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もしも十年前に戻ったら  作者: 茶々
第1章 動き始める人生
23/28

#23生徒会の荷物持ち



「結構ありますね」


「うん、ため込んじゃてね…」


 僕と多野先輩は生徒会室の隣にある物置部屋(一応生徒会の資料室らしい)にいる。

そこには使わなくなった処分するべき書類が積み重なっていた。ほかにもシュレッダーなどで出たであろう紙くずが入った大袋がある。


「これを校舎裏のごみ処理場まで運べばいいんですか?」


「うん…、お願いできないかな…?」


 先輩が僕の顔を見ながらお願いしてくる。もともと断るつもりはなかったが。そんな顔で見られたらさらに断る気が消える。なんだこのかわいい生き物は。


「はい大丈夫ですよ。早く帰らなきゃいけない予定とかないですし」


 僕がそういうと、先輩はぱぁっと笑顔になり。


「ありがとう!あ、私も手伝うから一緒に運ぼうね!」


 そういって先輩は要らなくなった書類をひもでまとめたものを持ち上げようとした。


「…………先輩」


「ごめんね…こんな先輩で…」


 何というか予想を裏切らない先輩だな、と思った。


「えっと、重いものは持ちますので先輩は向こうの小さな袋お願い出来ますか?」


「うん!任せて!」


 先輩が小さな袋を持ち上げる。

流石に持てた。よかった。


 僕は両手に書類の束をまとめたやつを持つ。正直だいぶきつい。重いな。


「大丈夫?一個ずつでも大丈夫だよ?」


「大丈夫です。何とか持てるので」


 少しかっこつけたいという気持ちもあったが、実際持てないことはないので二つの束を持って教室を出る。




――――――――――――――――――




「ほんっとうにありがとね河野くん!やっと資料室が資料室として使えるようになったよ!」


「完全に物置になってましたもんね…。今後はこまめに捨てましょうね…」


 全部のごみをゴミ捨て場まで運び終えて、生徒会室に戻りながら話す。

流石に腕がきつい。筋肉痛とかなるなよ?バイトがきついから。


「ごめんなさい…。あーでもほんと良かった。霧島くんと田中くん一切片づけようとしないからどうしようかと思ってたんだよね…」


「あの二人しっかりしてそうなのに少し意外ですね」


 正直生徒会長と田中先輩は仕事がとてもできそうな感じの人だ。なのであのようにごみがたまるのは少し意外だったりする。


「仕事はしっかりこなすんだけど、それ以外がだめだめなんだよね~。雪宮ちゃんもそういうところはだめだし。だからと言って私が捨てようにも重くて運べなかったし…」


 それであの状況が出来上がっていたのか…。今後は僕が片づけよう…。


「でも今後は安心だね!河野くんがいるから!」


「まあ片づけはしますよ…」


「ごめんね~こんな生徒会で…」


「まあ僕の仕事が何もないとかよりは全然いいですよ。資料整理だけしてても気が滅入りそうですしね」


「そういってくれて助かるよ~。由衣先生が『優秀な人材が来るぞー』って言ってた理由が分かったな。仕事も早かったしね」


 やっぱり浅見先生はそういうこと言っていたのか。無暗にハードルを上げるのはやめていただきたい。

というか…。


「由衣先生?」


「あ、浅見先生のことだよ~。なんでか私に下の名前で呼んでって言ってきてるんだよね。なんでだろう?」


「えっと…それは」


 それは完全に浅見先生の私情だろう。確かにこのかわいい先輩に下の名前で呼んでもらいたい気持ちはわからないでもないが、先生としてそれはどうなんだ…?


「とにかく、今日はありがとうございました。生徒会の雰囲気が分かったのでとてもよかったです。明日以降も来れる日は来てもいいですか?」


 この生徒会なら楽しいし、色々いい経験ができる気がする。バイトがあってこれない日もあるだろうけど。


「それはこっちから頼みたいぐらいだよ!いつでも来てね~歓迎するから!というかもう役員にしちゃいたいぐらいなんだけどね…。それは雪宮ちゃんが生徒会長になるまで待ってね」


