発火操作
ボーナスモンスターとして超巨大レイスが現れた。
「効果を確認するには丁度良い」
先ほど選択した特殊効果無効がどういう効果なのか確かめるべくレイスへと殴りかかった。
そして今までは拳が空を切っていたのだが…。
柔らかいぬいぐるみを殴ったかのような感触が拳へと伝わった。
そしてその結果…。
元々物理攻撃に弱かったのか、他のレイスを巻き込みながら飛んでいってしまった。
「おい!飛びすぎだろ!」
「加減しないからぁ」
とカレンに文句を言われながら飛んでいった方向へと向かう。
道中のレイスも物理攻撃が効くようになったので先程の特典は、やはり攻撃を透過するレイス系の特殊効果が無効になったみたいだ。
「これ他のモンスターにも有効なんかな?」
「どうなんでしょ?そもそも特殊効果持ってる奴なんていましたっけ?」
「パッと思いつかないけどこれから出るかもしれないだろ?」
「まぁ確かに?」
解決しない疑問だった。
今まで戦ってきたモンスターでそんな奴に覚えがなかったからだ。
そんなこんなでようやく巨大レイスを見つけた。
「倒してたら最悪だったな…」
「間違いないです…」
まぁ使用出来るスキルが表示されっぱなしだったので、まだ生きてる事はわかっていたが…。
「こいつ『透明化』持ってるから気をつけろ」
「感知スキル使っておきます」
カレンが感知スキルで警戒しつつ俺が殴る。
今度は飛んでいかないように地面に叩きつける感じで殴りつけた。
しかしやはり大きくなっても体力は少ないようでそれで霧散してしまった。
「よわ…ボーナスモンスターあるまじき弱さだった気がする…」
「恐らく物理防御力が低かったんじゃないかと…」
ミレイが苦笑いを浮かべていた。
「物理を透過するから対策もしてない所で無効にされたらこうなるんじゃないですかね…」
とランも困り顔である。
楽に倒せた事を物足りないなと思いながらスクロールを拾った。
「最近は、運がいいな」
「ここ最近はろくなスキル落ちませんでしたからね…」
特にビースト系はひどくボーナスモンスターを何体か倒したのだがほとんどステアップ系スキルだった。
今回落ちたのは、『生命吸収』だった。
「前フリしてきたから『透明化』かと思いましたけど」
「さすがに落ちなかったか、使いたかったんだが…」
「えぇ…?」
と困惑気味な声を発したミレイだったが…。
「攻撃の出先なんかが見えなくなるなら超強いからな」
身体の一部が透明化するというのであれば、攻撃の瞬間に手や足を消せば受け止めることや避ける事が難しくなる。
特に接近戦では大きな効果を発揮する。
「あっそっちですか」
「離れて消えても感知スキルでモロバレだろ…」
「戦闘脳…」
なにやらカレンからツッコミをもらった気がするが気にしないでおこう。
「今日はなかなかの収穫だったな」
キリの良い時間だったので10階層へと戻った。
「新規スクロール2個ですからね」
そして沙月へとスクロールを渡すと…。
「私の叡智でみても発火を操作するとしか書かれてないですね」
「やっぱりそうか血液とか書いてあれば確定だったんだが…」
「状況から判断すると血液とか身体の一部とかを発火させたり出来るんですかね」
マインコングの能力的には沙月の言い方で間違いなさそうである。
俺も空気中にある電気を操作している状況なので、『発火操作』も何かを操作して発火させるのだろう。
「まぁそういうことならこれはソフィアだな」
「そうですね…適任かと思います」
最近発覚したのだが…『鬼化』、つまり吸血鬼になるソフィアは、血液を操作する能力を持っていた。
ソフィアであればこのスキルを十全に使いこなせると思われる。
満場一致でソフィアにスクロールを渡す。
「血液を発火させるスキルですか」
