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もしも十年前に戻ったら  作者: 茶々
第1章 動き始める人生
24/28

#24兆候



 学校では生徒会の手伝いを続け、学校が終わるとほとんど毎日バイトがあり、バイト終わって22時ごろに家に帰ると料理を作ってシャワーを浴びて、寝る準備をした後に勉強を始める。

そのころにはもう0時を回っていることもよくある。そしてその時間から、普段は予習復習をしていつも3時ごろに寝ている。だが、中間テストが近いので今は勉強の時間を少し増やしている。

なので毎日3時間ちょっとしか寝ることができていない。朝起きてからも洗濯をしたり、朝食と弁当を作っているのでさらに時間がない。

 こんなような生活が高校に入学してからずっと続いている。先生やバイト先の人、大船などの友達や林さんには、もちろんここまで睡眠時間を削っていることは言っていない。別に隠すつもりはないが、心配されるのが目に見えている。

できるだけ人に心配はかけたくない。お父さんからも時々電話がきたりするが、問題なくやっていると伝えている。バイトの量は少し少なめに伝えているが。絶対に無理しないようにと心配されるので。

前回の人生でバイトを週四でやっていた時でさえ心配されていたので、間違いなく週五でやっていると言ったら心配される。


 そんなわけでその生活を続けゴールデンウィークを終え、中間テストの時期がやってきた。

休み中はバイトと勉強だけだったので少し楽に感じていたが、そのせいで学校が始まった今が少しきつい。だが弱音は吐いてられない。林さんもきっと同じように勉強しているのだから。

