15冊目『怪の壺 あやしい古典文学』山ン本眞樹.編 小松和彦.序文(学研)
〇あらすじ
現代語訳された古典怪談を集めた本。
「恐ろしい話」「不気味な話」「不思議な話」「海の魔」「山水異界」「巷の闇」「怪僧妖尼譚」「奇病草紙」「華国幻妖」「猫の奇談」の十章から成る。
それぞれの話の末尾に出典と著者が記されているので気になったものについては原典を探して読むことも可能となっている。
一話は一~二ページほどと短い。
〇感想
先日はイギリスの怪談集を読みましたが次は日本の古い怪談集です。
普段書いているものは和ホラーが多いので個人的にはこちらの方が資料として勉強にもなりました。
印象に残った話をいくつか挙げていきます。
まずは「食べちゃいたいほど好き」という可愛らしいタイトルのお話。
向かいの家に住む幼馴染に恋をした少女がいた。彼女は恋わずらいのため重病となってしまう。
少女の想いを知った両親は幼馴染との縁談を取り決め、無事祝言を挙げた次の朝。二人が起きてこないので様子を見に行くと、娘は幼馴染を頭から肩のあたりまで呑み込んだ状態になっていた。娘の口は耳まで裂け、それでもなお口へ押し込もうとした姿で二人とも息絶えていた。
……というなんとも衝撃的な内容!
「食べちゃいたいくらい」とはよく言ったもので……。でもまさか本当に実行する話があるとは。
好きです。
次に「人魂、居すわる」というお話。
お盆にやってきた祖母の姿をした人魂が先祖の霊を迎える魂棚に居すわった。魂棚を片付ける時になっても動かないので他の道具箱の上などに座らせたが、年月が経つにつれてその姿は薄くなり、やがて消えてしまった。という話。
何かをするわけではないけれど、等身大のおばあちゃんの幽霊が置物のように家にずっといるっていうのはちょっと嫌ですね(笑)
他にも「沢蟹が飛ぶ」というお祭りで買ってきた沢蟹にセミのような羽が生えて飛んで行ったという話や空から巻貝のような形をした「月の糞」と呼ばれる石が降ってくる話。落ちた雷をたらいで抑え込んで捕まえると水晶のような「雷玉」になったという話、小人の船が漂着した話 などの不思議な話も盛りだくさん。
町中に出所不明の豆腐が大量発生する「豆腐の怪」の話なんかも面白かったですね。
「怪僧妖尼譚」は人外になった僧侶の話がメイン。
その中に「女になった僧」という病気から快復したと思ったら女性になってしまったという僧侶のお話が。
いわゆるTSでは!? って驚いてしまいました。
猫に関する話で一章を割いているというのも猫好きな私としては嬉しかったです。
こういう怪談話って当時の科学力では説明がつかない現象を「怪異」として扱っているものもあったりするのですが、この本に書かれているもので説明が付きそうなのは片手に納まるくらいかも?
ぞっとする話あり、笑ってしまうようなくだらない話もあり、都市伝説もあり。一冊でも満足感たっぷりでした。




