色に変えて周囲に溶け込む。
「隠密特化といって遜色ない能力の割に真っ向からやりあえる身体能力はヤバイ」
「来る前にカナタさんとランさん二人がかりで相手しても勝ててませんでしたから」
「なんてヤバイ…」
「単純な身体能力の向上という面では今までの奴で一番ですね」
まだまだ戦闘IQの低さが仇になっているが、戦闘能力だけなら化物レベルになってしまった。
とりあえず、大幅に戦闘力は増した結果となった。
苦戦していたのは『精霊化』だった。
「結局あっちはどうだったんだ」
と沙月に尋ねる。
「あっちはまだ検証中です。正直かなり特異な能力みたいで…」
まだ色々試しているみたいだ。
「おおぉ…」
と大きな声が上がっていたのはアカネの近くだった。
「あっちは順調でしたからね…」
「スミレとツバキの様子は見とくからあっちの確認行ってきていいぞ」
「わかりました」
眼の前でスミレとツバキは何やら手を上げたり振ったりして、色々試しているようだ。
「さっきのあれってワタクシとどっちのが強かった?」
シトリーが話しかけてきた。
「ああ、よく考えてたの分かったな」
シトリーと対峙したのはかなり前でレベルも低かったしスキルも無かったのだが…。
「それでもシトリーの方が強いと思うぞ、まぁストラスとやってた時のを見てって感じだが」
戦い方も含めてシトリーとかなり似通っていたのには気付いていた。
「そ、そう…なんかホメられたみたいでなんか変な気分ね」
「まぁでも身体スペックに関してはかなり近く感じたし実戦練習の相手としては良いかもな」
「へぇ…もしかしてそろそろ?」
「ああ、悪魔狩り(日和狩り)をそろそろな」
パーティの戦力も整い沙月にも俺が『節制』でスキルを取得したら行きましょうかと相談を受けていた。
モンスター相手であれば高火力の攻撃が必要だが、悪魔と戦う事を想定すると出来れば『獣化』のような単純な身体能力が上がるスキルが望ましい。
それまではカレンと実践練習をして備えておくことにしよう。
そしてスミレとツバキの様子を見ていたのだが突然光ったかと思ったら2人が合体していた。