二週目というアドバンテージを持ちながら、この程度のことができないのはだめだろう。



「おはよう大船」


「おはよう大船くん」


「ああ、おはよう河野と林さん。お前ら二人で登校してくる姿もだいぶ見慣れてきたなぁ」


 中間テストの日の朝、学校に登校して、大船にそんなことを言われる。

ちなみにだが、席替えが行われても林さんと席が近くなることはなかった。仕方ないとあきらめていたが、大船は相変わらずで席が近かった。

そのせいか、学校では大船と話す時間が多い。僕が良く話しているおかげで林さんも大船とは時々話すようになっていた。結果的にこの三人で絡むことが増えていた。


「まあ、毎日だからね」


「仲がよろしいことで」


 大船がそう言って茶化してくるが大船には付き合っていることを言っていない。

言わずとも気づいているとは思うが。


「そういえばお前らはテスト余裕そうだよなぁ。河野は当然として林さんも頭いいからなぁ」


「当然で片づけられるのは少し嫌だけど、林さんに点数負けないようにしなきゃって思って頑張りはしたかな」


「河野くんが頑張っちゃったら私どうあがいても追いつけないと思うんだけど…」


「だからと言って僕が手を抜いてそれに勝ってもいやでしょ?」


「まあそれはね。河野くん目指して頑張ってるところもあるし」


「それはそうとして大船はどうなの?」


 僕と林さんばかりで会話してしまっていたので大船にも話を振る。

前回の人生で大船と会った時は、底辺大学ではあったが大船はほかの大学を蹴って低いところに入学していた。

ちなみに学力で言うと明らかに高かった。確か高校で電車通学が嫌になったからとかで近くの底辺大学にしたらしい。気持ちはわかる。


「平均点以上は取れるかなぁって感じだな。お前らとは張り合う以前の問題だわ…」


「勉強はしてきてるんでしょ?」


「してるけどそんな毎日ってわけじゃないよ。毎日やっても集中力持たないしな」


 まあ大船のことだ。なんだかんだで平均点は余裕で越えてくるだろう。

僕も気を引き締めて頑張らないとな。中学のころとは違ってだいぶ難しくなっているだろうからな。

 そんなこんなでテストが始まった。

中間テストなので五教科だけだ。

今日と明日で五教科のテストが行われる。午前授業になるのは正直ありがたい。バイトをしても勉強の時間は十分にとれる。


「まあとにかく頑張りますよ。お前らに馬鹿だって思われない程度には点数取っておくよ」


「僕もまあそれなりに高得点目指しておくよ」


「わたしも河野くんに負けないように高得点目指すよ」


 そんな感じで全員で意気込みを言ったところでチャイムが鳴ったので、着席した。




*――*――*




「はぁー疲れたー」


 林さんが伸びをしながら言う。


「なんとか終わったねー」


 中間テストの二日目が終わった。手ごたえは悪くなかった。少なくともわからないっていう問題はなかった。

あとは結果が出るのを待つだけだ。

 だが中間テストが終わったからと言って、気は抜けない。

数か月後には期末テストだし、そもそも毎日の授業は変わらずあるのだから。

まあその前に、生徒会選挙がありその手伝いをやることになっているんだけどね。


「あれ?河野くんって今日シフトあったっけ?」


「うん、この後14時から入ってるよ」


「あ、じゃあ16時からシフトかぶってるね。私も今日あるから」


「レジ近かったらいいね。林さんが近くのレジにいる方が落ち着てレジ出来るし」


「そうだねー。できれば1、2レジでかぶってるとかだったらいいなぁ」


「それ最高だね」


 適当に会話をしながらの帰り道。この時間が僕にとって唯一の気楽な時間だったりする。

家にいても独りで家事と勉強するだけだしね。




「じゃあまたあとでねー」


「うん、またね」


 いつも別れる曲道で挨拶してお互いの家の方向へと変える。

いつもこの瞬間は少し寂しい。今回の人生は人と話す機会が多いせいか、家での静寂が結構きつい。

慣れるかなとも思っていたけど、家の外ではいつも誰かしらと話しているせいか、慣れることはない。まあ寂しさに慣れるのはいいことでもないと思うけどね。



 家に帰ってきて、部屋を見る。

ペットボトルなどが少しテーブルの上に放置されている。いつの間にか気づいたときに片づければいいか、と考えるようになっていた。

流石に十本とためることはないが、少しだめになってきてるなぁという自覚がある。


「なんか、散らかってるなぁ」


 ほかにも小物がテーブルの上に放置されていたりと、明らかに散らかってきてる。


「まあ、勉強に支障出ないしいいか。今日もバイトあるから片付ける暇ないし」


 こんな感じで、片づけが先送りにされていく。


「とりあえず昼ご飯食べてバイト行くか」


 冷蔵庫を開けて、今作れるものを考える。


「ないな…」


 冷蔵庫の中には全然食材はなかった。

あるものは飲み物や調味料。あとはわずかな食材だ。


「仕方ない、袋麺でいいか」


 前回の人生でよく食べていた袋麺を鍋にかけ作る。

普段はたいてい自炊しているが、月に二、三回こうやって冷蔵庫が空っぽな時に食べることがあるのが袋麺だ。

栄養とか考えなければ、安価で腹が膨れうまいので強いご飯だとは思っている。なんか寂しくなってくるが。


「………」


 一人で無言のまま、テレビなどもつけずに袋麺食べる。

いつからか、テレビをつけることもなくなっていた気がする。

 テレビから聞こえてくるにぎやかな声が少し嫌なのだ。騒々しくてイライラしてくる。


 食事を終えて、食器を洗って一度椅子に座る。


「楽しいことないな…」


 前回の人生は、確かにくそだった。

学校も行かずにバイトだけをしての生活。

 だが、趣味が充実していたと思う。

それなのに今回の生活は、勉強とバイトを全力でやっていて、趣味に費やす時間が皆無になっていた。

ネットを見る時間もないし、ラノベを読む時間もアニメを見る時間もない。

あったとしても、その時間は睡眠につかってしまう。少しでも体を休めたいので。


「あ、バイト行かなきゃ」


 椅子に座ってぼーっと考え事をしているだけで、時間が過ぎてバイトの時間になってしまう。

高校に入って、一人暮らしを始めてから、このような時間が増えている気がする。

 少しもったいないと思う時間だが、意識せずにこのような状態になってしまうので、どうにもならない。


 着替えて、家を出る。

今日のバイトは約7時間ある。

14時から21時半だ。

 働いてる店の閉店が21時なのでどうあがいても働ける限界はこの時間だ。

そもそも高校生なのでそんな遅くまでは働けないが。

閉店後の三十分は閉店後の作業だ。

だいたい社員の人かバイトリーダーの人が残って、それプラスでもう一人残ってやることが多い。

 僕はその仕事を前回の人生で毎日のようにやっていたので完璧にこなせる。

なので毎回のようにやらせてもらっている。結構簡単な作業なのに30分の時給が出るのでおいしさしかない。



「おはようございます」


 さて、働きますか。

ちなみにレジは林さんと近いレジだった。

気が楽だ。




*――*――*





「あぁ、朝か…」


 昨日は久しぶりに早く寝た。

そのせいか、朝起きるのが少しきつい。布団から出られなくなりそうだ。

でもだめだ、今日から生徒会の手伝いを再開すると言っている。ゴールデンウィークの少し前から中間テストが終わるまでの間は流石に生徒会には行っていなかった。


「朝ごはんめんどくさいな…」


 いつもよりも少しだけ遅くに起きてしまっているためご飯を作る時間が少ない。

わざわざ急いで作るぐらいなら、いっそのこと朝は作らないで昼まで耐えればいいと思ってしまう。

事実大学に通っていたころは、朝食を抜いて学校に行き、昼食も買いに行くのは面倒だし高いので食べていなかった。

そしてバイトが始まる前に袋麺だけ食べて生活していた。

 その生活で耐えていた時期が半年ほどあった。そう考えると、朝食を抜くぐらい何とも思わない気がしてくる。

流石に昼食を抜くのは、大学よりも帰りが遅くなることがある高校ではきついと思うので、昼食は食べるが。

適当に購買でパンでも買おう。たまにはいいだろう。一定以上働いてるから給料も結構多いし。

 一応、大学の学費をできるだけお父さんに負担をかけさせたくないので、高校のうちに貯金をして、少なくとも1年ぐらい分の学費は自分で払えるぐらいの貯金をしようと思っている。

できるなら、もう少し貯金を増やしたいが、できるかわからないので、ひとまずの目標として、一年分の学費だ。


「一日ぐらい、いいだろう。購買でパンを二つ買う程度…」


 とりあえず朝食を作る必要も弁当を作る必要もなくなったので、もう少し布団でくつろぐ。

二週目の人生になってからこのようにくつろぐのは初めてかもしれない。

今までの疲れがどっと来るような感覚に飲まれそうだ。無理をしていると色々な人に言われた。僕だってわかっている。だけど自分で無理していないと思い込まないと、体が動かない。だから、自分で自分に嘘を吐く。



 僕は忘れていた。

前回の人生で体験していたのに。

無理をしている、なのに嘘を吐く。

その結果、壊れるのは、体じゃなく。

心だということを。



少しずつだめな方向へと進んできています。



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