「使ってた奴は糞を爆発させてたけどな…」
「えぇ…そっちだったらどうするんですか…」
ソフィアの顔が不安そうな顔に変わった。
「血も爆発してたから大丈夫だって」
ジト―ッとした目を向けられるが最悪使わなければいいという事でそのままスクロールを使用した。
「どうだ?」
俺はそもそも感覚すら掴めなかった。
「とりあえず血を出してみます」
ソフィアはそういって指に仕込み針を刺して血を出す。
「いつみても思うけどそれ気分悪くなったりしないのか?」
「出した側から魔力を消費して増血してるみたいですよ」
恐らく『鬼化』と同時に身体の作りも変化するようだ。
「しかもすぐ治る」
「まぁ身体が霧状になると思えば可愛いもんか?」
「それでも今は火力不足なんですけどね」
単純な戦闘能力としては上の方なのだが、怪力なんかも強力ではあるのだが魔法なんかのスキルと比べるとやはり見劣るそうだ。
使用練度も高いので『鬼化』もランクアップすればとんでもないことになりそうだが、今のレベルは7…残念ながらまだ時間がかかりそうだ。
使用期間を考えれば勤勉に使ってる方だと思われるが…。
相性の良いスキルと相性の悪いスキルの違いは謙虚に出るが、普通に上がっていくスキルは区別がつき難い。
ソフィアの『発火操作』を試す為に、俺が相手をすることになった。
「相手はいらないんじゃないか?」
「どうせなら実際に試した方が面白いじゃないですか…」
出した血液は身体からある程度の距離までは操作出来る。
ちなみに他人の血液は無理である。
出来たら最強だったかもしれない。
ソフィアの手から出した血液を見ていると…突然火が着いた。
「なるほどこんな感じですね」
とソフィアが呟く。
「それじゃ行きますよ」
「いやいや、それ普通に熱そうなんだけど…」
と少し引き気味に構えていると血を散弾銃のように発射された。
火の着いた血液を躱しその後の着弾点を見たのだが、砂浜に落ちた血液は燃え続けていた。
「おいおいガソリンかよ」
「残念ですけどガソリンはこんな風には出来ませんよ」
血の剣なのかもしれないが、発火した状態で向かってくる様は完全にアニメやマンガで見るフレイムソードである。
「っと…」
その剣をギリギリで躱すと…。
「残念、この剣曲がりますよ」
フレイムソードは姿を変えて俺の方へと曲がってきた。
ギリギリで躱したのが裏目に出てしまった。
避けきれず腕に触れた所に血液が付着し燃えだす。
距離を取りながら火を消すために手で叩くが…消えない。
「おい、これ全然消えないぞ」
「血液を洗い流さない限りは発火しっぱなしですよ」
「はぁ?」
仕方なく海に腕をつけて洗い流す、途中でサメが飛びかかってきたので、それをそのままソフィアへと飛ばす。
「ほら、試し切りしてみろ」
ソフィアの剣がもろにサメに接触しそして切り裂いた。
「これくらいのレベルなら切れるんですけどね、残念ながら高レベル探索者だと硬すぎて無理なんです」
とさらりとした顔で言い放った。
そんなものを俺に当てたのかという抗議の視線を送った。
それからしばらく組みてをして色々と分かったことがあった。
『発火操作』
・体内の血液(鉄分)を発火させる能力がある。
・一度発火したものはしばらくの間、発火し続ける。
(ソフィアの意思で解除可能)
「ダメージは少ないけど色々応用は効きそうですね」
「着いたらずっとダメージが入るスリップダメージみたいなもんだからな、実にめんどくさいぞ」
海が近かったので入って洗い流したが流さなければずっと燃えていたというのだから溜まったもんではない。
「将来的にランクアップして『発破操作』になったらヤバそうです」
「さっき放った血の散弾銃が全部爆弾になるんだろ…エグイって」
と将来に期待の持てるスキルであった。




