ハンデ戦
やれるだけの準備を整えていざフェンリル戦…開幕速攻と行きたい所なのだがエリクサーを確実にかける必要があるので俺とカナタが突っ込みカナタがマーキングしてる間に背後からエリクサーを当てる。
マーキングが最悪解除されてしまうかと思ったが問題はなかったようだ。
という訳でここからが俺の仕事である。
正直レベルダウンの影響で身体が重い感じがするがそれはすでに調整済みである。
フェンリルに相対しながら触手を使って咆撃を躱す準備を整えておく。
フェンリルが先に俺に突っ込んできた。
レベル40の状態と比べると身体の動きはかなり遅いがフェンリルの動作さえ見ているのであればかろうじて躱す事は出来る。
そして躱した所に横っ面からカナタのやったマーキングに向けてレールガンを発射する。
簡易式のレールガンなので威力はそこそこではあるが俺とカナタの一撃であればそれなりにダメージが入る。
全方位に電磁フィールドを張ってからのレールガンの方が威力も含め強烈なのだが、フェンリルの咆撃で霧散してしまう上に遠距離からだと何か小細工をしないと躱される可能性が高くなるので今回は簡易型で削っていく。
本命は、サキのアポカリプスを直撃させることだ。
俺は咆撃を放てないように溜めをキャンセルさせながら回避と受け流しを繰り返す。
少しでも止まればカナタの龍鱗光とサキの魔法が飛んでくる。
正直動き面ではかなり制約を抱えている他メンバーを前に出す気はない。
正直『魔纏』を使われるとめんどくさいので出来ればあまり弱らせずに一気に削り切りたい。
以前戦った時は咆撃を撃つ予備動作がわからなかったので防げなかったのだが、何度か戦ったおかげですでに把握済みである。
一応カナタにも伝えてあったのだが…。
(わかるか!!)
と先ほど念話で抗議されてしまった。
咆撃をするためには予備動作として息を吸う必要があるので肺が動くのだ。
それで判断しているのだが…。
(毛生えてるし動きながらそんなの見えないから!)
まぁ基本的に動き周っているフェンリルの攻撃を先程から基本的には躱してどうにもならない攻撃は触手を使って逸らしている。
ただ、さすがに距離を取られると防げない場合もあるので警戒はしている。
なんせ最高速では完全に負けているので全力で距離を取られて撃たれたら無理。
と思っていたら俺の狙いに気付いてしまったようで距離を取られる。
「咆撃くるぞ!全員備えろ!」
本来であれば一気に決めたいのだがジリジリと追い込んでいるのでどうしても時間がかかる。
俺から距離を取り放つ準備をしている。
さすがにレールガンを撃っても間に合いそうもなかったので先程準備していた場所に移動する。
『触手』+『振動操作』で高速で穴を掘る事が出来たのでそこに入る。
ちなみに一度手でやったのだが普通に痛かったので触手で行っている。
まぁ振動ってことは普通に自分の手に高速で当たる訳なので硬い物に当てたら痛いのも同義だった。
基本的に全方位攻撃なのだがフェンリルを中心に放射線状に広がっていくのだが地面へのダメージが少ない事が気になっていた。
恐らく、フェンリルを中心に半円上にダメージが入っているのだと思い地面を掘って潜った上で小手を構えておけば大丈夫ではないかと予想していた。
実際予想通りで多少の振動は、感じたがダメージは受けなかった。
そしてそのまま穴から出てフェンリルに接近する。
(これでしばらくは撃ってこないはずだからそっちに誘導するから全力で叩き込め)
と全員に指示をしてからフェンリルを全員の攻撃が届く範囲まで誘導するように動く。
そして上手いこと誘い出すことが出来た。
攻撃を躱し今度はフェンリルの身体の下に潜り込む。
腹を思いっきり殴り空中へと打ち上げる。
攻撃力不足のせいで少し物足りない高度だったがまぁ当てるには充分だった。
打ち上がったフェンリルにサキの放った、アポカリプスが迫る。
その攻撃を脅威に感じたのか躱そうとするフェンリルだったがそこにカナタが龍鱗光を使ってその行動を阻害した。
おかげでフェンリルに完全にアポカリプスが直撃した。
放った瞬間から以前のアポカリプスとは少し違う印象受けていたが着弾の瞬間に一瞬フェンリルの動きが完全に停止したように見え、違和感を感じていた。
しかしその威力に間違いはないようで閃光と共に衝撃が伝わり威力の大きさを物語っていた。
かなりのダメージを受けたはずだが…。
削りきれていないとめんどうなので距離を取って電磁レールを引きフルパワーのレールガンを放つ準備をしておく。
正直、まだ削り切るには足りないのではないかと思っていた。
しかし俺の予想とは違い、完全に消滅していた。
倒せたようなのでサキ達の元にいくと…。
「うまくいって良かったです」
とサキが喜んでいた。
「何かやったのか?俺の予想では削り切るには足りない可能性も考慮してたんだが…」
「皆さんがいない間に何もしてなかった訳ではないので」
とサキから説明を受けた。
『魔導の極み』の魔導という言葉が気になり色々と実験した結果…あるスキルが生えたそうだ。
「『魔導』スキルというスキルを覚えまして5個のオリジナル魔法を登録出来るようになりました」
先程打った魔法はアポカリプスではなくカタストロフというオリジナル魔法だそうだ。
「それで何か詠唱してたんですか?」
どうやらサキは、アポカリプスのチャージをしていたのではなく放つ為の詠唱をしていたようだ。
「ええ、威力とか跳ね上がるんですが詠唱が必要なので」
「詠唱文自体はどうやって?」
「魔法を登録した際に表示されるのでそれを暗記する必要があるんですけどね…でも威力については保証付きです」
確かにフェンリルをあの状況から削りきれる魔法というだけでかなりのものだった。
沙月が色々と詳細を聞いているみたいだが…。
「うまくいったみたいだな」
スミレが恐る恐る抱いていたのだは白金色と言っても過言ではないほどに光る卵だった。
「これがさっきのフェンリルなの?」
未だに信じられないといった表情を浮かべているスミレだったが…。
「まぁ産まれて見ればわかるんじゃないか?」
「そっか…」
といって卵を無意識に撫でていた。
「あっさり勝ててよかったな」
色々と聞き終えていた沙月に声をかけた。
「はい。ただスライムの討伐は明日ですね」
「そうなのか?」
「産まれてないと流石に経験値もらえなさそうなので…現状ステータス確認が出来ない…」
「あっなるほど…」
どうやら卵状態では経験値を獲得出来ないようなので生まれるまでは待機という事になった。
◯あとがき
詠唱はロマンですよね。
という訳で詠唱不要の魔法にはなかった詠唱がここで追加されました。
一区切りついたタイミングで全員の能力を更新します。




