スミレside
同じコンテナハウス内の部屋にいるのだが、キャンピングカーに加えてこの大きさのコンテナハウスを格納出来るアイテムボックスが規格外すぎる。
アイテムボックスに関しての性能に関しては巷に多く流れている。
そもそもがアイテムボックスの取得をした場合は国に報告が必要であり個人で勝手に取得した場合は、罰則すらあるヤバイ代物だ。
軽く流れで聞いてみたら、国の方では黙認されているそうだ。
しかしその性能に関しては巷に流れている能力とはかなりの乖離がある。
通常のリュックほどの大きさの物を保存したとしても数時間で魔力切れになるほどの燃費の悪さだという話だったのだが、彼女の保存容量と保存時間は完全に規格外である。
そして怪しいのが私が契約した会社の代表は、霧崎ミレイさんになっており彼女の名前は一切公表されていない状態だった。
この様子から否が応でもわかる。
このパーティの最上級の秘匿事項は彼女だ…。
さり気なくアキラにも牽制をいれられているので彼女に関しての情報だけは秘匿する必要がある。
そう思い返していると…部屋の扉をノックされた。
一瞬アキラか?と期待半分、動揺半分といった感じだったが…。
「お姉ちゃん、今良い?」
「…いいよ~」
特に鍵もかけていなかったのでツバキが扉を開けて入ってくる。
「どうしたの?眠れない?」
ツバキは部屋に入ってきたと思うと私の腰掛けているベッドに同じように隣に腰掛けた。
「お姉ちゃんってアキラさんの事どう思ってるの?」
「はぁ!?なにいってんのあんた!」
真面目な顔してとんでもないことを聞いてきた。
「好きか嫌いかで言ったら好きでしょ?」
ツバキは私の目を見つめながら真剣な表情で問い詰めてくる。
「あのね、そもそも相手は婚約者がいるのよ…あ、あーしが入る余地なんて…」
アキラの事を考えただけで顔が赤くなり動揺してしまう自分がいた。
「沙月さんは節度ある行動を取れば大丈夫って言ってたし大丈夫じゃない?それとも独り占めしたいの?」
「ないないないないない!独り占めとかむりーーーーーーーー!」
4人の婚約者から奪ってしかもあの超高スペック男を独り占めとか監禁でもしてなきゃ気が狂ってしまう。
子供の時からイケメンだったけど成長してさらに磨きがかかるとかどんなバグ?
しかも、今ではレベル40超えの探索者な上に1人でボス相手に前衛を務めれる現代においては最強の一角と言っても過言ではないほどである。
それを1人で繋ぎ止めれる自信なんかあるわけがない…というか独り占め出来ないと考えて4人で繋ぎ止めているのでは無いだろうか。
小学生時代は、私がべったりだった事もあり他の女子達は寄ってこなかった。
中学時代によく誰も手を出さなかったなと不思議なレベルだ。
一度その辺りの話を聞いてみたいところでもある。
と思考が逸れてしまったが…独り占めとかそういうのは考えていない…そもそも恋愛感情として好きなのかどうかすらまだ結論に至っていなかった。
「好きなら好きって伝えないと向こうからアプローチしてくることは絶対ないよ?お姉ちゃんは私の中ではナンバーワンに美人だと思うけどあの4人も負けてないしそれこそスペックが高すぎるもん」
「その超べた褒めしてくるの久々過ぎて慣れてないから止めて…普通に照れる…あーしの中ではまだ好きなのかどうか結論が出てないから…こんな状態で渡り合うのは無理かなぁ」
「それって何か引っかかってるだけで好きは好きなんじゃないの?」
我が妹ながら非常に鋭い。
今の私は幼馴染という立場でこのパーティに置いてもらっているという状況である。
こんな状況でパーティの中核をなしている相手に好きなんて伝えるなんて恥知らずな事は出来ないと自分の中で壁を作っていた。
その壁を壊して見ないことには、好きかどうか判断出来ないほどに私の気持ちが迷っていた。
「そもそも私達は恋愛にうつつを抜かしてる場合じゃないでしょ?契約金含めて多額のお金を貰ってるんだからしっかり役目を果たす事を考えないと」
「それはそうだけど…」
「これで2人ともテイムは出来たんだから成長させて役に立たないと…それに広報の仕事もあるのよ?やることは山積みなんだから」
話を切り上げて今後の展望について話を進めていく。
「まず広報に関しては情報の精査から始めないと表に出しちゃいけない情報と出していい情報を取捨選択してそれで広報プランを立てるよ」
テイマーに関する情報は、どうせどこかしらから漏れるのだから公開しても良いことになっている。
ならば、どのタイミングで公表するかという話になっている。
「まず、一番なのは幼体ではなく成長してから公表するのが一番じゃないかと」
ツバキが言うように幼体状態では有用性のアピールとしては弱い。ハズレスキルと呼ばれているスキルのイメージを一新するにはインパクトが大事。
「公表の際は、あーしも表に出たい所なんだけど…」
「フェンリルなのバレちゃうでしょ」
「そこなんだよねぇ…」
ダブルテイマー、さらに両方とも犬型マシーン型とフェンリルというのは見た目的にはかなり目立つ。
それに合わせて完全テイム条件を公表すれば間違いなく大きな話題を呼ぶ。
「成長してもフェンリルになる訳じゃないだろうし案外バレないかも?」
「お姉ちゃんと一緒にアイドル活動が出来るっていうのは望んだ事だから超嬉しいけどせっかく誘ってもらった以上成果は出したいし、ブランクは大丈夫?」
「あんたのアイドル活動のサポートも含めてアイドル歴だけは長いんだから舐めないで欲しいな」
「さすがお姉ちゃん」
妹のSNSの運用サポートやライブ演出なんかにも色々口出しをしていたのでその手の運用に関しては一日の長がある。
自身の持つスキルを駆使して早く役に立たなければ…。
「今のうちに出来る仕込みはしておくよ…こういうのは事前の仕込みが物を言うからね」
「正直お姉ちゃんをマネージャーとしてねじ込もうとしたのに却下されたの未だに事務所の失敗だと思うわ…」
「自分の手の届く範囲以外の管理なんて私はごめんよ…」
アイドルやろうなんていう人は一癖も二癖もあるので管理しようとするならばいくつかの弱みを握ってがんじがらめにしておかないと安心出来ない。
以前所属していたアイドルグループの時も本垢から裏垢までSNSすべてを私は、把握していた。
それくらいしないと安心できない世の中なのだから仕方ない。
「ほら、明日も早くからレベル上げだから寝るよ!」
「はーい!今日は一緒に寝ても良い?」
そういって甘えてくる妹…すでにベッドに潜って帰る気はないようだ…。
「仕方ないなぁ…」
ここで許してしまうから甘いって言われるのかもしれないが昔から妹のこの甘え顔には弱い。
「わーい!お姉ちゃんありがとう!」
そんなこんなで私達姉妹は眠りについた。




