雷槍
翌日、いつも通りに朝早くに目が覚めてそのまま朝のトレーニングに向かう。
訓練場所としては海があるのは非常に助かる。
準備運動を行って騒音防止の為、キャンプ地から少し離れた所で準備をする。
「今日こそ成功させたいんだがなぁ…」
『電磁操作』によるレールガンが自身の最大火力である自覚はあるのだが、正直頭打ちである。
連続射出すればそれなりのダメージソースになるが連続射出は溜め時間がかかる点とレールを張る必要の関係上、一度狙いをつけた物を変更するのが難しい。
簡易型がその辺りを緩和してあり、ある程度レールに方向性をもたせる事で追尾しやすくしてある。
しかしその分勢いが弱いので威力も少ない。
『特攻』スキルで威力を増大していなければ拳銃程度の威力しかない。
そのため、威力と命中率を高める為に色々と試しているのだが…。
「威力だけならやっぱりこれなんだよなぁ…」
まず一番良いのは射出する弾自体をでかくすること。
質量は正義であり質量が増えればその分威力が上がる。
直径1mの鉄球をレールガンで海に向かって放ったのだが一瞬モーゼのように海が割れたのだから威力は申し分ない。
「すっごい威力だけ不満なの?」
「こんなん持って動くのはなぁ」
この弾だけで4トンある。
沙月に作ってもらったのだがさすがに持ち運びが不便な上に取り回しにも問題が出る。
後衛で構えて撃つのであれば問題ないのかもしれないが俺の役割は前衛である以上これを持ちながら狙いをつけての戦闘は無理がある。
「沙月のおかげでコスト問題はなんとでもなるんだがいかんせん実用的じゃないな…」
「そう言いながら試し打ちしてるってことは何かあるんでしょ?」
「まぁあくまでも威力の検証だからな」
まず一発目で確実に威力が上がる鉄球を試してみた訳だが…。
「次はこれだ」
「なにそれ槍?」
俺が手に持った変わった形の物にシトリーが疑問を口にする。
「槍っていっても射出用だけから短いけどな」
ミレイが使ってるような槍の半分ほどの長さしかない上に先端は銃弾のように丸くなっておりどちらかというとランスといった感じである。
まず、槍自体をレールの役割をもたせる為に電磁レールを作成していく。
「そもそもレールを作るという行為と狙いをつけるという行為が相反する行為な訳だから最初から武器自体をレールとしておけばいい」
準備が出来た槍をそのまま海に向かって構える。
そして今度は槍自体に磁力を纏わせそして放り投げる。
結果として放たれた槍はとんでもない加速しながらそのまま海に着弾する。
先程の鉄球は、モーゼのように海が割れたが今回は、海をくり抜くかのように進んでいき地面に着弾した所で激しい水しぶきが上がった。
「おお成功した!」
「以前も槍は試してたけどこんな威力は出なかったわよね?」
「ああ、そうなんだよ。前使った槍は質量の割に威力はレールガンより少し強い位の威力しか出なかったからな…」
以前はミレイと同じような槍を投げていたのだが正直威力が物足りなかった。
しかし狙いを付けやすい点と取り回しのしやすさについては評価していた。
「今回のは?」
「あの槍は特別製でな内と外で分離出来るようになってるんだが、外側にレール用の電磁力を張って内側の槍本体を射出する形になっている」
「つまりレールガンからさらにレールガンが射出されるってこと?」
「まぁ簡単に言えばそういうこと…電磁力の調整が難しくてな一回背後に発射されたり空中で崩壊したりと散々だったわけよ…ってお前も一緒にいただろ?」
「別にずっと見てる訳ではないもの普通に寝てたりするし」
「見えない時は、寝てたりしてるのか…自由だな」
「ええ…ダンジョン運営してた時よりもよっぽど有意義よ」
身も蓋もない事を言っているが実験が上手いこといってよかった。
「さて調整を完璧にしないとな」
俺は試作型の2本目を取り出し同じように海に放った。
今回のは失敗で空中で破砕してしまった。
「完璧に同じように調整がいるかぁ」
後ろに発射されないように返しをつけてあるのでそこは大丈夫なのだがそのせいで電磁力の調整をミスると本体の耐久力が耐えられず破壊されてしまう。
そんなこんなで3本目を取り出しまた同じように3本目を放った。
「よし、今度は成功」
3本目は見事に成功した。
「うーん、実戦投入にはまだ早いなぁ」
「あれをモンスターに当てるつもりなの?」
「オリハルコンゴーレム辺りで試したいんだがなぁまだまた出てきて欲しいもんだ」
実際、防御力であればあいつが最硬だったので実験出来るのであれば実験したいがそう簡単に会える奴でもないので本当に機会があったらだ。
それか『物理無効』の敵であればそれでも良いかもしれない。
正直スキルの無効は当てにならないのは証明されてるのでどこまで無効なのか試したい所だ。
とりあえずはまたあのスライムが出るようなら試すつもりでいるので沙月に頼んでまた補充する必要があるので帰ったらまた作って貰わないといけない。
回収出来ればいいのだが残念ながら途中で融解してしまい着弾した瞬間にほぼ使い物にならなくなるのでどうしようもない。
電気を通してかつ耐久力があるような武器があれば理想なのだが…ミスリルでもそれは満たせなかったので無理そうである。
そんな考えをしながら『電磁操作』を使用してチマチマとレベルをあげていく。
中々レベルがあがらないが、使わないと上がるもんも上がらないので気長にやるしかない。
無限の魔力値があれば昼夜問わず、ずっと練習が出来るんだがなぁ…。
とこの作業をしてるとないものねだりをすることが多く不毛である。