「はい、正式に役員になる日を楽しみにしています」



*――*――*



「あれ?河野くん?」


 ごみを捨て終えて、生徒会室に戻る途中廊下の曲がり角で話しかけられた。


「あ、林さん。今帰り?」


「うん、そうだけど、河野くんまだ帰ってなかったんだね」


「うんちょっとね」


「ふーんなるほどね」


 林さんが僕の横にいる、多野先輩を見ながら意味深に笑みを浮かべる。


「河野くん、友達?」


「まあ友達というか彼女ですね」


 先輩に林さんとの関係を聞かれたので隠すことなく正直に答える。


「おおー流石河野くん!こんなきれいな子捕まえちゃって!」


「はい、自慢の彼女です」


 僕と先輩が、林さん置いてけぼりで話していると、顔から笑みが消えて顔を赤くした林さんが声を上げた。


「恥ずかしいからやめて!それでえっと、そちらの人は?」


「この人は生徒会のちっちゃくてかわいい先輩。こう見えても副会長さんだよ」


 雪宮さんがしていた紹介の仕方を真似して林さんに紹介する。


「もうっ、河野くんまで雪宮ちゃんみたいに紹介する!やめてって~」


 横で先輩がぷんぷんと怒っている。やはり迫力はゼロだ。

林さんは先輩を見て頬を緩めている。分かるよその気持ち。


「えっと、なんで河野くんは副会長さんといるの?」


「えっとね、河野くん今日から生徒会のお手伝いしに来てくれてるの」


「そういうこと。浅見先生に言って体験させてもらってた」


「あ、それで職員室行ってたんだね」


「そゆこと」


「というか河野くんテスト前だけど大丈夫なの?」


「うん、家でも勉強してるし大丈夫だよ。折角なら早いうちに生徒会の雰囲気知っておきたかったしね」


 多分中間テストは大丈夫だ。学年一位になれるかはわからないけど、上位は保てるだろう。

それよりも生徒会が重要だった。


「まあ大丈夫ならいいけど…。バイトも結構入ってるんだからそんな無理しないようにね?」


「心配してくれてありがとね、でも大丈夫だよ」


「うん、あ、ちなみに私も生徒会入りたいって思ってるんだけど、どうやったら入れるの?」


 それは僕に聞かれても困るというのが本音だなぁ…。正直明確な入る方法なんてわからないし。


「えっとね、河野くんみたいに事前に見学とか来なくても、次期生徒会長が決まったら私たち引退したOB、OGの紹介だったり、その時役員の人の紹介とかで入れるから河野くんが役員なるときに林ちゃんの話を雪宮ちゃんにすれば大丈夫だと思うよ~」


 僕が困っていると先輩が詳しく説明してくれた。こういうのを聞くとここの生徒会は生徒の自主性を大事にしてるって感じがするよね。まあ浅見先生が適当なのかもしれないが。


「あ、そうなんですね。詳しく説明ありがとうございます。えっと…」


「多野京子だよ~」


「多野先輩!ありがとうございました!」


「いえいえ~未来の役員候補だから優しくしておかないとね~」


 先輩が冗談っぽく言う。

ほんわかしている先輩だが、とてもいい人だなぁ。あと数カ月で生徒会を引退しちゃうのがすでに寂しい。


「いっそのこと林ちゃんも生徒会の手伝いに来る?今選挙準備で少し忙しいから人ではいくらあってもいいんだよね~」


 そういわれて林さんは少し悩んだ後に。


「お誘いはうれしいんですけど今はやめておきます。中間テストが近いので…」


「あ、そうだよね。最初のテストだから大切だよね。ごめんね気づかなくて」


「いえいえ!全然大丈夫ですよ」


「河野くんが平気な顔して手伝いに来てるから忘れてたけど、テスト近いもんね~」


「僕も平気なわけではないですよ…?」


「自分から手伝いに来てる時点で普通よりは平気だと思うよ?」


 確かにそうだな。


「まあ河野くんも無理して毎日来なくていいからね。まだ体験なんだから勉強とかバイト優先でお願いね?」


「はい、ありがとうございます」


 まあ、これで毎日のように手伝いに行って僕が悪い成績でもとったりしたら、毎日手伝わせた生徒会が悪いとかになり兼ねない。ないとは思うが。


「あ、ごめんね引き留めちゃって、今日はバイト?」


「うん、そうだよ。まだ時間余裕あるから大丈夫だけど」


 最近はバイトが放課後にあることが多いので林さんとは一緒に帰れていないことが多い。

まあシフトが被ってる日は一緒にバイト先に行っているんだが。


「バイト頑張ってね。じゃあ僕たちは生徒会室の方にそろそろ戻るね。また明日」


「うんまた明日。先輩も色々ありがとうございました!」


「いいえ~、また生徒会関係で気になることとかあったら聞きに来てね」


「はい!」


 返事をして林さんは玄関の方に歩いていく。


「私たちも戻ろうか」


「はい」


 今日やることは何も残っていないが、遅くなりすぎると雪宮先輩あたりが心配してしまうかもしれないしね。主に多野先輩を。





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ありがとうございます。


最近少し書く時間が取り辛いので投稿ペースが少し落ちてます。

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